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書道 直庵(筆耕所)

再生の旅 第八話<熊野川-速玉大社>

七月二十四日 午前十時に熊野本宮大社を発てば
国道百六十八号線十津川街道を熊野川の流れに沿ひて下り行ける
熊野川町に入りて三和大橋を左に見つつさらに進み行けば
道の駅瀞峡街道熊野川のあるに
車を停めぬ 時は午前十時三十分なり
すぐ下を流るる熊野川の岸へ降りて行きたり
淡き瑠璃色にして
清く美しき熊野の流れを近く目にすれば
衣を脱ぎて身を流れに肩まで浸しいけり

瑠璃色の光降れるや熊野川こころの垢を流し行くかも 丹人

有難きかな 
嗚呼
有難きかな

十津川街道をさらに下りて新宮市に入れば
國指定天然記念物浮島の森の案内標識あるに
是非見たしとの念の湧けば矢印に従ひて進み行きたり
十一時三十分 浮島の森に入れば
いと不思議なり
東西八十五米 南北六十米 面積五千平方米にも及ぶ大植物群落が是 沼池に浮かびたるとふ
いと不可思議なことなり
見学用の道を歩み行けば
まずは沼を泳ぐ玉じゃくしの数とその巨大さに驚嘆したれり



速玉の神を祀れる新宮の浮島森に見る玉じゃくし 丹人

歩道をすすみ行けば
植物の種類多くして 水辺にはちひさき魚の群れの
すひすひと泳ぐを見る



浮島のみどりしたたる水辺かな 奮太

島の歩道を一周すれば正午となりぬ
新宮の街に入りて昼餉の店を探せば
レストランオークあり
是 「多く」なる哉 また「奥」なる哉
伊太利亜風料理の店なれば
部部論知能と美畏怖華麗をいただきぬ
まはまは むまし

いよいよ
速玉大社への参拝となる
駐車場への到着は午後一時を回りぬ



華麗なる朱に彩られたる社殿に夏の光の燦々と降れば
有難きこと限りなし

作法に則りて拝礼を済ませたり

本宮大社と比較するに
速玉大社は是 色合ひも社殿も新しきとおぼゆる
由縁をきかば
むべなるかなとおもへり

速玉大社は明治十六年 打ち上げ花火により社殿全焼の憂き目に遭遇したりて
眼前の社殿は是 昭和四十二年再建なりとふ

嗚呼
速玉大社は火に
本宮大社は水に
明治の中期に災禍あるは
是 如何なることなる哉

明治の文明開化は裏返せば 我が國の文化の崩壊なることを
熊野の大神様は身を以て御示し給ひしやとこそおもへれ

速玉大社に隣接して佐藤春夫記念館あれば 立ち寄りて 
しばし 望郷懐古のせつなき詩歌の響きを堪能したれり

いただきたる版譜麗塗より「少年の日」の一部を茲に掲載すれば

野ゆき山ゆき海辺ゆき
真ひるの丘べ花を敷き
つぶら瞳の君ゆゑに
うれひは青し空よりも

影多き林をたどり
夢ふかき瞳を恋ひ
なやましき真昼の丘べ
花を敷き あはれ若き日

(殉情詩集 大正十年) 

をを この胸に
なつかしさと
ほろにがさの
美しき色合ひとともに
沸々と波打つもあはれなり

午後一時四十分
車は一路那智を目指したりき

画像一:熊野川 
画像二:浮島の森
画像三:浮島の森
画像四:熊野速玉大社 2007.7.24 撮影
            
↑現在40位前後なり↑現在茨城1位なり
毎日一打頂戴すれば有難きかな 宜敷願上奉候

コメント一覧

暴れん坊平民
ええの
 熊野川の清流ええの、うちも大好きやわ
あかひと
お父さん
たはむれし水もなつかし子と我と飛沫まぶしも遠き夏の日 丹人

予もをさなき子と水浴を楽しみたる遠き夏の日を思ひ出したる
今次の旅への数々のお励ましに心より感謝申し上げる次第に是あり候
あかひと
乙女姫
予のつたなき文を読み解きて
ともに旅を御楽しみいただくは
いと嬉しく
武路愚づくりの冥利を味はふ次第なり

