当ブログのTPPの詳細を野田首相は知らないと野田首相はTPP交渉参加を表明でも書いたのだが、先日、国会の予算委員会でTPPに付いて理解していない事を露呈しながらも、その舌の根も乾かない内に夜の記者会見で、TPPの交渉参加を表明した野田佳彦首相。
TPP交渉参加を手土産にして、意気揚々とAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の会場であるハワイのホノルルに乗り込んだ野田首相だったのだが、12日に開かれたTPP交渉9カ国の首脳会合に、残念ながら招待されなかった様だ。
TPP参加国による交渉の大枠合意を演出する首脳会合の場に、交渉参加を表明したばかりの日本は時期尚早であるとの判断がその理由なのだが、日本政府の一部には、野田首相がAPEC首脳会議前に交渉への参加を表明すれば、TPP首脳会合にも招待される可能性があるとの思惑があった為、落胆が広がっている。
そんな中で行われた12日の日米首脳会談に付いて、米国政府が文書で発表した概要によると、野田首相はTPP交渉で、全ての物品やサービスが対象となるとの考えを述べた。
会談で首相は「TPP交渉への参加を視野に、各国との交渉を始める事を決めた」とオバマ大統領に伝え、大統領は「両国の貿易障壁を除去する事は、日米の関係を深める歴史的な機会になる」とコメント。
その上で、大統領は「全てのTPP参加国は、協定の高い水準を満たす準備をする必要がある」と広い分野での貿易自由化を日本に求め、野田首相も「貿易自由化交渉のテーブルには全ての物品、サービスを載せる」と応じた様だ。
また、会談で野田首相は、米国産牛肉の輸入規制緩和に向けた手続きを始めたと説明し、オバマ大統領は歓迎の意向を示した。
TPP参加国であるマレーシアのナジブ首相は12日、将来の日本の交渉参加に付いて「原則的に賛成だが、交渉を遅らせる事は許されない」と述べた。
ナジブ首相は「既に合意された事項に付いて再交渉は有り得ない」とし、これまでの交渉で9ヵ国が合意した通商ルールを受け入れる事が日本参加の前提だと強調。
また、ナジブ首相はTPP首脳会合で9ヵ国が「来年7月の交渉妥結が望ましいとの認識で大筋一致した」事も明らかにした。
日本が交渉に参加するには、TPPに参加している9ヵ国の同意が必要であり、マレーシアのみならず他の参加国からも、9ヵ国が合意した通商ルールを日本が受け入れる事が参加の前提であると主張して来るのは必至な状況。
「外交とは武器を持たない戦争」と言われ、TPPでも各々の国が国益を守る為に様々な手段を用いて、自国の利益に戦う訳だ。
それなのに、交渉参加を前にして、野田首相の様に「貿易自由化交渉のテーブルには全ての物品、サービスを載せる」と発言した事は、大事な交渉カードを何枚か切った形となり、守るべきは死守する筈の日本の交渉に於いて、マイナスになるのではないか。
そして、ナジブ首相が言った「9ヵ国が合意した通商ルール」と言うのも気になる所であり、TPPの交渉段階の内容に付いては原則非公開だから、どう言った内容が合意している通商ルールなのか不明である。
既に、日本にとって不都合な条項が合意に至っている可能性もあるし、逆に日本にとって好都合な条項が合意しているかも知れない。
何れにせよ、現時点での合意条項を承認したとしても、日本がTPP交渉に参加出来るのは、米国議会の承認(約3ヶ月)を経なければならず、議会の議題に載せる事前交渉(約3ヶ月)を含めると約半年後である。
約半年後と言えば、交渉は更に進み、かなりの条項で合意に至っているのではないか。
それらを踏まえて考えれば、やはりTPPの参加を表明した事は拙速だったと言わざるを得ない。
外交が下手で交渉力に疑問符が付く日本の代表団なのに、マイナスの状況から交渉に参加しなければならないのは如何なものか。
日本が強かな外交力を持ち、交渉が上手で国益を守る術に長けていれば、この様な心配をしなくても良いのだが、何せ外交の得意技が「お土産」と言う日本であるから不安感が募る。
外交でも政治でもビジネスでも同じだろうけど、交渉とは互いの利害を調整する場である。
自分の主張ばかりを通せば、交渉にならないし、相手の言い分ばかりを呑めば、損をするだけである。
その辺の微妙な匙加減が下手なのが日本であり、国の命運が掛かる重要なTPP交渉だから、不安は尽きないのである。
国内でもTPP反対派や慎重派の声が多いのだが、それらを押し切って迄、TPPに参加する意義があるのだろうか?。
余談だが、野田首相がハワイに訪れたのは本人曰く「ホノルルはテレビのクイズ番組で優勝して訪れた20歳の学生の時から34年振り」との事。
何のクイズ番組なのかと言えば、「10問正解して夢のハワイへ」がキャッチフレーズだった「アップダウンクイズ」らしい。では。
以下、TPP関連エントリも読んでみて下され。
