展覧会名:古川美術館 所蔵企画展「リクエスト・リバイバル あの名品をもう一度」
場所:古川美術館(名古屋市の池下)
開催期間:2023年1月7日~2月26日
訪問日:2月9日
展示内容:この美術館の平成・令和の人気作品
少し掲載が遅れましたが これまでと同様に散歩の一環として、地域の美術館である古川美術館を訪問した。この美術館も名古屋のかつてのお茶を嗜む実業家の粋人が作ったもので、近世の日本画を中心として洋画も含むコレクションを行っていて、故人となった後も法人が蒐集を行っているようである。
名古屋近辺の美術館は、最近自分のコレクションのベスト版を展示しているところが多いが、この美術館は、平成期、令和期のそれぞれある時期の美術館来訪者のアンケートから選ばれた作品を展示していた。
一部違っているかもしれないが、ベスト5は以下のとおり。
<令和>
1.ジュディオング倩玉 「華堂初夏」
2.上村松園 「初秋」
3.片岡球子 「桜咲く富士」
4.森田りえ子 「咲」
4.伊藤小坡 「春寒」
<平成>
1.ジュディオング倩玉 「華堂初夏」
2.上村松園 「初秋」
3.東山魁夷 「若葉の渓」
4.片岡球子 「桜咲く富士」
5.上村松篁 「野月」
上記の作品、そして上記に入らなかったけれども、人気の高い有名どころの作者の作品が並んでいた。例えば、横山大観、竹内栖鳳、伊藤深水、川合玉堂、横山大観、小磯良平・・・。
有名どころの作者の小ぶりな作品を網羅的に集めているようだった。
全体で展示作品は34点。
洋画もコレクションしているのに、日本画ばかりがベスト5に入り(ジュディオングのは日本画風の版画)、特に令和のベスト5が女性美術家ばかりになっているのが、この美術館の訪問者の特徴か。
これらから、チラシに扱われている作品を利用して、感想を述べる。なおチラシを折ってしまたので、その後がついていて申し訳ない。
1.ジュディオング倩玉の作品
縦横1mを越える大きな版画の作品。
ジュディオングが版画をやっているとちらっと聞いたことがあったが、こんなに鮮烈な作品だとは知らなかった。調べて見ると25歳の頃から、棟方志功の孫弟子となり、33歳の時に日展に入選、その後日展で特選になるなど多くの展覧会で賞をとっている大家になっているようである。
この作品は48歳の頃の作品。版画特有の強い線と色彩数が少ないことを逆に活用したコントラストをうまく使い、初夏の強い光と木陰の爽やかさを描き出している。
人気があるのは、絵の良さに加え、作者と同時代を生きてきたことから来る共感だろう。
<ジュディオング倩玉 「華堂初夏」>
2.上村松園と片岡球子の作品
上村松園の作品は素敵なしぐさと若さ溢れる純な美しさ、女性がきっとほれる。ジュディオングという時代の作品を外せば、これがトップというのもうなずける。
<上村松園 「初秋」>
柔軟だが芯が強く折れない上村松園とは真逆の、剛直で力強い片岡球子が、松園の次に評価されているのも興味深い。私はこの人の絵を見ると元気が出て好きだが、穏やかな日本画の表現に慣れている人はびっくりするだろう。この2人が続いている事で、この美術館のお客は、両者の良さを理解できる良い鑑賞者なのだなと思う。
<片岡球子 「桜咲く富士」>
この2人は、今後とも人気を維持するだろう。
3.川合玉堂、竹内栖鳳、東山魁夷の作品
チラシには、表記の3者の作品も並べられていたので、紹介する。
川合玉堂のものは非常に美しい伝統的富士山。技術レベルは非常に高い。でも今だったら、片岡球子のもののほうがパンチ力がある。
<川合玉堂 「田子浦」>
竹内栖鳳のカツオの写生は、いかにもビチビチ跳ね回っていそうで好き。眼が生きている。
<竹内栖鳳 「松魚」>
東山魁夷のものは、彼の看板の、緑や青の溢れる風景。魁夷の様式美である。
<東山魁夷 「若葉の渓」>
4.その他
その他もなかなかいい作品が揃っている。その中では桑田りえこのキクの装飾的写実画、田村能里子の男性2人の絵が気に入った。
前述したが、近代画家の有名どころがカタログ的ににコンパクトにずらっと並んでいるので、それぞれを見比べたりするのに役にたつ展示会であった。