乙女姫の拾ひ来たれるなぎの実の色に心もはなやぎにけり 丹人
お父さん
お帰りなさい
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/kurata91/index.htm
遅くなりましたが、お帰りなさい。
我が娘も水を見れば入りたがり、
良く一緒に遊んだものですが、
流石に最近は入りません。

再生の旅、無事にお帰りになられ
なによりとお喜び申し上げます。
どの記事も興味深く拝見しまし、
自分も旅をしてきた気分を味わいました。


otome
また懐かしく
おはようございます。
今朝も、資料をだして見つつあかひとさんの旅記録を拝見しております。
この大社には大きななぎの木があり、実を拾ってきました。
巫女さんはなぎの葉を髪に結んでいたのが記憶に残ってます。
あかひと
阿武氏
お晩に御座る
予も何年ぶりなる哉
川に身を浸すは・・・
小学時代以来ではなかりしか

水澄みて色美しきこの川の水なれば
おもはず惹かれ惹かれ・・・

水着を持ち合はせぬなれば
身に付けたるものを全て脱ぎ払ひての水浴なり
心はまさに少年に戻るが如くおぼゆる
いと楽しかりけり
あかひと
健自偉氏
お晩に御座る
またも
意味深き湖面渡を頂戴すれば
熊野への予のおもひも
深まりいくもうれし

予の腰につきても
お心を馳せていただくは
いと有難し 忝なし

御陰様にて
旅の間も 今も
全く異常なければ
御放念の程を

まさに腰も再生したるとこそおもへれ

三往復・・・
またまた
おたはむれを・・・~~

予が弟子のtoshiは水の男なれば
其 かなふものの
予は石の男にあれば
川岸の白き石を三つほど記念に持ち帰りたる

今 その石の三つを布をもて拭けば
是 「三を拭く」 なるもをかし
あかひと
幽黙氏
お晩に御座る
熊野の川に予も身を洗ふも
ここに掲げたる画像は予の撮影なれば
予にあらず
是 予が旅を先導したる第一の弟子なるtoshiにあり
toshiは水を好めば
川に行けば身を浸し魚とたはむれたる
暑き中の旅なれば
予も堪え難きものありて
川の水に身を浸したる
いと爽快にありにけり

をを
オークは樫にある哉
「多く」「奥」などとほざきたる予なれば
いとオークかし(をかし) 
阿武さん
川の中に入ってるのはあかひとさんでしょうか。まるで少年のようですね。子供が小さい頃海には行きましたが、川はここ40年くらい入っていないのではないかと思います。子供の頃のように無邪気に川遊びをしてみたいです。
健じい
イザナギ イザナミ神でしょうか


祀られているのは、夫婦の神様でしょうか
神倉神社が元宮で速玉大社が新宮で熊野権現が本宮で。。。那智の大滝ですね。
段々と分かってきました。
そうですか、熊野は山岳宗教と仏教と神話が合体してるのですね。
役の行者
山伏
密教
不思議な空間ですね。

あかひとさんは 屈強に見えるのですが、腰はいかがでしょうか。この川くらい3往復できそうに見えます。うらやましいです。
幽黙
輝く
あかひとさまでいらっしゃいましょうか
川のきらめきの中に良き肉体をお持ちの方は

――輝ける水の光に川渡る人の身体も輝けるかな

浮島にもおいでになられたのですね
浮島の不思議な感覚を歩いてこられた由にて
なかなか面白かったのではないかと思います
小さな命も水際に輝いていますね

OAKは樫の木のことかとは思いますが
緑の輝かしい木ですね

速玉大社は社殿が新しいこともあって
境内の気が隠の気を帯びつつも
明るく輝いているんですよね
宝物館の御神像も威厳に満ち満ちた男神像
なんともふくよかでまろやかな女神像
素晴らしいですよね
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