長靴を履いた開高健

小説家開高健が書かなかった釣師開高健の姿や言葉などあれこれ

湿原の画家・佐々木栄松画伯逝く

2012-01-12 22:57:17 | ■頁の背後(管理人の独り言)
釧路湿原を描き続けた”湿原の画家”として知られる佐々木栄松画伯が1月11日に亡くなられた。1913年生まれ。享年98歳の大往生だ。
画伯はまた幻の魚イトウ釣りの名人としても知られ、開高健の「私の釣魚大全」にも登場する。矢口高雄作の「釣りキチ三平」にも、イトウ釣りの名人にしてルアーの研究家、魚拓の達人でもある湿原の画家「鳴鶴先生」として描かれている。
 2006年に出版された『長靴を履いた開高健』(小学館・朝日文庫)の取材でいの一番に声をおかけしたのが佐々木画伯だった。2002年2月に取材をさせていただきたい旨の手紙をしたためた。待ちわびた返事は3月半ばに届いた。《毛筆の、達筆で、神経痛のため全身激痛に襲われ、臥床の日々であり、はなはだ残念ながら取材には応じられない旨のことが書かれていた。このとき画伯88歳(大正2年10月31日生まれ)》(あとがきより)
 この手紙がすべてのはじまりだった。これをきっかけに以後3年近く私は釣り師・開高健の取材にのめり込んでいくのである。その結果完成したのが『長靴を履いた開高健』である。あのとき画伯から返事をもらっていなければ『長靴を履いた開高健』は構想だけで終わっていたかもしれないのである。

心からのご冥福をお祈り申し上げたい。合掌。

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