七月二十五日 金曜日 晴
朝四時に目覚む
未だ明けぬ頃なれど旅へのおもひ高まりて
渇く喉を潤さんと飲む緑茶の味も珈琲のかほりも格別なり
明け初める庭に出でて
みづみづしき緑にひたるもいとをかし
朝顔の青絞りの今夏第一花がねじれて開きゆくも
いとあはれなり
庵に入りて神棚に拝礼し
仏壇の水かへて旅の無事を祈れば
友部駅へと向かひぬ
七時五十九分の特急に乗車す
上野を経て浜松町に至る
九時四十四分発のモノレールにて羽田空港に向かひぬ
ANA機の発する時刻は十一時三十五分にして
時間はゆるやかなり
時刻通りに飛行機は動き始めたる
離陸時の緊張は常なるも無事に上空に上がれば
掌の汗をぬぐふもいとをかし
飛行機の窓より眺むれば
夏空のいとあをきが中に
白雲の横たはるも
立ち上がるも
鼻歌をうたひて踊るがごとし
午後一時になれば飛行機は徐々に降下して
一時十分には中標津の緑の大地の雲間に見へきたるも
雲中を降下すれば機体の揺れるに
手に汗のにじむもいとあはれなり
午後一時十五分 盤石の着陸となる
中標津の地は灰色の雲のよこたはりてをりぬ
気温二十度なるは爽快なることこの上なし
レンタカーに乗り換へて
いざ 道東の夏を楽しまんとこそおもへれ
午後二時
道々69号線沿ひのラーメン屋「たら福」にて塩ラーメンをいただきて
午後二時四十五分
気温十八度の標津より 気温十六度の野付半島に入りぬ
左には遠く国後 右見れば水面(みなも)鏡となる野付湾 丹人
嗚呼 絶景かな 絶景かな
エゾフウロまろき五枚の花びらの椀に野付の風乗せてをり 丹人
国後の泊村見る海鳥の糞も涙に見へてくるかな 丹人
海水の入れば立ち枯る「ナラワラ」の群れて支える天の雲かな 丹人
午後四時に野付半島を後にして
国道355線を北上すれば
午後五時に羅臼町に入る
道の駅「知床らうす」の青空を食む鯛となる白き雲見ゆ 丹人
国道335号線は羅臼より知床半島を横断する334号線となる
知床横断道路を上りゆけば左に
森の野天の「熊の湯」あるときけば
是非入らんとて細道を入りゆきたり
「熱いね!」といへば「そなごどねー」といふ羅臼の人のあたたかきかな 丹人
常連の方の話のおもしろくききつつ入る熱き熊の湯 丹人
硫黄の湯にて身をほぐせば
知床の山を越へんと車を走らせるも
霧深くかかりて
幻想なる世界なり
時にエゾシカのあらはれて
車を見送りていただくも
いとうれし
午後六時 標高740Mの知床峠に到着す
霧雨に知床峠の白くして息も白々 気温は十度 丹人
上りはくねくねなる道なれど
峠を越へれば直線多き道となりて
走るにいと易し
六時三十分
知床の宿に到着す
道の辺に鹿七匹の見送りを受けてウトロにたどり着きたり 丹人
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芸術人文16位なり 50代14位茨城2位なり 短歌1位なり
引き続きご支援のほど宜敷御願申上候 頓首 再拝