えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

第6章 ホルモン療法 33.

2007年10月25日 | 乳がん闘病記
33.
 鬱の淵でさまよいながらも、底には引きずり込まれないようなんとか踏ん張っていたが、3月に入ってまたぎっくり腰になってしまった。前回患ってからまだ3ヶ月しか経っていない。術後から数えると10月、12月、今回と3回目で、ぎっくり腰持ちとはいえ、これでは頻度が高すぎだ。34歳で初めて経験してから、だいたい2年ごとだったのに…。腰痛はストレスと関係があるというから、今回に限っては事件続きでストレスがたまったことが無関係ではないだろうが、ホルモン治療の副作用としての冷えがもっと関与しているに違いないと私は思った。
 ホルモン治療を始めてからかれこれ1年近くになる。あと4年続く予定だ。冷えがどんどん進むのを感じ、それがぎっくり腰の頻発につながるのを経験するうちに、私の中で長い間もたげかかっては抑え込んでいた疑問が、いつのまにか抑えきれないものになっていた。「これほどいろいろな副作用を起こしてまで、ホルモンを抑える必要があるのだろうか? そうまでしないと、私のがんは抑えられないのだろうか? 犠牲にしている方が大きいのではないだろうか?」
 
 免疫学でいうと、がんは免疫が極限まで落ちた状態で発症するらしいので、がんの再発や転移の予防には免疫を上げることが不可欠なのだ。にもかかわらず、がん抑制のためとはいえ、乳がん患者は女性の免疫力の源でもある女性ホルモンを抑えているのだ。がんは確かに抑えられるかもしれないが、免疫力を下げる結果にもなるという、いわば両刃の剣の治療なのだ。
 しかも、この治療が全員に効くかというと、決してそうではないことがわかっている。そもそもホルモン療法が有効なのは、女性ホルモン受容体を持ち、女性ホルモンと合体して増殖するタイプの乳がんで、このタイプには10人中6人が該当し、さらにその6人中4人にこの治療が有効だという臨床結果が出ている。つまり、6人中2人には治療が効かないのだ。かと言って、私がどちらに該当するかは、乳がんの予後の経過観察に要する10年、あるいはそれ以上待たないとわからないときている。主治医にも私にも、誰にもわからないのだ。3分の2の確率のために犠牲にできるものとそうではないものとを自分で見極めたい気持ちが、むくむくともたげては抑えがたいものになってしまっていた。

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