武田じゅうめい 旅人は風に向かって進む

色即是空とは、すべての存在は虚無であると知る。
旗印は日本愛、 日本人にはニッポンが足りない

黄土の奔流

2009年03月05日 | 人間の欲望
小沢一郎と検察。
まず国策捜査であったのかどうか。検察も法務省も、「国策捜査です」などとは口が裂けても言わないが、霞ヶ関と永田町の狐と狸によれば、法務省の国策捜査だという。小沢は1月に断言した、「3月解散、4月総選挙」。自民党は絶妙のタイミングを計って、小沢潰しにかかった。小沢を潰せば、菅、鳩、岡田、前原、誰が党首になっても今の民主をまとめる力はない。小沢が失脚すれば、民主は路線対立で分裂するのは自然の成り行きだ。つまり政界再編を促し、自民党は民主党の保守系を吸収する。自民党の延命大作戦。一方、小沢の昨日の釈明会見において、小沢は致命的な失言をした。「献金処理は担当者がやっており、私自身は献金の素性についてチェックすることはしなかった」。個人名で小額の献金ならチェックはしなくて良いが、長年に渡って政治団体という得体の知れぬグループから多額の献金を貰っていて「私は知らない」というのは筋が通らないし、そういう言い方をするなら国家経営を任せるわけにはいかない。さらに、「西松からの企業献金であったなら、政党支部が受け取れば何の問題も起きなかった」という言い分は理屈が通っているように見えるが、実は政党支部が献金を受けた場合、西松建設の名前を公表しなければならない。つまり西松の名前を表に出したくなかったというのが正解ではないのか。さて、国策捜査をやれば、献金の裏ルートなど一発で立件し、狙った獲物は捕獲できる。それが国策捜査というものだ。小沢に言わせれば、「異常な強制捜査であり逮捕だ」ということになるが、実際のやり取りを見ると、西松建設の二つの政治団体から献金を受ける際には、小沢の陸山会は西松に対して請求書を出していた。その後、献金は西松の政治団体名義で、請求書の金額通りに実行された。こうした献金の要請は、小沢サイドから西松の仙台支店に直接行なわれた。小沢サイドからの要請があると、西松の前社長・国沢幹雄の了承の下に西松は献金額を決定し、その金額を伝えられた陸山会は、改めて請求書を作成し、西松建設に渡していた。その後、請求書は2団体側に渡り、銀行振り込みの手続きは、2団体の代表を務める西松OBが行っていた。こうした手続きは毎年繰り返され、陸山会から西松に直接、「今年もよろしく」などと、前年並みの献金額を求めていたという。つまり検察は、言った言わないではなく、動かぬ証拠を握った。西松と岩手県の公共事業との絡みは、胆沢ダム、県立一戸病院、花巻空港工事がある。これが事実だとすると、小沢一郎の進退は議員辞職に相当するものだ。一方、同じ手口で西松サイドから政治献金を受けていた政治家の総数は、計21名に上り、民主党では国対委員長の山岡、自民党では森喜朗、二階俊博、尾身幸次、川崎二郎、山口俊一がいる。総理補佐官の山口俊一は、団体からの献金を認めたが、西松だとは知らなかったと言うのは噴飯ものだ。自民党は肉を切らせて骨を斬る非常手段だが、自民党サイドは山口俊一のように、「西松だとは知らなかった」として因果関係を否定する。しかし、政治団体のバックに誰が付いているかを詮索しないで、政治献金を受け取ることなど政治家は絶対にしない。また他方、西松事件に絡み、地検特捜部に聴取されていた長野県知事の村井仁の秘書であった右近謙一が先月自殺している。
さて、もう一度、小沢一郎に戻ろう。 話は飛ぶが問責決議のタイミングは昨年の12月にあった。党首討論の前だった。なぜか麻生太郎は党首討論を切望していた。小沢と「ある筋」は手を打ったのだろう。西松を立件しない代わりに問責解散の先送りを行なう。そして、それを反古にされて嵌められた小沢は、「異常な捜査手法」だとして昨日、口憤した。人間の欲望が渦巻く大理石の議事堂では、権力の「だんびら」は何を斬り、何を生もうとしているのか。密室の謀略は、危険な異臭を放ちながら、やがて黄土の奔流に姿を変えていくのか。じゅうめい、低く口笛を吹
く。
コメント
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