
「私には9歳になるかわいい娘がいる。もしも娘がお前のようになったら、身体中の骨をとり出してへし折ってやる💢」警察署長にいきなりのパワハラ、祭りで十字架をとり損ねたネオナチもどきの軍団は、ペトルーニャが拘留されている署に詰めかけ、ペトルーニャを〝アバズレ〝扱い唾を吐きかける始末。後は女性レポーターを巻き込んで、お決まりのミソジストvsフェミニストの(皆さんご想像通りの)不毛な小競り合いが展開される。
フェミニズム映画『バービー』がオスカーのノミネート(主演女優&監督賞)から外されてからというもの、ここ数年猛威をふるっていたフェミニズム熱が明らかに沈静化しつつあるような気がするのである。ルカグアの『サスペリア』、アレックス・ガーランド監督『MEN』、そして直近のヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』....。トッド・フィールドの『TAR』なんかもある意味で反フェミニズム映画として分類されてもおかしくはないだろう。
「寓話でフェミニズムを語るのはもう古い」と某映画評論家が語っていたが、ここもと明らかに流れが変わってきているのである。その原因は明らかで、グローバリストがのたまう〝多様性“が嘘ばっかりの偽善であることが、ウクライナとガザにおいてすっかり証明されてしまったからなのである。侵攻の当初ウクライナ軍の中にネオナチが多数混ざっていたのはなぜなのか。なぜ虐殺に他ならないイスラエルのガザ侵攻をアメリカが擁護するのか。
この平和な日本においても、昨今の行き過ぎたコンプラ遵守に疑問を投げかけるクドカン脚本のドラマ『不適切にもほどがある』がブレークしているというではないか。〝多様性“を重んじるあまり右も左もわからない新人ちゃんや女性に気を遣いすぎた結果、日本は(人口は日本の半分しかも労働時間は日本の8割に満たない)ドイツ、そして近い将来インドにも抜かれ、GDPランキングを着々と落とし続けているのである。
世界におけるプレゼンスを失い続けても尚時代遅れの啓蒙にしがみつき、我々は日本沈没の日をひたすら待ち続けるしかないのであろうか。耳ざわりのいいキャッチフレーズほど、その副作用には十分気をつけなければならないのだ。コスパやダイパも大いに結構だが、蓮の花は泥の中からしかけっして咲かないものなのである。
ペトルーニャに祝福を
監督 テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ(2012年)
オススメ度[

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