てんちゃんのビックリ箱

~ 想いを沈め、それを掘り起こし、それを磨き、あらためて気づき驚く ブログってビックリ箱です ~ 

覚王山 揚輝荘訪問

2021-11-23 21:15:33 | 美術館・博物館 等

訪問日:2021年11月17日
場所:名古屋市 地下鉄覚王山 日泰寺の隣
概要:
大正7年ごろから整備され始め昭和14年に完成した松坂屋初代社長の別邸。会社の迎賓館兼別荘兼留学生の宿舎として使用。かつては1万坪の敷地で30数棟の建物、回遊式庭園、テニスコートなどがあった。(下図参照)
 今は主要な数棟と庭のみとなり(下図の赤字)、 図の上部の赤字の部分が北園、下部の赤字部分が南園として分かれて残っている。それらを名古屋市が所有し維持管理。
その他の土地は高級マンションとなっていて、北園と南園間はマンション敷地に沿った細い道を静かに移動。
 一応紅葉の場所としても知られているが、残念ながら早かった。



 この日は、日泰寺にお参りするということで出かけ、ついでに揚輝荘を訪問したらなかなか良かったので、主要なものを紹介する。

1. 北園
 私たちは日泰寺側から来たので、まず北園に入った。北園は池泉回遊式庭園を歩き、各建物を覗いていくという方式になっている。

(1) 伴華楼
 ここは徳川家ゆかりの座敷に洋室を付け加えた建物で、中には入れないが松坂屋初代社長の前身の伊藤銀行頭取からの活動内容が、外部からのぞけるように展示してあり、それが面白い。以下は入口と展示品。




<火の用心以外は読めないよ>



読み方も
ましてや意味も
わからない
昔の人の
レベルは凄い




(2) 豊彦稲荷
 商売の神様として敷地の中にお稲荷様がある。なんと京都の仙洞御所から勧請したという由緒あるお稲荷様。ずらっと並んだ鳥居をくぐっていくだけで御利益がありそう。

<神のスキャン>



紅の
鳥居を一つ
くぐるたび
神のスキャンに
心定まる





(3) 白雲橋
 修学院離宮の千歳橋を模したといわれる中が細い座敷のような橋。中に入ることができれば、のんびりと池の風景を眺めていられるだろう(立ち入り禁止)。外から見ると、池面の揺らぎによる反射の光が軒下などで揺らいでいるのが面白い。

<返照>



秋風が
水面を揺らし
返照が
夏の穢れを
浄化していく





(4) 三賞亭および庭
 三賞亭は最初に移築された茶室で、北園の庭を見晴らすいい位置に立っている。

<特等席>



巡りくる
贅沢すぎる
日本の四季
特等席を
ここに備える



 庭には、立派な巨木が植えられていてとても贅沢な空間となっている。また非常にシックな橋もあり、四季折々の風景が楽しめるようになっている。





2.南園

 南園では、揚輝荘の主要建築である聴松閣の中を、入場料300円を払い見学する形式となっていた。その庭園は週に2回見学できるとのことだったが、あいにくとその日は対象外であった。なおこの建物は敗戦後暫く米軍司令官用宿舎として接収された。
外観は山荘風で、地上2階、地下1階の建物。各階とも見どころがあった。特に2階では着物の展示会を実施していた。

(1)1階
 建物は赤く塗られた山荘風。入口に非常に古い初代社長が中国から持ち帰った虎の石像が飾られている。
 入口のたたきは、上高地帝国ホテルに似せて、大木の断面が埋め込まれている。




<松坂屋迎賓館>



ログハウス
おいしい食事に
ダンスホール
千客万来
ようこそ名古屋



 1階のメインルームは食堂。大きな暖炉があり、側面には金塗装の柱で飾った食事を出すカウンターがある。上には社長名の「いとう」の欄。
 床やドアなどは木製だが、徹底的に職人の装飾が入っている。



<職人の粋>



突然の
陽の矢印に
足止める
ここにもあるね
職人の粋



この色の変わったところは、重いものがそこに乗ったのではなく、職人が削った模様。



(2)2階
 2階には応接室や寝室がある。どれも非常にこだわった造りになっている。和洋、中国などいろいろな様式がミックスされている。
私たちがいった時は、ここに昭和前期の贅沢な着物が展示されていた。  



 以下は 和室の床の間飾りと、2階からのカーテンを通した風景

<見張り番>



手足でず
ただ瞠目し
楽しむは
流れ矢が飛び
落葉舞い散る


 銀杏の落葉があしらってあります。

<秋をあんぐり>



美しい
紅葉それを
あんぐりと
食べちゃったんだよ
見せてあげない




(3)地階
 この建物は地階がもっとも面白い。食事が終われば地階のダンスホールへ行ったとのことだが、小さな舞台が付いていて、ちょっとした劇ならできそう。
 降りたところにインドからの留学生の壁画が残されている。一見 なかなか快楽的。
部屋の中もインド風の装飾で飾られていて、明かり取りの窓にはヒマラヤの浮彫がなされている。

 以下はダンスホールの舞台側、および暖炉側、そして壁画。

 


<ダンシング オールナイト>



潜窟で
踊りあかそう
オールナイト
インドの神が
楽しむように


 
おわりに

 最盛期のほぼ1/5 の広さとなっているが、名古屋のかつての豪商の生活、またアジアとの交流が実感できた。これを維持しようとしている名古屋市も頑張っている。
 名古屋に住んでいる私たち自身初めて見たが、とても面白くまた名古屋人とシテ誇りに思った。名古屋在住者だけでなく、それ以外の人も是非訪問していただきたい。
コメント (2)
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