goo blog サービス終了のお知らせ 

長靴を履いた開高健

小説家開高健が書かなかった釣師開高健の姿や言葉などあれこれ

ベトナムのトイレ~アジア的生産様式

2010-09-18 20:43:26 | ■Fish & Tips(うんちく・小ネタ)

051

『田舎では池のまんなかへ桟橋をつきだし、そのさきで雲古ちゃんをおとし、それで魚を飼うということをしている。クリークでもよく見かけられる光景である。雲古ちゃんをおとそうととして出かけると、足音を聞いただけで魚たちは大騒ぎをはじめ、(略)』
 こうした光景は、いまも田舎へ行けば見ることができる。国道1号線をクルマで走っているときにも何度となく目にした。
 さほど大きくもない池で常時800匹ほどの魚を養殖しているという農家で話を聞くと、養殖場から稚魚を買ってきて池に入れ、6ヶ月飼育して大きく太らせてから市場へ持っていくのだと教えてくれた。
『魚が騒ぐ。それをつかまえて市場へ売りに行く。それを買って食べる。寝る。おとしに行く。騒ぐ。とる。売る。食べる。寝る・・・これをしもアジア的生産様式というべきか。エネルギーの永久回帰というべきか。おおいなる輪廻というべきか。』 この挿話は小説家の大のお気に入りで、いくつかの作品のなかで繰り返し紹介している。

※「長靴を履いた開高健」より引用。文中の『~』の中の文章は『私の釣魚大全』からの引用箇所。

052

にほんブログ村 本ブログ 作家・小説家へ
にほんブログ村

<script type="text/javascript">document.write(unescape("%3Cscript")+" src='http://widget.zenback.jp/?base_uri=http%3A//s-takita.blog.ocn.ne.jp/fishnet/&nsid=92194058847427820%3A%3A92272024046563610&rand="+Math.ceil((new Date()*1)*Math.random())+"' type='text/javascript'"+unescape("%3E%3C/script%3E"));</script>

司馬遼太郎が開高健に送った弔辞

2010-07-05 22:02:43 | ■Fish & Tips(うんちく・小ネタ)

長靴を履いた開高健 (朝日文庫) 長靴を履いた開高健 (朝日文庫)
価格:¥ 735(税込)
発売日:2010-05-07
読売広告社の岩切靖夫元社長はテレビ化された「オーパ、オーパ!!」シリーズの製作総指揮を執った人物だ。

その岩切さん、開高さんと共に中国ハナス湖に体長12メートルの巨大魚を釣りに行った折りに、毎晩開高さんの枕元で弔辞を読まされたという。

「私が死んだときは君が弔辞を読むんだから、いまから練習しておけ!」冗談とも本気ともつかぬ言葉に即されて、即興で弔辞を読むが苦痛で仕方がなかったと岩切さんは苦笑する。

幸いなことにというべきか、練習の甲斐もなくというべきか、開高さんの葬儀の折に岩切さんが弔辞を読むことはなかった。

開高さんの葬儀で弔辞を読んだのは作家の司馬遼太郎氏である。現在、県立神奈川近代文学館で開催されている「開高健の世界展」に、司馬氏が書いた弔辞の原稿が展示されている。

開高健を送るのに相応しい弔辞を書こうとして司馬氏が推敲に推敲を重ねた跡が原稿にはっきりと残っている。文章と格闘して死んでいった作家を、文章と格闘している作家が送る弔辞に一字一句の妥協も許されない。真剣勝負。そんな気迫が、まさに鬼気迫る思いの丈が、原稿に溢れている。

Dscf0846

にほんブログ村 本ブログ 作家・小説家へ
にほんブログ村

釣り=永遠の幸せ? 本当は・・・

2010-06-04 22:14:50 | ■Fish & Tips(うんちく・小ネタ)

『オーパ!』の第六章〈水と原生林のはざまで〉は以下の文章で結ばれている。開高ファンの間ではつとに有名な中国の古諺だ。

一時間、幸せになりたかったら、酒を飲みなさい。
三日間、幸せになりたかったら、結婚しなさい。
八日間、幸せになりたかったら、豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい。

釣りキチには何ともうれしくなるような諺だが、しかし、少し冷静に考えれば釣り=永遠の幸せというのはどうもおかしいと気づくはず。いくら何でもそれは言い過ぎだろう、と。

