5月17日付け日経新聞(朝刊)に「たゆたえど沈まぬユーロに」というタイトルの記事が載っていた。
ギリシャの財政危機に端を発したユーロ圏の混乱に関する記事で、同社のコラムニスト・岡部直明氏は次の世に書いている。
〈しかし、これで危機が収まったわけではない。等のギリシャが財政再建を断行できるか、ユーロ圏内の「弱い環」への波及を防げるかである。そして、なによりEUがこの危機を教訓に統合の次の段階へと踏み出せるかだ。「たゆたえど沈まず」というEUの精神がいまほど問われているときはない。〉
開高健が「漂えど沈まず」と記す前は、パリ市のモットーとして長く伝えられているこの言葉は「たゆたえども沈まず」と訳されていた。「たゆたう」とはゆらゆらと揺れ動いて定まらぬという意味だ。
パリ市のモットーがいつの間にEUの精神になっていたのか? まったく知らなかったので、エッと思った。もし、そうだとすれば「たゆたえど(漂えど)沈まず」の精神はヨーロッパ人の心情をよく表している言葉、彼らの共感を得やすい言葉なのだろうと想像する。
この言葉に共感する日本人は多いのか、少ないのか?