少々古い記事ですが,面白い話がないではないので拾っておく。
BBC Could Somali famine deal a fatal blow to al-Shabab? 9 August 2011 Last updated at 07:19 GMT By Farouk Chothia
要点
・飢饉は人々に,アルシャバブの統治能力にたいする疑問を抱かせた。
・そのため,アルシャバブ支配地域から人口が流出していく。アルシャバブはこの動きに傍観者たらざるを得ない。
・飢饉は,無論,人災の側面を持つが,”ではなぜアルシャバブ支配地域で,なのか?”。
・アルシャバブは何故,活動出来ているのか?
・この二つの疑問に答える答え:「アルシャバブは支配下地域で森林伐採を行い,木炭をKismayo経由で輸出している」。おかげでエリトリア(などという貧困国家)に頼らず,自律的に行動できる。
→森林保護・自然保護派としては,アルシャバブにノーを突きつけざるを得ない。
記事冒頭「ソマリアの好戦主義イスラミスト団体アルシャバブは危機にある。この国の他の個所より,彼らの支配下の地域での飢饉は厳しく,これに対処せねばならないのだ。これはアルカイダにリンクするこの団体の,指導層の分裂をも結果している」。
「これはアルシャバブにとってよからぬ絵図だ」と米国に根拠を置くソマリ人ジャーナリストAbdirahman Aynteは言う。彼はアルシャバブに関する本を書いているのだ。「50万人ほどもの人々が去っていった。アルシャバブはそれになにもできていない。彼らは傍観者となってしまった」。
「アルシャバブは厳しい法を布いていたが,ともあれ支持はあった。というのも,彼らは安定を齎したからだ」。「政府支配下地域も安全ではない―兵隊さえ強盗窃盗に関与する。アルシャバブ地域では,もしひとが盗みを犯せば,その手を切られてしまうだろう。抑止力だね」。
ケニアに根拠を置くFatuma Noorの説では,「アルシャバブは支持を失った。人々は,その地域の飢饉が雨の欠乏によって起きているとは言っている。だが飢饉はman-madeなものだ。彼らは問うている―なんでアルシャバブ支配地域でだけこんなんなんだ?」。
彼女によれば,ソマリ人はアルシャバブをこの点で批判するのだ。去年から旱魃・飢饉だっただろう,それなのに西欧の援助機関を締め出し,そして飢饉に対する対策をしてこなかった。
ロンドン在のアルシャバブ筋の人物によれば,国連も悪い。アルシャバブが国連機関の進入を許すと,国連が飢饉を宣言する。―国連はアルシャバブを打倒しようとしているんじゃないか。領域内に深く侵入しようとしているんじゃないか。国連はまず,アルシャバブと信頼関係を構築するべきだ。そうして人命救助のために援助すべきだ。それを飢饉とよぼうが旱魃とよぼうが,構わないが!
―しかしAynteはアルシャバブを責任転嫁の点で批判する。「彼らは旱魃が起きている,それはアラーの意思によって引き起こされたのだ,人々は雨を希うがよいといっている」。そして援助機関としてはアルシャバブと共同するのは難しい。何しろ,アルシャバブは金銭を要求するので。「アルシャバブは援助団体を疑っているが,その収入の10%-15%は援助団体から得たものだ」。
援助機関の登録料は$4,000から$10,000という。
―安全や治安が水か空気かのようにタダ(のように見える)のは,それは豊かな国に住んでいればこそで,ああした国の場合,援助機関もそれなりの護衛だのなんだのなければならない。登録料は,実際高いか安いかはともあれ,取らざるをえないという一面はあろうし,払わねばならないという一面もあろう。
で,指導層のお話がさしはさまれる―南部出身のMuktar Ali Robow(飢饉に見舞われた下Shabelle出身)やSheikh Hassan Dahir Aweysなどには,お膝元の民が呻吟しているわけ。他方,北部出身のAhmed Abdi Godaneとしては,彼らほど身に迫った話ではない。
Robowとしては,身内を救うためにも援助機関を受け入れたい。だがGodaneとしては国連を疑っており,ソマリアに導入したくない。ここで対立がある。感情的なもつれも出よう,奴は北部出身だ,だから南部人を死ぬにまかせたいんだろう!などと。
さらには先の6月,Godaneの腹心,Fazul Abdullah Mohammed(アルカイダ東アフリカ作戦担当)がモガディシュの政府側検問に引っかかって殺害された。FazulはCoromos出身であってモガディシュに不案内だ。Godaneとしては,Fazulの敵が彼を欺き政府側の手に落ちるよう計らったのだろうと疑う。政府側はFazulの顔を知るまい,米国のDNAテストがあって初めて人定できたのだ…。
…Fazulの死はGodaneに対する大打撃であり,彼はもっと厳しく支配する必要を感じた。具体的には,ソマリアに西欧の勢力を入れないようにと!
さて,7000-9000の兵を食わせる「種」の一つは,疑いもなくモガディシュからの税収であった。バカラ・マーケットからのアガリも結構なものだったろう(4000ほどのお店から,個人商店からは月$50,telecomsからは数千ドルという)。モガディシュ撤退でこの収入の道が断たれたわけだが―
支配下地域で森林伐採を行い,これを木炭化して沿岸諸国(サウジアラビア,オマーン,アラブ首長国連合など)に売却。Kismayo経由の取引だけで年間$15mだとか。すでにこれは工業のレベルに達していると言って言い過ぎではなかろう,というわけだ。
―それだけやっちゃったら,森林の保水力というのも,なんだその…。というわけだ…。
BBC Could Somali famine deal a fatal blow to al-Shabab? 9 August 2011 Last updated at 07:19 GMT By Farouk Chothia
要点
・飢饉は人々に,アルシャバブの統治能力にたいする疑問を抱かせた。
・そのため,アルシャバブ支配地域から人口が流出していく。アルシャバブはこの動きに傍観者たらざるを得ない。
・飢饉は,無論,人災の側面を持つが,”ではなぜアルシャバブ支配地域で,なのか?”。
・アルシャバブは何故,活動出来ているのか?
