光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

トム・サックス ティーセレモニー展を見て #2 実演

2019年06月11日 | アート 現代美術

 トム・サックス ティーセレモニーの実演を中心に紹介します。

まず、茶室のある露地全体のイメージを。 

 OUTER GARDEN(外露地)の門です。作品表記は《Torii(Middle Gate)》

 《Torii(Middle Gate)》、2015 Con Ed社仕様柵、スチール製波板、エポキシ樹脂、スチール製金物

 

 

 中央部に池、左の半楕円形のボックスは雪隠です。 奥の門の向こう側が”INNER GARDEN”(内露地)になります。 

 池 《Pond Berm》2016 合板、ラテックス塗装、スチール製金物、鯉

 

 

 

 

 池には鯉が十数匹、泳いでいました.

壁面のディスプレイには、トムにとっての象徴的でスタンダードな素材であるシンダーブロック(穴の開いた軽量コンクリートブロック)を

合板で模した作品が映し出されていました。(茶室の床の間に飾られているシンダーブロックのカメラ映像です)

その右横には《Sawhaus》、これは炉中の炭を作るために木材をカットする「木挽き台」。

 

 

 《Sawhaus》  別室のシアターでビデオを見ると、トム・サックスは、兜をかぶって木を切っていました。

 

 

 

 

 石灯籠もあります。 オイルランプが組み込まれているので、点灯できます。

 《Ishidoro》2015 合板、ファイバーグラス、陶製タイル、エポキシ樹脂、オイルランプ、ミクストメディア

 

 雪隠なんですが、最初はなんだろう?と思いました。

 

 

 

 

飛行機のトイレが原型ですね。 

 《LAV 3》2014  Con Ed社仕様柵、合板、ポリスチレン断熱材、インシノレット社製トイレ、ミクストメディア

 

 

 中門です。
手前のブロンズ像は《The Kiss》2019 確かに抱き合っているポーズで、まさにキス。
門の右横の壁には留め石も置かれています。

 《Chumon(Middle Gate)》2014 Con Ed社仕様柵、合板、ラテックス塗装、ドラム缶、箒の柄

 

 

 ”INNER GARDEN”(内露地)です。

石灯籠と蹲(つくばい)。 石灯籠の支柱はポリバケツ、蹲には、プッシュ式消毒液が置かれている

 

 《Ishidoro》2013 ミクストメディア   《Tsukubai》2014 Con Ed社仕様柵、合板、ラテックス塗装、エポキシ樹脂、ミクストメディア

 

 

 

手前は、松の盆栽《Bonsai》。 ダンボール筒や綿棒、タンポンなどで松の枝葉を作られている。

奥に工事現場の立ち入り禁止柵やトタン屋根、ポリスチレン断熱材などで作った茶室《Tea House》。右は五重の塔《Stupa》ブロンズ。  

 

 

 茶室のなかです。

左端にPanasonicの電気ポット《kama》2015、
スポーツ競技用ショットクロックは、点茶前の30秒の瞑想などをカウント
床の間にはモハメッド・アリとその格言を描いたトム直筆の掛軸と、シンダーブロックの作品(カメラで外のディスプレイに映しだされている)



 

カタカナで書かれたモハメド・アリの格言の訳は「自信があるのなら、大口をたたいたことにはならない」
(カタカナのユーキャンのーは縦書きだと|ですが、一生懸命、カタカナを書いた作者の御愛嬌)
アリの肖像画、賛?(格言)を含めて、面白い掛軸です。

       

 


茶室にくっついた水屋では、外人の方が、何やら仕込み中。

この方が、今日の亭主で、トム・サックスに茶道を指導したジョニー・フォグ氏のようです。

 

 

 

 リッツクラッカーにピーナッツバターを塗っている。 茶席のお菓子の準備だ。

狭い部屋に、いろんな道具、材料が整然と収納されている!

 

 

 

 

 

 

 

 

さー、ティーセレモニーの実演が始まりました。 お客は、抽選で選ばれた女性3名です。

本展では茶室の構造が会場に落とし込まれており、「CORRIDOR」は茶道で言うところの「腰掛(こしかけ)」(休息所)。 露地で履くサンダ

ルの説明をする 亭主ジョニー・フォグ氏。 流暢とまではいきませんが、日本語で会話していました。

 

 

 

 サンダルはナイキの特注品(トムとナイキの社長は友達のようだ) 

 

 


携帯電話や時計、宝石は、保管庫に一時預かり。 

 

 

 

 会場内で着る上着が配られます。 なお、実演の様子はインスタグラムで生中継されていました。(中央のスマホを持った係員の方)




腰掛けに座ったお客に、ミネラルウォーターが。  火鉢と網もあるので、火が使えれば餅など焼くのかな?

