玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

9月5日の「玉川上水に関するパネル展示とフリーディスカッション」報告

2021-09-14 12:45:29 | 最近の動き

玉川上水に関するパネル展示とフリーディスカッション

2021年9月5日(日)

武蔵野芸能劇場2F小ホール

主催:     玉川上水の環境を守る会(有賀誠門)

          井の頭自然の会(鈴木浩克)

          玉川上水の緑を愛する会(輿水光子)

 

スタッフは13時前に集合し、13:30の開場をまった。机の並べ替えやプロジェクターなどの準備をし、13:50に開会した。

参加者は都議会議員4名、区・市議会議員9名、一般14名、学生5名であった。

会場のようす

 

<市民側からの発言>

鈴木(井の頭自然の会)

主要新聞に取り上げられた玉川上水の記事から戦後の歴史を辿った。

1960年代は開発が進んだが、1970年代には市民運動により自然保護の動きが起き、道路にされる計画は撤回された。1970年代に水が止まり、空堀になったが、1986年に清流復活された。また1976年に玉川上水は史跡指定を受ける方針となったが、その目的は遺跡であることだけでなく、遺跡であることと、岸辺の雑木林と合わせて保存することであった。しかし、実際に指定される2003年までの27年間の歳月が流れ、初心が忘れられ、整備活用計画の内容は自然を保全する概念は希薄で、遺跡保存一辺倒であることが問題だと報告した。

水道局は法面保護のために伐採するとするが、支障木を除き、むしろ樹木がアーケード状に覆っている方が法面を守るはずだ。10年間の計画が終わってもその効果が評価されていないことも問題である。

 

説明する鈴木氏

 

高槻(玉川上水みどりといきもの会議)

スライドを使って花マップの考え方と成果を紹介したあと、小金井での伐採に衝撃を受けたことを話し、その問題点を指摘した。杉並から小平までの4カ所での野鳥調査の結果、良い林のある井の頭と小平では野鳥の種類も個体数も多く、多様度指数も大きかったが、小金井は最低であったこと、また森林に生息する野鳥の割合も最低であることを紹介した。その一つの説明として果実の結実期のデータを示し、サクラでは初夏の1時期だけだが、森林があるところでは一年を通じて次々と果実が続けて実ることを示した。

 

輿水(三鷹)

2020年に新橋-幸橋のカエデが伐採されたのを知り、水道局に問い合わせたが、「法面が危険なので樹木100本を伐採する、シートで覆う予定である、個人の意見は聴けない」という返事があった。そこで伐採を中止すること、法面工事を白紙撤回することを求める署名活動をして717名の署名を得て三鷹市に提出した。現時点では伐採は一時凍結する、東京都には書面を出す予定であるという返事があったに過ぎない。

 

有賀誠門(三鷹)

1978年の空堀の頃に井の頭に転居してきた。1980年に松影橋付近で通達なしに工事が始められた。2020年12月にシートが貼られ、下水管が使われていた。「上水ではなく下水になる」のは容認できない。人間と自然の関係という根本的な問題を考えないといけない。

 

説明する有賀先生

 

<映画作品の紹介>

14時に錦城高校映画研究部の妹尾君が挨拶し、DVD「桜か、森か」(8分間)を上映した。パソコンの不具合があったものの、非常によくできた作品であることがわかり、拍手が起きた。

 

<フリーディスカッション>

その後、休憩を挟んで市会議員、都会議員と市民の意見交換があった。

 

鈴木(井の頭自然の会)

井の頭では10月にネット工事が予定されている。水道局から、樹木管理に関してはテープを巻いて市民に知らせるが、法面保護工事に関しては文化財保護だから市民の声を聞く必要はないと説明された。こういう問題がある。

 

中村ひろし(都議)

水道局と話した。9月に説明会がある。工法には制約がある。『強引に進めることはしない』と水道局は説明した。

 

有賀喜見子(三鷹市民)

1980年からゴミ掃除など市民活動を始めた。

2020年にカエデが伐採された。水道局の対応者は1億円をかけて伐採していると説明した。工事を阻止するために署名活動をした。中村ひろし都議が動いてくれた。水道局は法面の調査もしないで巨額を予算化している。玉川上水は市民のいやしの場になっているのに、工事が強行されればそれが失われる。玉川上水の管理は水道局ではなく建設局が行うべきだ。開渠部33 kmを世界一細長い植物園にして欲しい。

 

鈴木(三鷹市民)

計画が終わったのに、調査もしないでなんとなく継続するのは良くない。

調査が無ければ施した管理が有効なのか?あるいは逆効果だったのか?わからない。法面の比較調査を行って最善策を見つけていくべきだ。

 

山本ひとみ(武蔵野市議)

武蔵野でも2020年秋に伐採。水道局は法面保護のためだと説明したので、それは必要なのかなと思った。今日の話は納得できた。

 

松山景二(小平市民)

学習支援として小学校で年間50日(100時間)玉川上水のことを教えている。玉川上水は社会(玉川上水の歴史、小平の歴史)、理科(昆虫採集).国語(俳句)と多面的な切り口がある。

 

岩永やすよ(都議、国立・国分寺)

水道局担当になった。市民からの問題提起を踏まえて取り組んでいきたい。

 

高槻(玉川上水みどりといきもの会議)

ナラ枯れを起こすカシノナガキクイムシ防除のために粘着テープ帯を巻いたが、主催は建設局関係の民間業者であり、玉川上水の歩道の樹木には巻くが、柵内は水道局の担当だから「手が出せない」という説明だった。これは生物学的にいえばナンセンスで防除効果は大きく減ずる。このような縦割りを改めない限り真っ当な自然管理はできない。また、水道局には市民個人の意見は聞けないという考えがあるが、これは民主主義として間違っている。また行政には市よりも都の方が上であるという思い違いもある。

 

竹井よう子(都議、小平)

縦割りについては同感。都と都民に会話がないと感じる。

 

蔵野恵美子(武蔵野市議)

縦割りは市でもある。防犯カメラは良い例だった。

 

田中ゆうたろう(杉並区議)

水や緑は共通性の多いテーマだから、党派を超えて共有できるはず。そのことを強調して広く都議会に働きかけるべき。

 

坂井えつこ(小金井市議)

小金井では桜か生物多様性かの対立図式になりがち。自分は生物多様性を重視するが、桜派からは「一切伐採させない」と決めつけられる。

 

水口かずえ(小平市議)

小平では60年近くも前の玉川上水を36 m幅で分断する道路の建設予定があり、住民投票をしたが投票率が50%未満だったので開票されなかった。現在用地は50%程度が買収済みで計画は進んでいる。

 

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会場には各種のパネルが掲示された。

パネル展示のようす

 

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<高槻の感想>

多くの議員が参加したのは驚きでもあり、嬉しくもあった。

参加した議員たち(一部一般市民もいる)

 

当然、我々の活動に理解を示す人が多かった。玉川上水の歴史、行政の動き、市民運動、具体的な植物や野鳥のことなど初めて聞く話が多かったと思われ、それを知ってもらったことは意味があったと思う。また水道局の玉川上水管理の進め方の問題を知ってもらったことも有意義であったと思う。我々は市民の声をどうすれば行政に届けられるかわからないところがあるので、今後とも議員と交流を深めアドバイスをもらったり、こちらから発信したりしたいと思った。

* 発言内容については議員のみなさまに確認してもらいました。写真の一部は大塚惠子さん撮影です(高槻)。