昨日は今年に開催された第23回日本言語聴覚士学会の特別講演を視聴しました。
内容はエピソード記憶についてです。
エピソード記憶とは長期記憶(古い記憶)のうち、個人的経験に基づくもの。
個人が体験した出来事の記憶です。
最も印象的だった学びは
「記憶が手を加えられないまま“貯蔵”されることはない。再利用され形骸化した形に書き換えられた記憶が忘却されずに生き残る」
つまり、自分に都合の良い記憶が残り易い理由は
都合良く解釈して上書きしてエピソードを使うことで記憶の内容が変化していっているということです。
自己啓発などで過去は変えることができるとよく聞きますが、
脳科学的にも実際記憶は書き換えられていることが証明されました。
このようなことを書くとつめたいように思われるかもしれませんが、
辛い過去の記憶ばかりが残っていると思っている人は
自分で更に辛い記憶に書き換えていっている可能性があります。
そして無意識のうちに辛い過去を使うことでメリットを得ていることが考えられます。
(PDSDや解離性健忘は別です。)
※解離性健忘とは強いストレスがかかった記憶の全てや一部を忘れてしまうこと
私の好きな考え方に“事実”と“真実”は別という思考があります。
例えば足を骨折したという“事実”があって、
日常生活に支障をきたしたり、イベントに参加できないと、“事実”をそのまま“真実”と捉えることもできます。
しかし、足を鍛え直す機会、助けてもらい他人への感謝の気持ちを再認識できる機会などポジティブな“真実”に変換することもできます。
直ぐには無理でもエピソード記憶を再利用する際にはポジティブな“真実”へ変換して使うようにすれば脳が前向きな記憶として残してくれるようです。
少しでも過去が辛い方の役にたてば幸いです。