光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

東京国立近代美術館 所蔵作品展から 「建物を思う部屋」 (2021.12.24鑑賞)

2022年01月28日 | アート 現代美術

東京国立近代美術館の鑑賞、次は4階から3階へ。

3Fの会場マップです。公式サイトからお借りしました。

3F

6-8室 1940年代-1960年代 昭和のはじめから中ごろまで
9室 写真・映像
10室 日本画

 

階段を降りる途中、踊り場でオッ!となります。

「建物を思う部屋」の上部が、ガラス越しに見えるのです。 

 

 

3階の入口から見ると

 

 

入口方向を観ると

2020年の12月に設置されているので、もう何度も観ているのですが、何度見ても、とても面白い。

脳に気持ちいい・・・おかしな表現ですが、実感。

本作の収蔵・展示に携わられた、当時、東京国立近代美術館主任研究員・保坂健二朗氏(現在は

賀県立美術館ディレクター(館長)は、

「コンセプチュアル・アートの代表作であるルウィットの『ウォール・ドローイング』は、国内

美術館には収蔵されてなく、この作品は『ウォール・ドローイング』の特徴をよく表したもの

なので、それを常設として展示できればと考えていました。

この作品はとても単純なルールによってつくられていますが、機械的なものには見えない。円弧

同士が連続したり円弧と非直線がつながったりと、隣のグリッドとリンクすることで多様な展開が

生まれている。しかもそれは、壁のプロポーションが変われば、また違う展開になるのです。

・・『多様における統一』というのが、クラシカルな美学における美の定義。そうした美の本質

抽象的なドローイングからわかるというのは非常に面白いし、『これぞ美術』だと言えるでしょう」

(美術手帳MAGAZINE NEWS / REPORT 2020.12.25から引用)


とのこと。保坂健二朗さんは7年前の企画展

「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展ーヤゲオ財団コレクションより」

で感激したのですが、図録も素晴らしかった。 加えて今回は、素晴らしい置き土産を残してくれ

した。 

 

作品の詳細は、東京国立近代美術館公式サイトの説明を引用させていただきます。

 

ソル・ルウィット| ウォール・ドローイング#769 2020年12月22日~公開
(所蔵品ギャラリー3F|建物を思う部屋)

ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ(90cm)のグリッド。
角や辺から発する円弧、直線、非直線から二種類を体系的に使った組み合わせ全部。》
1994年、水溶性パステル、水性塗料、鉛筆・壁

Courtesy the Estate of Sol LeWitt, Massimo De Carlo and TARO NASU Copyright the Estate of Sol LeWitt.
撮影: 木奥恵三

ソル・ルウィット| ウォール・ドローイング#769 について

 当館では2018年度にソル・ルウィット(1928–2007)のウォール・ドローイングを購入し、
この作品がこのたび(2020年12月)所蔵品ギャラリー3階の「建物を思う部屋」に完成しました。

 1960年代からニューヨークを拠点に、ミニマル・アート、コンセプチュアル・アートの代表的
作家として活躍したルウィットは、生涯に1200点以上のウォール・ドローイングを制作しました。
しかしこれらは、必ずしも彼自身が描いてはいません。彼は次のように述べています。
「アーティストはウォール・ドローイングの構想を立て、その設計をする。それを具現するのは
ドラフトマンである(アーティスト自身がドラフトマンを兼ねるも可)。プランはドラフトマンに
よって解釈される。プランの範囲内で、プランの一部としてドラフトマンによってなされる決定が
ある。ひとりひとりがそれぞれにユニークなので、同じ指示をあたえられても解釈が異なり、違っ
たふうにおこなわれるだろう」(『アート・ナウ』1971年6月号)。
この言葉通り、彼のウォール・ドローイングは、彼(あるいは彼のエステート)が指定するドラフ
トマンによって実現されます。いわば作曲者と演奏者のような関係が、そこに生じることになりま
す。そしてまた、このようなシステムをとることによって、彼の作品は制作の主体の在り処や、観
念と実体との関係など、アートの根幹について見る者に問いを投げかけるのです。

 さて、このたび当館の壁面を飾るウォール・ドローイングは、その題名が示す通り約90×90cmの
矩形をひとつの単位として、その矩形の中に16種類の円弧、直線、非直線が2つずつ組み合わされ、
全部で120通りのパターンによって構成されます。図形が反復とずれによって生み出すリズムは、ま
るでミニマル・ミュージックを視覚化したような心地よい刺激を私たちの眼に届けるでしょう。

 この作品はこれまで1994年パリ、1996年マドリッドで開かれたソル・ルウィット展で制作された
ことがありますが(各展覧会終了後に消去)、今回は下記の方々により制作されました。

ドラフトマン:趙幸子
アシスタント:石村正美
       平川淑子

 

ソル・ルウィット《ウォールドローイング#769》制作過程 Installation of Sol LeWitt, Wall Drawing #769

ソル・ルウィット《ウォールドローイング#769》の制作過程を記録したものです。1か月に及ぶ制作
過程がスライドショー(5分)でご覧いただけます。

https://youtu.be/AM5fSBTIpIY

 

私も制作過程を展示室液晶ディスプレイで観ました。 一部撮影したもの↓

  

制作されたドラフトマンは京都に住んでいる女性で、日本ではただ一人とか。

茶室の壁がこの作品だったら・・・など、私はいろいろ妄想していました。

東京国立近代美術館に、貴重なお宝がまた一つ増えました。 是非、ご鑑賞を

次回は、6室から紹介予定です。


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