・知れば知る程、ヤバいTPP
・TPPと規制緩和と食品の安全
・TPPは日米修好通商条約
【ネッタイムス・東坊京門・作】
TPP交渉参加を手土産にして、意気揚々とAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の会場であるハワイのホノルルに乗り込んだ野田首相だったのだが、12日に開かれたTPP交渉9カ国の首脳会合に、残念ながら招待されなかった様だ。
TPP参加国による交渉の大枠合意を演出する首脳会合の場に、交渉参加を表明したばかりの日本は時期尚早であるとの判断がその理由なのだが、日本政府の一部には、野田首相がAPEC首脳会議前に交渉への参加を表明すれば、TPP首脳会合にも招待される可能性があるとの思惑があった為、落胆が広がっている。
そんな中で行われた12日の日米首脳会談に付いて、米国政府が文書で発表した概要によると、野田首相はTPP交渉で、全ての物品やサービスが対象となるとの考えを述べた。
会談で首相は「TPP交渉への参加を視野に、各国との交渉を始める事を決めた」とオバマ大統領に伝え、大統領は「両国の貿易障壁を除去する事は、日米の関係を深める歴史的な機会になる」とコメント。
その上で、大統領は「全てのTPP参加国は、協定の高い水準を満たす準備をする必要がある」と広い分野での貿易自由化を日本に求め、野田首相も「貿易自由化交渉のテーブルには全ての物品、サービスを載せる」と応じた様だ。
また、会談で野田首相は、米国産牛肉の輸入規制緩和に向けた手続きを始めたと説明し、オバマ大統領は歓迎の意向を示した。
TPP参加国であるマレーシアのナジブ首相は12日、将来の日本の交渉参加に付いて「原則的に賛成だが、交渉を遅らせる事は許されない」と述べた。
ナジブ首相は「既に合意された事項に付いて再交渉は有り得ない」とし、これまでの交渉で9ヵ国が合意した通商ルールを受け入れる事が日本参加の前提だと強調。
また、ナジブ首相はTPP首脳会合で9ヵ国が「来年7月の交渉妥結が望ましいとの認識で大筋一致した」事も明らかにした。
日本が交渉に参加するには、TPPに参加している9ヵ国の同意が必要であり、マレーシアのみならず他の参加国からも、9ヵ国が合意した通商ルールを日本が受け入れる事が参加の前提であると主張して来るのは必至な状況。
「外交とは武器を持たない戦争」と言われ、TPPでも各々の国が国益を守る為に様々な手段を用いて、自国の利益に戦う訳だ。
それなのに、交渉参加を前にして、野田首相の様に「貿易自由化交渉のテーブルには全ての物品、サービスを載せる」と発言した事は、大事な交渉カードを何枚か切った形となり、守るべきは死守する筈の日本の交渉に於いて、マイナスになるのではないか。
そして、ナジブ首相が言った「9ヵ国が合意した通商ルール」と言うのも気になる所であり、TPPの交渉段階の内容に付いては原則非公開だから、どう言った内容が合意している通商ルールなのか不明である。
既に、日本にとって不都合な条項が合意に至っている可能性もあるし、逆に日本にとって好都合な条項が合意しているかも知れない。
何れにせよ、現時点での合意条項を承認したとしても、日本がTPP交渉に参加出来るのは、米国議会の承認(約3ヶ月)を経なければならず、議会の議題に載せる事前交渉(約3ヶ月)を含めると約半年後である。
約半年後と言えば、交渉は更に進み、かなりの条項で合意に至っているのではないか。
それらを踏まえて考えれば、やはりTPPの参加を表明した事は拙速だったと言わざるを得ない。
外交が下手で交渉力に疑問符が付く日本の代表団なのに、マイナスの状況から交渉に参加しなければならないのは如何なものか。
日本が強かな外交力を持ち、交渉が上手で国益を守る術に長けていれば、この様な心配をしなくても良いのだが、何せ外交の得意技が「お土産」と言う日本であるから不安感が募る。
外交でも政治でもビジネスでも同じだろうけど、交渉とは互いの利害を調整する場である。
自分の主張ばかりを通せば、交渉にならないし、相手の言い分ばかりを呑めば、損をするだけである。
その辺の微妙な匙加減が下手なのが日本であり、国の命運が掛かる重要なTPP交渉だから、不安は尽きないのである。
国内でもTPP反対派や慎重派の声が多いのだが、それらを押し切って迄、TPPに参加する意義があるのだろうか?。
余談だが、野田首相がハワイに訪れたのは本人曰く「ホノルルはテレビのクイズ番組で優勝して訪れた20歳の学生の時から34年振り」との事。
何のクイズ番組なのかと言えば、「10問正解して夢のハワイへ」がキャッチフレーズだった「アップダウンクイズ」らしい。では。
以下、TPP関連エントリも読んでみて下され。
・知れば知る程、ヤバいTPP
・TPPと規制緩和と食品の安全
・TPPは日米修好通商条約
【ネッタイムス・東坊京門・作】