高野原災害情報

東日本大震災では,高野原団地も大きな被害を受けました。行政からの情報や被災した住民からの声を掲載します。(期間限定)

仙台・丘陵部―被災宅地は今(中)~河北新報~

2011年11月03日 | 報道記事
仙台・丘陵部―被災宅地は今(中)二次被害(仙台市青葉区栗生・西花苑地区)/崩落恐れる「崖下」

(河北新報2011年11月01日火曜日記事より引用)
※斜面が崩れた西花苑1丁目の住宅団地。奥に見える崖下の栗生地区の住民は二次被害におびえている

<山側に近づかず>
 「崖の上から家が崩れてきたらと思うと怖い。安心して住めるよう対策を講じてほしい」
 仙台市青葉区の栗生2丁目では、住民が東日本大震災の「二次被害」におびえる。東日本大震災で西花苑側との間にある崖が一部崩れ、崖の土砂や西花苑1丁目の家屋が栗生側に崩落してくる危険が生じている。
 栗生2丁目に住む30代の主婦は震災当日、「バキバキ」と木が折れる音を聞いた。滑り落ちてくる土砂に恐怖を感じ、1カ月ほど子どもを連れ宮城県外に避難。帰宅後も山側の部屋には近づかなかったという。
 市は5月、西花苑側との間の斜面に雨水が染みこまないようシートを張るなどの応急措置を実施。さらに6月22日には栗生2丁目の12世帯に避難勧告を出した。栗生2丁目町内会の庄子隆会長(65)は「勧告が長引けば、町内の人口減につながりかねない。安心して生活できるよう早期復旧してほしい」と願う。

<手薄な公的支援>
 崖下の住民への公的支援は、決して手厚いとはいえない。被災者として生活再建支援金を受け取るには、自宅が大規模半壊以上の被害と認定されることが条件で、避難勧告対象の栗生地区の世帯は、現状では受給できない。宮城県が今後、「長期避難世帯」に認定すれば、支援金を受け取れるが、まだ結論は出ていない。
 崖上の西花苑側の被害も深刻だ。西花苑1丁目では、震災で5軒の住宅で家屋などが傾く被害が発生。うち4軒の住民が避難し、3軒で解体工事が進む。
 西花苑1丁目の団地は1975~78年、谷を土砂で埋める「谷埋め盛り土」で造成された。市の調査によると、盛り土した場所の地下水位は高く、かつての谷の沢筋に沿って被害が生じている。
 崖下などへの二次被害防止策としては、国土交通省が「災害関連地域防災がけ崩れ対策事業」の対象を拡大する方向を打ち出している。本年度第3次補正予算案で、造成地の宅地被害に助成を行う事業を盛り込んだ。

<避難勧告は継続>
 ただ、西花苑、栗生地区のケースが該当するかどうかは定かでない。市は「該当するかどうか、調査中だ。市としては原状回復を考えるが、被災住民の意向を踏まえ復旧策を考えたい」(開発調整課)と話している。
 崖下の栗生地区の住民への避難勧告は現在も継続中。西花苑側で被災住宅が解体されても、斜面など全体の復旧工事が完了しない間は解除されない見通しだ。
 西花苑1丁目町内会の岸伸一会長(75)は「栗生側から二次被害を心配する声は聞く。だが、町内会としてできることには限界がある」と苦しい胸の内を語る。

<メモ>「災害関連地域防災がけ崩れ対策事業」は、崖崩れが発生した場合に、2戸以上の人家に二次被害が及ぶ恐れがある高さ5メートル以上の崖を対象としている。震災後に国土交通省は特例を設ける方針を示している。造成された宅地といった人工斜面を対象に追加し、崖の高さも3メートル以上に緩和する。その際、道路などの公共施設にも被害が及ぶ恐れがあることが条件となる。事業の実施主体は市町村で、国が事業費の2分の1を負担、残りを県と市町村が負担する見通し。

2011年11月01日火曜日

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