玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

小平の創価高校脇の樹木調査

2021-08-28 20:04:36 | 日記

小平の創価高校脇での樹木調査

高槻成紀・豊口信行

暑い日が続く8月28日に小平の栄光橋と水車橋の間にある創価高校の脇で長さ100 mのベルトをとって樹木調査をしました。暑かったせいか今日の参加者は豊口さんだけだったので、時間がかかるだろうと覚悟をしてはじめました。このあたりは高校生がよく歩くところで、白梅大やムサビの学生もよく歩きますが、土曜日だったので、さほどでもありませんでした。

調査地の景観

 

調査地の位置関係

 

 汗をかきながら私が樹木の名前を確認して直径を測定し、豊口さんが距離を読んで記録をすることにしました。調査は順調で、1時間半ほどで100mを2本(用水沿いと上水沿い)調べました。

 出現したのは34種で、これまで出ていない樹種はクスノキだけでしたが、ヤマトアオダモ、カクレミノ、ハナビワ、サザンカ、ヒイラギ、クマシデなどは一度くらいしか出なかったと思います(表1)。クスノキは鳥が種子散布したものと思われます。歩道に鳥の吐き出しがあり、ミズキの果実が食べられていました。

 

表1 小平市創価高校脇の樹木調査で出現した樹種の

平均直径と本数(長さ100mのベルト)

クマシデ

 

 平均直径を比較すると、クヌギが49.3 cmで最大でしたが、2本しかありませんでした。コナラは平均直径は30.8 cmで本数も17本あり、この林で重要でした。イヌシデは平均直径が19.6cmですが19本あり、やはり重要でした。本数が多くて細かったケヤキ、エゴノキ、ネズミモチなどが低木層で重要でした。

 太い樹木から順に並べて、落葉樹と常緑樹に分けて示したのが図1で、太い木は落葉樹で常緑樹は細い方に入っていました。

 

図1 小平市創価高校脇の樹木を太いものから細いものへと並べた図

 

これは小平の他の林にも共通のことでした。本数は211本で(表1)、やはり本数が多い林でした。

 

 水車橋で断面を調べました。

水車橋の脇で断面を取る高槻(汗びっしょり)

 

全体で30 mあり、やはり幅の広い林であることがわかりました(図2)。上水の両岸の幅はほぼ10 mで水路の幅は4−5mでした。「壁」は垂直に近く、下部には土壌の堆積があって、そこにアオキやヤツデなどの常緑低木が多く生えていました。小平の多くの場所と同じく北側に1.5 mほどの幅の用水があります。ここでは道路は南側にしかありません。

 

図2 水車橋付近の断面図。ただし垂直方向は不正確。

垂直の「壁」の下部に土壌が堆積し、アオキ、ヤツデなどが生えているようす

 

 余談ながら、調査が終わってから豊口さんが黒いアゲハを見つけました。交尾をしており、白い模様があったので豊口さんが「モンキアゲハみたい」と言いましたが、モンキアゲハの白い模様はもっと黒の中に「抜けたような」白だったと思い、「ナガサキアゲハかもしれない」と、スマホを調べたら確かにナガサキアゲハでした。もともとは九州などの暖地にいたチョウですから、温暖化によって北上してきたようです。

 

ナガサキアゲハ

 

まとめ

 以上、小平で野鳥調査で歩く範囲から4ヶ所を選んで樹木調査をし、いずれもコナラ、イヌシデ、ケヤキなどの落葉広葉樹の大きいきが林冠を占めており、低木層には場所によって量は違いますがネズミモチ、ムラサキシキブ、エゴノキなどがよく見られました。林は幅が30 mほどあり、樹冠を入れれば34-35 mほどもある緑の量の多い林です。このことは「林の鳥」の生息地として適していると考えられます。

 


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