 

 

 

 イサムノグチの彫刻を模した碑《Narrow Gate》のところで、その意義を説明する亭主・ジョニー・フォグ氏

 

 

 外露地の待合で、手製のキセルを使った喫煙を説明する亭主。(実際には喫煙しません)

 

 

 

別室シアターで喫煙の場面がありましたが、石川五右衛門を彷彿とさせる豪快なものでした。
私は茶の湯は知らないのですが、現代の茶道では、こんなもてなしはないのでしょうね。

 

 

 

 シンダーブロックの画像ディスプレーの説明。

 

 

 

 《Daisu》を説明する亭主。 掃除や修繕道具の物置台(茶道でいう台子(だいす)と違うものかも)

 

 

 

 

 内露地に入ります。

 

 

 

 

 蹲で手を清める。(プッシュ式消毒液は使いませんでした)

 

 

 

 松の盆栽の説明。

 

 

 

 茶室に入ります。

 

 

 

 

 瞑想、埃取り(亭主がコロコロで、客の服の埃を取る)、お菓子(真っ赤な太陽と呼ぶリッツクラッカーのピーナッツバター塗り、黒い太陽と呼ぶオレオなど)、お酒が出された後

緑の煙(抹茶缶の蓋をサッと開けて)



茶碗や茶筅が出てきました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電動茶筅がユニーク 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飲み終えると、遊びが始まりました。

 

 

 

 お客が木箱の石庭で、熊手を使って砂紋をつくりますが、そこに石に見立てた木片を、亭主が投げ込むので、砂紋を引き直すという遊び。

 

 

 

 次は、釘や鋲などの素材を使って、紙に自由に曼陀羅をつくる遊び。

 

 

 

 最後に、感想を書き

 

 

 終了です。  終了後、1時間ほどしてミュージアムショップに寄った時、参加した三名のうちの一人がいらしたので

参加の感想を聞くと、抽選であたって、茶の湯を楽しめ、ラッキーだったと喜んでいました。 茶道の経験を聞くと全く

ないとのこと。 見ているだけの私も楽しめましたから、本当に楽しい茶会だったと思います。

亭主のジョニー・フォグ氏も、暖かくユーモアがある感じでした。

昔、利休が、楽茶碗を、古田織部が破れ袋の水指を使ったとき、お客は最初は驚き、次にくすっと笑って、和やかな茶会になったと

勝手に思うのですが、今日のティーセレモニーがまさにそうでした。

思えば、楽茶碗も破れ袋も、当時のパリッパリッの現代美術作品といえるのではないでしょうか。

トム・サックスは、今、それをやったのです。  ブリコラージュという手法を用いて。

 

 

 

 「CORRIDOR」(腰掛、休息所)には、面白い掛軸がかかっていましたので紹介。


地球に帰還する絵かな

 《Comin’ Home》2019  キャンバス、ジェッソ、ナイロンウェビング、パラコード、陶器、重り、箒の柄

              

 

  

 《Sarek Scroll(I Have Always Been and Always Shall Be Your Friend)》2016
軍用テント、カプトン(耐熱フィルム)、タイペック(不織布)、麻、水彩、アクリル絵具、インク、荷造りテープ
ビリヤードのキュー

 

 

 

 《McDonald's》2019  エアバッグの生地、ケブラー(樹脂)、ジェッソとアクリル絵具を塗ったキャンバス
             ナイロンウェビング、パラコード、セラミック、ブラインド杖  

 

 

 赤い毛布は、デルタ航空の客室ブランケット(デルタのロゴ入り)

 《Tres Generaciones》2019  梱包用フェルト、麻、デルタ航空の客室ブランケット、キャンバス、ジェッソ
                ナイロンウェビング、パラコード、陶器、
重り、箒の柄

 

 

 会場入口の写真

 

6月2日(日)に訪れたとき、シアタ-での「ティーセレミニィ」の映像を見逃したので、6月8日(土)に再訪し、トム・サックスの

映像によるティーセレモニーを見ました。 展示作品を見ただけでは分からなかった点も解消できましたので、次回はその映像を紹介

します。


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