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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

怒りの日

2007年11月01日 | 誰も逆らえない巨匠篇
ベルイマンの『第7の封印』『処女の泉』などと同じく宗教を題材としているが、根底にナチス・ドイツへの反発があるらしい。神の存在や信仰の意味について深く掘り下げたベルイマン作品とは異なり、自己防衛のため立場をヒョイヒョイと変える人間の醜さ・弱さが描かれている。

ベルリオーズの『幻想交響曲』にも登場するグレゴリオ聖歌による主旋律は、映画を見終わった後でも、長い間耳にこびりついて離れない、怒りに満ちた荘厳さを醸し出している。対照的に、魔女として告発された老女の断末魔の叫び声は、この映画の<真のテーマ>を我々に思い起こさせるのだ。

自分の青春を奪った夫を呪い殺したアンネ(トルキル・ローセ)は、義母から魔女であることを告発され、密会を続けていた息子からも裏切られる。『裁かるるジャンヌ』のごとき絶望の涙を流すアンヌのアップから、ヨハネ黙示録の一節を経て、十字架の影がスクリーン中央に映し出される。これがハーケン・クロイツにでも変わればたやすく理解できるのだが、十字架はなぜか核軍縮運動を意味するピースマークへと変化する。映画公開当時、まだこのマークがデザインされる前だったと思うのだが?

監督 カール・テオドア・ドライヤー(1943年公開)
〔オススメ度 

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