玉川上水は学びの宝庫
岸 國男
私が小平市のある小学校で授業支援のボランティアをするようになってほぼ11年になります。その間、この小学校では、1年生から6年生までの児童に対して、玉川上水を郷土の誇りとしてさまざまな工夫をして授業に取り込んでいます。子どもたちにとっても玉川上水はかけがえのない大事な有形・無形の学びの場になっています。
この活動には地域住民からなる12名ほどのボランティアの方が関っています。2019年度には小学校主催で、高槻先生を講師としてお迎えして 6年生「玉川上水の生物多様性」をテーマに授業をし、また保護者・近隣住民向け講座「玉川上水の生きものたちと私たち」を実施しました。
これまでの授業支援の一部を紹介したいと思います。
1・2年の低学年では、遊びの要素を多く取り入れた玉川上水の自然に親しむ授業を展開しています。私はある時、「玉川上水・新堀用水で遊ぼう」で 「マユミさん」と子供たちに呼びかけました。すると「ハ~イ」と手をあげた子がいました。そこで、「この花の名前は、”マユミ” だよ」と言うと、別の子供が「うちのお母さんもマユミだよ」と嬉しそうにいいました。このような印象付けをしながら観察しています。
木の太さを調べよう。一年生
ザリガニ探し。二年生
また、高学年の環境に関する授業支援で、雑木林の効用について話をしたことがあります。授業前日に枝にビニール袋をかぶせ密封しておきました。
ビニール袋をかぶせた枝
そして、授業当日、そこの場所へ引率し、子どもたちに玉川上水緑道と市街地道路の暑さについて尋ねますと、緑道の方が涼しいとほぼ全員が答えます。そこで私は内側に水滴のついたビニール袋を見せながら、「なぜ内側に水滴ついていると思う?」と尋ねました。このように気化熱について話し合いをしました。高学年では、このように教科を意識した実験的支援を玉川上水の緑の中で行っています。
昨年度はコロナ禍のもとでほとんどの授業支援はできないまま年度末を迎えようとしていましたが、今年の2月17日に6年生担任から「学習:総合的な学習の時間「SDGs〜自分たちにできることを発信しよう〜」をテーマとした学習支援の依頼が来ました。
事前に担任の先生から子供たちの狙いをお聴ききし、以下の2テーマに絞り、話し合いました。
1.玉川上水にいる生き物で今、いなくなってしまったもの
玉川上水を3の時代(上水道・空堀・流水復活)に分けて話し合いました。
2.今後守り続けていきたい生き物 など
ここでは外来種の問題と、小金井桜とかいぼりを例として話し合いました。ここでは、
担任の先生に「玉川上水みどりといきもの会議」のブログにある「コブシついて」(高槻先生)を紹介しました。その際、子どもたちが小金井市民へ対する非難のように理解する懸念があることから、中立的立場から要約して子どもたちに伝えてほしいと付け加えました。また、外来種については、井の頭公園のかいぼりと小平市水と緑と公園課によるツツジ公園池のかいぼり等の実例を紹介しました。
最後に「こだいら水と緑の会」発行の「小平の用水路」から以下を引用して話し合いを締めくくりました。
私たちのまわりに鳥や昆虫、魚などのいろいろの種類の生き物がたくさんいることはとても大切なことです。生き物が生きてゆくためには生活しやすい自然環境がなくてはなりません。森や草原や水の流れなどの変化にとんだ自然があって、初めていろいろな生き物たちが生活できます。このように豊かな自然がありそこにはいろいろな生き物が生きていることを「生物多様性」と言います。小平の用水路は、「生物多様性」を学ぶことのできる場所でもあります。