Anteeksi.

すみません、ちょっといいですか。フィンランド留学の見聞録。

夏至祭

2009-06-20 | イベント
フィンランドの人々にとって、夏至祭(Juhannus, ユハンヌス)というのは、それは特別な行事であるようだ。

毎年、夏至に近い土曜が夏至祭、その前日の金曜が夏至祭イブということで祝日になる。この連休を利用して、家族や友人とコテージなどで過ごすのが多いようだ。街では、観光客以外にほとんどいない、という状態になる。お店もほとんど休業。フィンランドでは、一年のうちに最も街が静かになる時期が二つあって、その一つがこの夏至祭、もう一つがクリスマスということだ。大学にもきれいさっぱり誰もいない。ゴーストタウンのよう。

今日のお天気情報によると、ヘルシンキでは日の入が22:49、日の出が3:53だから、一応5時間は日が沈んでいるわけだけど、真っ暗になることはない。

だけど、寒い。夜にもなると、上着なしには凍えてしまいそう。気温で言えば、7,8月の方が温かいようだ。
けれど、ここの人たちは、この日の長さに夏を見る。なにしろ、年間を通しての日照時間の移り変わりの激しさと言ったら、日本の比じゃない。今日という日を過ぎればまた、少しずつだけれど着実に、あの暗くて陰鬱な冬に向かっていくことになる。そういうちょっとセンチメンタルなニュアンスで夏至祭を説明してくれる人も少なからずいる。
日本での夏至と言えば、ちょうどじめじめした梅雨の季節。とてもその気候についてありがたく思う気持ちなど、わいてくるはずもない。

前夜祭の昨日は、セウラサーリという、普段は野外博物館として開放されているところに行ってきた。観光客向けではあるけれど、ヘルシンキ近辺で一番もっともらしいイベントが行われるとあってのことだ。

広場では民族衣装をまとった人々がバンドの演奏に合わせて踊っていたり、屋台では鉄板で焼いた魚やソーセージ(湖畔のコテージの食卓に並ぶ様子を想像するとよだれが出る)を売ったりして、賑わっている。
メインの行事は、kokko(コッコ)と呼ばれる大きな焚き火。もともと、なにか悪いものを追い出す、という意味があるらしい。今日ここで結婚式を挙げたというカップルにより着火(この季節は結婚シーズンでもあるよう)。



燃え盛る炎、空に真っすぐに昇る煙。なんでだか、遠く離れた母国を思う。
結構な人集りなのに、とても静か。それぞれがこの光景に何を見ているのか知る由もないけれど、誰に対してもある種の感傷を起こさせるもの、そんな気がした。

この後、大勢で輪になって夜中まで踊り続ける。柄にもなく(?)、ちょっとだけ混ざってみたら…楽しかった!ダンスなんていつ以来だったろう。
サウナがあれば、サウナに入るし、飛び込める湖があれば、飛び込むのだろう。

良い文化だな、と思った。もちろん、ほんの表面的なところを知っただけだけど。

Juhannusにまつわる言い伝え。
前夜に7種類の花を集めて、それを枕元に置いて眠る。そうすると、夢に現れた人とめでたく結ばれるそうだ。フィンランドの、特に若い女の子は、誰でも一度くらいはやってみたことのあるものらしい。
あと、同じく夜中に裸で農場を駆け回ると、意中の人と結婚できる。
とかなんとかで、謎も多いけれど、この日がそれだけ特別な意味を持つ、ということの一つの表れかもしれない。

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