言語聴覚士の独り言

言語聴覚士の日記

揺れる想い

2022-07-20 06:19:00 | 日記
私は訪問してリハビリを提供する仕事をしています。

昨日は70代女性の所へ伺いました。

その方は早くに旦那さんを亡くして、30年独り暮らしをされています。

楽しみは畑仕事です。

お花や野菜を育てることが生きがいです。

進行性の難病となり、

今では足が痛く、四つ這いで移動され、日常生活がままならなくなってきました。

転倒も繰り返し生傷が絶えません。

また言葉も不自由となり、ご自身で救急車を呼ぶ事もできません。

客観的に見て一人暮らしの限界は近いか、もう過ぎているように感じます。

担当ケアマネージャーも同感で本人にお話を聞いたり娘さん、息子さんの相談を受けておられます。

昨日、担当ケアマネージャーから連絡がありました。

かなり状態が悪く、娘さんから本人の同意を得たから施設を探して欲しいと言われました。今から息子さんの同意を得て施設入所を検討します。

電話を切りしばらくするとまた電話が鳴りました。

息子さんは施設入所に反対のようです。
施設に入ると母の生きがいがなくなり寝たきりになりそうだと。
しかし、放っておけないのでリハビリからも息子さんを説得して欲しいという内容でした。

私はちょうど訪問する日だったので状態を見て報告すると言いました。

訪問するといつもと変わらないご利用者でした。

本人様とお話をしていると施設に入りたいという時もあれば、自宅で過ごしたいと言われる時もあります。

本人様は揺れていました。

娘さんは心配して施設を勧めておられます。

ここからは私の推測ですが

身体が動かない?
畑にも行けてない?
こけた?
辛くない?

と聞いたと思います。

答えは全てYESです。

そしてケアマネージャーに施設入所を伝えらたのでしょう。

息子さんは

自宅にいたい?
畑続けたい?
まだ何とか一人暮らしできる?

と聞いたと思います。

答えは全てYESです。

施設に入ると生きがいを失い、運動量も減ります。

だから施設入所を否定されるのでしょう。

兄妹は忙しく、単独で母親に会いに行く事はあっても2人で行く事はないようです。

私は兄妹とケアマネージャー、サービス担当者で顔をみながら打ち合わせ(担当者会議)をするように提案しました。

本人様は自宅で過ごしたいけれど危険は沢山ある状態です。

どのようにサポートするのかみんなが一緒に方向性を決めて覚悟をしないと様々な後悔が
起こりそうです。

かなり長い文章になりましたが昨日からの学びは2つです。

①同じ状況でも話を聞く側に想い(今回の場合は施設入所をしてほしいなど)があると偏った理解となる

②人生の選択を迫られている当人の気持ちは揺れ動く

家族の想いや当人の気持ちの揺らぎは当然の事なので

第三者の医療介護者が様々な選択肢を説明して選んでいただく事が大切です。