光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

トム・サックス ティーセレモニー展を見て #3 シアターの映像

2019年06月14日 | アート 現代美術

 トム・サックスのティーセレモニーの映像です。

《Tea Ceremony》2017 上映時間13分41秒  

なお、スクリーンのバック《Movie Dome》2019と、椅子《NASA Folding Chairs》2012も作品です。

 

 

 

 

 

ティーガーデンに入るトム。  場所はニューヨークのイサム・ノグチ美術館(2016年にティーセレモニー展を実施した美術館)

 

 

 Daisu(台子)が飾られています。 もっぱら、掃除やメンテナンスのための道具類。

 

 

 塵取りを腰に下げ、掃き掃除。 背景のイサム・ノグチの作品と思われる彫刻が、シブい!

 

 

 

 

 

 雪隠に行きます。 ん?お腹の掃除か。 靴から下駄に変わっています。

 

 

 いえいえ、ちゃんと拭き掃除です。

 

 

彫刻に拝礼するトム。  ここら辺は、茶道を知らないので分からないのですが、日本の茶道でもやるのかな?

 

 

 蹲に水を張る

 


盆栽の松(に見立てたもの)に向かうトム。

 

 

 

綿棒を原型として鋳造した、ブロンズの松葉。 手入れをしているところか。

 

 

 茶室の清掃。

 

 

 水屋で、お菓子や飲み物など、各種道具を専用のトレ―に載せて、コンパクトに収納。

 

 

 露地の池の鯉

 

 

 生簀から魚を取り出す網を、パシャッと池に投げ入れたところ。エッ?

 

 

 

 エーッ!!  もてなし用に鯉を刺身に! (赤身の魚なので鮭か?)

 

 

 炉の炭を作るため、木を切るトム。 兜が凄いと思った。 でも、兜の黒いメッシュの顔面マスクは、切り屑をの直撃を防ぐのに有用!

 

 

 切った木片と、炭にする焼成用ドラム缶。

 

 

 本物の松の枝を切り取り。

 

 

  

 茶室の花入れに、その松葉を入れる。

 

 

 

 

 

 腰掛けで、露地用サンダルに履き替え。

 

 

 大きなキセルで、刻み煙草を吸う客。

 

 

 蹲で手を清める。

 

 

 茶室に入ります。

 

 

 

 

 

 

 リッツクラッカーにピーナッツバターを塗ったお菓子。  

 

 

 

 

 

お酒。 猪口は、よく見ると木製だ。

 

 

 

 

 

ヨーダの頭をポンと開けて、キャンデーを。 

 

 

 出ました。電動茶筅。 竹の穂の部分は動かず、中央に撹拌用ヘッドがついています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よく、混ざったのか? 茶席に出たことがないので、よくわからない!

 

 

 終わって、お客が帰っていきます。

 

 

 

 

 

  

 すり上げ戸を開け

 

 

 今日の茶会の記帳をする。

 

 

 今回のティーセレモニーの実演に来ているジョニー・フォグ氏の名前も見える。

 14分近い映像を、40カットの写真で紹介しました。

見終った私の印象は、イサム・ノグチ美術館の庭などとマッチして、綺麗だったということと

トムスタイルの茶会ですが、妙に日本的な風情を感じ、全く違和感がなかったことです。

※以下は、6月19日に追加した記事です。

 本展については、トムのインタビューなどの言葉が、理解を深めるのに役立ちましたので、以下に、抜粋して引用させていただきます。

 

美術手帳(Web)NEWS / REPORT - 2019.4.20から抜粋

◆「茶道は茶碗ひとつとっても、あくなき探究心が求められます。しかしその本質は質素。そういったところに魅力を感じるのです。
  そして、資源が限られた日本で培われてきた自然や材料に対する眼差しは、21世紀の宇宙開拓時代に必須の人間活動のひとつです」。

◆「『文化の盗用』という言葉があります。私は日本人ではありませんが、全身全霊をかけてこういう仕事をやっている。私の仕事が
 意図
するものは、何かを拡張させようとすることなのです」。