 きっと開高健もそう思ったに違いない。以下は『長靴を履いた開高健』からの引用だ。

《後年、阿川弘之提督の紹介で知り合った船坂真一氏に依頼をし、三井物産香港支店長経験のある同氏の香港人脈を総動員して調べてもらったところ、中国では“一時間、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい”というのだということが判明。その知らせを船坂氏からもらった小説家は、折り返しの返信のなかで《私が中国古諺として十九世紀のイギリスの本で読んだときは、永遠に幸せになりたかったら釣りをおぼえろ、となっていたのだが、本場では一時間幸せになりたかったら、となっているのを知って、オドロキと微苦笑。》

永遠に、幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい。--だと頭から信じ切っていた読者にとってもオドロキの事実だろう。微苦笑どころではないかもしれない。

にほんブログ村 本ブログ 作家・小説家へ
にほんブログ村

鮭の皮をなめした限定30部の『フィッシュ・オン』特装本

2010-06-01 22:11:00 | ■Fish & Tips(うんちく・小ネタ)

長靴を履いた開高健 (朝日文庫) 長靴を履いた開高健 (朝日文庫)
価格:¥ 735(税込)
発売日:2010-05-07
鮭皮をなめして作った『フィッシュ・オン』の特装本がこの世に30冊存在する。わずか30冊しか存在しない。

1冊1冊にナンバーがふってある。1番から30番まで。

以下、『長靴を履いた開高健』より引用

《なめしたサケ皮を張り込んだ特装本は全部で30冊作られ、小説家が奥付に直筆で通しナンバーを書き入れた上で、関係者に贈呈された。その贈呈先を知りたいと思って開高健記念会のメンバーはじめ複数の関係者にたすねてみたが、贈呈先リストのようなものは残っておらず、誰の手に渡ったのかは結局わからなかった。
 沼田さん(フィッシュ・オンの装幀家・沼田望氏)は小説家から直に1冊もらったという。
「きみにも1冊上げようといって、開高さん自身からもらった。長いこと人に貸しっぱなしなので、通し番号が何番だったか忘れちゃったけど」
『フィッシュ・オン』の写真を担当した秋元啓一氏のご家族のもとに通し番号4番と25番の2冊があるのはわかっている。
茅ヶ崎の開高記念館に1冊展示されているが、これは『オーパ!』などの装丁を手がけた装丁家の三村淳氏所有のもので、通し番号は3番。特装本づくりに関わった田中勇、足田輝一、沼田六平太、佐藤俊一、大口製本の大口社長の各氏に贈呈されただろうことはまず間違いない。サントリーの佐治敬三氏、作家の井伏鱒二氏らにも贈呈したのではないかと思われるが、実際どうだったかはわからない。
 ひとつ不思議なのは、当然持っているはずの小説家の手元にこの特装本が残っていないということだ。通し番号1番の特装本が小説家の書棚のどこかにあってしかるべきなのだが、それがない。果たしてどこへ行ってしまったのか。誰が持っているのか・・。》

※後日調べたところでは、読売広告の元社長・岩切靖夫氏が7番を持っていることが分かった。また、谷沢永一氏が29番を持っていたが阪神淡路大地震の際に消失してしまったという。

※某古書店の目録に88万円で載っていたという噂話もある。ニセモノが出回っているという話もある。

Photo

にほんブログ村 本ブログ 作家・小説家へ
にほんブログ村

OPA! オーパ! オッパ?

2010-05-28 08:50:55 | ■Fish & Tips(うんちく・小ネタ)

アマゾン大釣行記「オーパ!」は本当に「オーパ!」でいいのかという話。

「OPA!」は驚いたり感動したりするときに使うポルトガル語の感嘆詞で、英語の「WOW!(ワオッ!)」に相当する。

しかし、「OPA!」の発音は正しくは「オーパ!」ではなさそうなのだ。

実際の発音は「オーパ!」よりもむしろ「オッパ!」に近い、とカメラマンの高橋曻さん(故人)に聞いたことがある。

先日、テレビを観ていたらたまたまブラジル人がこの言葉を口にしていた。私の耳にも「オッパ!」と聞こえた。番組の中で何度かその言葉が繰り返されたが、何度聞いても「オッパ!」だった。

ま、感動の度合いが深いときに、ため息まじりに「オーパ」と伸ばすことはあるだろうことは想像できるが。

写真は雑誌「PLYABOY」に掲載されたオーパ!の記念すべき連載第一回

にほんブログ村 本ブログ 作家・小説家へ
にほんブログ村

05065_jpg