光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

府中市美術館 「江戸の人物画 姿の美、力、奇」 その2

2011年04月04日 | アート 日本画

「関羽像」  葛陂 古馮
暗い背景から鋭い眼差しを向けるこの絵は、従来の日本画にはない洋風の趣があります。
アルファベットのサインに?と思ったら、後世になって司馬江漢の贋作用として書き加えられたものとか。
人を欺いて利益を得ようとする輩は、いつの時代にもいるものです。



「ヒポクラテス像」 渡辺崋山
西洋医学の神として仰がれたヒポクラテスを、輸入された書画をもとに渡辺崋山が描いたもの。
縦40cmほどの小さな絵ですが、実に細かな描写がなされているので、拡大図をアップ。
崋山はこのとき、幕府の対外政策を批判した罪で、蟄居を命じられており、後に自刃するのですが、絵にはそんなことは微塵も感じさせない力が宿っています。



「賢者障子絵」 住吉広行
賢者の像は紫宸殿の玉座の背後に掲げられていたもので、火災による焼失を受けて、幕府の絵師である住吉広行が復興したもの。 いくつかの像のうちの一つで、本番制作前の下絵に当たるものだが、格調高い雰囲気が素晴らしい。 いい画材を使っているので、退色等がなく美しい。



「鍾馗図」 円山応挙
ポーズをテーマとした展示コーナの作品。 応挙63歳の正月の作品。 応挙はこの年に亡くなっている。
縦175cmの大きな絵で、鍾馗の顔もよくある鬼のような形相ではなく、人間的な表情。 そしてそのポーズが確かに素晴らしい。

コメント
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