・この二つの疑問に答える答え:「アルシャバブは支配下地域で森林伐採を行い,木炭をKismayo経由で輸出している」。おかげでエリトリア(などという貧困国家)に頼らず,自律的に行動できる。
→森林保護・自然保護派としては,アルシャバブにノーを突きつけざるを得ない。
記事冒頭「ソマリアの好戦主義イスラミスト団体アルシャバブは危機にある。この国の他の個所より,彼らの支配下の地域での飢饉は厳しく,これに対処せねばならないのだ。これはアルカイダにリンクするこの団体の,指導層の分裂をも結果している」。
「これはアルシャバブにとってよからぬ絵図だ」と米国に根拠を置くソマリ人ジャーナリストAbdirahman Aynteは言う。彼はアルシャバブに関する本を書いているのだ。「50万人ほどもの人々が去っていった。アルシャバブはそれになにもできていない。彼らは傍観者となってしまった」。
「アルシャバブは厳しい法を布いていたが,ともあれ支持はあった。というのも,彼らは安定を齎したからだ」。「政府支配下地域も安全ではない―兵隊さえ強盗窃盗に関与する。アルシャバブ地域では,もしひとが盗みを犯せば,その手を切られてしまうだろう。抑止力だね」。
ケニアに根拠を置くFatuma Noorの説では,「アルシャバブは支持を失った。人々は,その地域の飢饉が雨の欠乏によって起きているとは言っている。だが飢饉はman-madeなものだ。彼らは問うている―なんでアルシャバブ支配地域でだけこんなんなんだ?」。
彼女によれば,ソマリ人はアルシャバブをこの点で批判するのだ。去年から旱魃・飢饉だっただろう,それなのに西欧の援助機関を締め出し,そして飢饉に対する対策をしてこなかった。
ロンドン在のアルシャバブ筋の人物によれば,国連も悪い。アルシャバブが国連機関の進入を許すと,国連が飢饉を宣言する。―国連はアルシャバブを打倒しようとしているんじゃないか。領域内に深く侵入しようとしているんじゃないか。国連はまず,アルシャバブと信頼関係を構築するべきだ。そうして人命救助のために援助すべきだ。それを飢饉とよぼうが旱魃とよぼうが,構わないが!
―しかしAynteはアルシャバブを責任転嫁の点で批判する。「彼らは旱魃が起きている,それはアラーの意思によって引き起こされたのだ,人々は雨を希うがよいといっている」。そして援助機関としてはアルシャバブと共同するのは難しい。何しろ,アルシャバブは金銭を要求するので。「アルシャバブは援助団体を疑っているが,その収入の10%-15%は援助団体から得たものだ」。
援助機関の登録料は$4,000から$10,000という。
―安全や治安が水か空気かのようにタダ(のように見える)のは,それは豊かな国に住んでいればこそで,ああした国の場合,援助機関もそれなりの護衛だのなんだのなければならない。登録料は,実際高いか安いかはともあれ,取らざるをえないという一面はあろうし,払わねばならないという一面もあろう。
で,指導層のお話がさしはさまれる―南部出身のMuktar Ali Robow(飢饉に見舞われた下Shabelle出身)やSheikh Hassan Dahir Aweysなどには,お膝元の民が呻吟しているわけ。他方,北部出身のAhmed Abdi Godaneとしては,彼らほど身に迫った話ではない。
Robowとしては,身内を救うためにも援助機関を受け入れたい。だがGodaneとしては国連を疑っており,ソマリアに導入したくない。ここで対立がある。感情的なもつれも出よう,奴は北部出身だ,だから南部人を死ぬにまかせたいんだろう!などと。
さらには先の6月,Godaneの腹心,Fazul Abdullah Mohammed(アルカイダ東アフリカ作戦担当)がモガディシュの政府側検問に引っかかって殺害された。FazulはCoromos出身であってモガディシュに不案内だ。Godaneとしては,Fazulの敵が彼を欺き政府側の手に落ちるよう計らったのだろうと疑う。政府側はFazulの顔を知るまい,米国のDNAテストがあって初めて人定できたのだ…。
…Fazulの死はGodaneに対する大打撃であり,彼はもっと厳しく支配する必要を感じた。具体的には,ソマリアに西欧の勢力を入れないようにと!
さて,7000-9000の兵を食わせる「種」の一つは,疑いもなくモガディシュからの税収であった。バカラ・マーケットからのアガリも結構なものだったろう(4000ほどのお店から,個人商店からは月$50,telecomsからは数千ドルという)。モガディシュ撤退でこの収入の道が断たれたわけだが―
支配下地域で森林伐採を行い,これを木炭化して沿岸諸国(サウジアラビア,オマーン,アラブ首長国連合など)に売却。Kismayo経由の取引だけで年間$15mだとか。すでにこれは工業のレベルに達していると言って言い過ぎではなかろう,というわけだ。
―それだけやっちゃったら,森林の保水力というのも,なんだその…。というわけだ…。
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