場所:古川美術館(名古屋市の池下)
開催期間:2023年1月7日~2月26日
訪問日:2月9日
展示内容:この美術館の平成・令和の人気作品
少し掲載が遅れましたが これまでと同様に散歩の一環として、地域の美術館である古川美術館を訪問した。この美術館も名古屋のかつてのお茶を嗜む実業家の粋人が作ったもので、近世の日本画を中心として洋画も含むコレクションを行っていて、故人となった後も法人が蒐集を行っているようである。
名古屋近辺の美術館は、最近自分のコレクションのベスト版を展示しているところが多いが、この美術館は、平成期、令和期のそれぞれある時期の美術館来訪者のアンケートから選ばれた作品を展示していた。
一部違っているかもしれないが、ベスト5は以下のとおり。
<令和>
1.ジュディオング倩玉 「華堂初夏」
2.上村松園 「初秋」
3.片岡球子 「桜咲く富士」
4.森田りえ子 「咲」
4.伊藤小坡 「春寒」
<平成>
1.ジュディオング倩玉 「華堂初夏」
2.上村松園 「初秋」
3.東山魁夷 「若葉の渓」
4.片岡球子 「桜咲く富士」
5.上村松篁 「野月」
上記の作品、そして上記に入らなかったけれども、人気の高い有名どころの作者の作品が並んでいた。例えば、横山大観、竹内栖鳳、伊藤深水、川合玉堂、横山大観、小磯良平・・・。
有名どころの作者の小ぶりな作品を網羅的に集めているようだった。
全体で展示作品は34点。
洋画もコレクションしているのに、日本画ばかりがベスト5に入り(ジュディオングのは日本画風の版画)、特に令和のベスト5が女性美術家ばかりになっているのが、この美術館の訪問者の特徴か。
これらから、チラシに扱われている作品を利用して、感想を述べる。なおチラシを折ってしまたので、その後がついていて申し訳ない。
1.ジュディオング倩玉の作品
縦横1mを越える大きな版画の作品。
ジュディオングが版画をやっているとちらっと聞いたことがあったが、こんなに鮮烈な作品だとは知らなかった。調べて見ると25歳の頃から、棟方志功の孫弟子となり、33歳の時に日展に入選、その後日展で特選になるなど多くの展覧会で賞をとっている大家になっているようである。
この作品は48歳の頃の作品。版画特有の強い線と色彩数が少ないことを逆に活用したコントラストをうまく使い、初夏の強い光と木陰の爽やかさを描き出している。
人気があるのは、絵の良さに加え、作者と同時代を生きてきたことから来る共感だろう。
<ジュディオング倩玉 「華堂初夏」>
2.上村松園と片岡球子の作品
上村松園の作品は素敵なしぐさと若さ溢れる純な美しさ、女性がきっとほれる。ジュディオングという時代の作品を外せば、これがトップというのもうなずける。
<上村松園 「初秋」>
柔軟だが芯が強く折れない上村松園とは真逆の、剛直で力強い片岡球子が、松園の次に評価されているのも興味深い。私はこの人の絵を見ると元気が出て好きだが、穏やかな日本画の表現に慣れている人はびっくりするだろう。この2人が続いている事で、この美術館のお客は、両者の良さを理解できる良い鑑賞者なのだなと思う。
<片岡球子 「桜咲く富士」>
この2人は、今後とも人気を維持するだろう。
3.川合玉堂、竹内栖鳳、東山魁夷の作品
チラシには、表記の3者の作品も並べられていたので、紹介する。
川合玉堂のものは非常に美しい伝統的富士山。技術レベルは非常に高い。でも今だったら、片岡球子のもののほうがパンチ力がある。
<川合玉堂 「田子浦」>
竹内栖鳳のカツオの写生は、いかにもビチビチ跳ね回っていそうで好き。眼が生きている。
<竹内栖鳳 「松魚」>
東山魁夷のものは、彼の看板の、緑や青の溢れる風景。魁夷の様式美である。
<東山魁夷 「若葉の渓」>
4.その他
その他もなかなかいい作品が揃っている。その中では桑田りえこのキクの装飾的写実画、田村能里子の男性2人の絵が気に入った。
前述したが、近代画家の有名どころがカタログ的ににコンパクトにずらっと並んでいるので、それぞれを見比べたりするのに役にたつ展示会であった。