トム曰く、ニューヨークでは茶道を嗜むことが高学歴の白人中年男性にとって、エリート意識をくすぐるステイタスになっているそうだ。
 千利休が秀吉の虚栄心を酔わせたように、わざと質素に振る舞うスタイルがクールだとか表層的に解釈され、利休が理想とした「侘び寂び」
 や「禅」からかけ離れてしまったことが茶道の弱みだ、と彼は語る。茶道のコアな価値観である純粋性、調和、静謐、敬意といったものは、
 人間がすでに知っている自由な概念であって、それを解き放つことに本来の茶道の精神がある、と主張する。

 本展ではイサム・ノグチの「古い伝統の真の発展を目指す」という姿勢にインスパイアされ、もてなしやリスペクトの意味を再定義しよう
 と試みる。富裕層が支えてきた茶道の伝統を自己流で発展させ、誰もが楽しめるようにするため「やりたい放題やってやった」(トム)。
 そこには「茶道の強みとは、その価値観とダイナミズムや柔軟性が、世界をより良くすること」と信じる独自の考察がある。


◆つまり、茶道では価値観を共有することによってホストとゲストの役割を置換えることができる。地球上ではこれまでゲストだった人類が、
 人新世(新たな地質年代)に突入した現在、環境に影響を与えるホストになり替わった。茶道の精神である敬意や調和にセンシティブである
 ことは、良いゲスト・良いホストになることに繋がる、と彼は考えている。

 

 VOGUE JAPAN Lifestyle / Culture  MAY 10, 2019 から抜粋 執筆は住吉智恵さん

◆オープニングレセプションでは、トム自身が主人を務め、武者小路千家15代家元後嗣の千宗屋氏らを迎えたお点前が行われた。
 主菓子「真夜中の太陽」はオレオ、茶筅はカプチーノメーカーみたいなモーター付き、茶の缶を開ければドリフのコント風に抹茶の煙が立ち
 茶碗はビヨンセと名付けられている。


◆トム・サックスならではのブリコラージュ(寄せ集め)とアプロプリエーション(借用)の手法で構成された作品群は、まさに利休の理想とした
 「見立て」(レディメイド)によって表現された、規律と自由を味わう茶道の世界だ。筋金入りの「コントロール・フリーク」(管理の鬼)である
 トムが、常日頃からスタジオ・クルーたちに徹底させてきた「10か条(Ten bullets)」の掟に従い、完璧に仕上げられた造形の妙と痛快なおとぼけ
 に満ちていた。
 
◆ 「僕がコントロール・フリークだなんて、まだまだ日本人のレベルには程遠いよ。僕にとってハンドメイドの制作行程を全てオープンにする透明性が
 とても重要で、手作業の痕跡をあえて残している。例えばiPhoneはすごい歴史的発明だけど、そこには人類の創造物であるという証がない。
 アーティストが大企業やスーパーブランドに太刀打ちできるとすれば、それは唯一、手工芸というブランディングなんだ」(トム)


◆作品のあちこちに残された、ひと目でトムのものだとわかる几帳面でフラットな手書きの文字も、彼の作品世界を新たなブランドにした、愛すべき
 アイコン的要素だ。1990年代から「ブランディングの時代」を鮮やかに転覆させ、物質的価値のイノベーションを実現してきたトム・サックスの探求の
 成果に、胸のすく思いの展覧会である。
 
 

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2 コメント

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面白いです♪ (越後美人)
2019-06-17 16:36:16
伝統的なお茶会もいいですが、こんな斬新なお茶会もいいですね。
私も参加してみたいです(^_-)-☆
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越後美人さんへ (te-reo)
2019-06-18 01:16:00
越後美人さん、コメントありがとうございました。
茶道の修行をされ、教えてもいらっしゃる越後美人
さんのコメント、罵倒されるのかな・・・と心配し
ていましたが、興味を持っていただけて、安心、嬉
しいです。 私は、最初、パロディっぽいのかなと眺めていたのですが、進んでいくと、トムの茶の湯に対する深い探求と、リスペクトの念が伝わってき
て、はじめはクスッと笑っても、なるほどなーと頷くことしきりでした。  実演を見て、トムの茶の湯の世界が、現代にマッチしているなーと思いました。
越後美人さんが、このティーパーティに参加された
ら、素敵な笑顔でお茶をいただくことになるでしょうね。見てみたい! でも、実演は先週の土曜で終わったようです。
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