Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

イラン大統領選、保守強硬派アハマディネジャドが勝利

2005-06-25 22:49:51 | 国際
産経新聞(共同配信)
アハマディネジャド氏当選 イラン大統領に保守強硬派
2005年6月25日 18:31

 改革派のハタミ大統領の任期満了に伴い24日行われたイラン大統領選挙の決選投票は25日の開票の結果、「イスラム革命の価値」を強調する保守強硬派のアハマディネジャド・テヘラン市長(48)が6割以上を得票し、対米関係改善を重視する保守穏健派で前大統領のラフサンジャニ最高評議会議長(70)を大差で破り圧勝、初当選した。8月に就任の予定。

 これにより保守派が立法、司法府に加え行政府も掌握し三権を独占。社会の自由化を目指したハタミ大統領の2期8年間の改革路線が大きく後退する可能性がある。当面の焦点は、新政権が外交や内政でどんな政策を打ち出すのかに移った。

 イラン革命翌年の1980年に断交した米国との関係改善が遠のき、核兵器転用が可能なウラン濃縮などの計画放棄を求める欧州3カ国との交渉に影響を与えそうだ。

 国営テレビによると、在外投票分を除いた開票結果は、市長の得票率が61.8%、ラフサンジャニ議長が35.8%。投票率は約60%だった。

 選挙戦で市長は、富裕層が握る石油収入を貧困層に分配すると主張。最高指導者ハメネイ師に忠実な民兵組織を基盤に、低所得者層を中心に支持を集め、議長らを含む現イスラム体制指導部への批判票も取り込んだ。

 一方、経験を誇示する議長は「急進主義の支配阻止」を訴え、反市長でまとまる改革派に支えられたが、金権腐敗のイメージで伸び悩んだ。

 17日の第1回投票の投票率は約63%で、議長の得票率が21.1%、市長は19.5%だった。非聖職者の大統領は、81年の就任直後に爆弾テロで暗殺されたラジャイ氏以来。(共同)

原子力供給国グループ年次総会、核不拡散体制は危機的状況

2005-06-25 08:25:04 | 国際
産経新聞(共同配信)
核技術の輸出規制強化で合意せず NSG総会閉幕
2005年6月24日 21:25

 「核の闇市場」問題への対策が急がれる中、核関連物質・技術の輸出規制強化策をめぐりオスロで開かれていた多国間組織「原子力供給国グループ(NSG)」(日本、米国など44カ国)年次総会は24日、焦点となっていたウラン濃縮・再処理関連技術の輸出規制強化について、最終的に合意できないまま2日間の討議を終え、閉幕した。

 5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の決裂に続いて、具体的な成果が挙げられず、核不拡散体制の危機的状況がより深刻さを増すことになった。

 各国は、原子力専用品の取引国に対し、国際原子力機関(IAEA)による保障措置(核査察)強化のための追加議定書締結を義務付ける指針改定案でも合意に失敗。濃縮・再処理関連の規制強化策と合わせ、来年の総会に向け議論を継続することになった。

 一方で、北朝鮮やイランの核問題を受け、IAEAの保障措置協定違反が認められる国に対し、核関連輸出の停止措置を取ることは決まった。現在でもほとんどの加盟国が同様の措置を実施しているが、重要性を考慮し指針を改定した。

 会議では、日本、米国などが濃縮・再処理関連技術に関し、秘密核開発が懸念される国への原則輸出禁止などの規制強化策を要請。しかし、ブラジルなど一部の加盟国が、一方的な規制強化は「原子力の平和利用の制限」につながると反発。追加議定書の義務化についても実施時期や方法で意見が分かれ、決定は全会一致が原則のため、合意できなかった。

 また、クロアチアの新規加盟が承認された。(共同)



 原子力供給国グループ(NSG)総会が24日発表した声明の要旨は次の通り。

 一、ウラン濃縮・再処理関連技術の輸出規制強化案と、原子力専用品の取引国に対し、国際原子力機関(IAEA)による査察強化のための追加議定書締結を義務付ける指針改定案を最優先事項として協議を継続することで合意。

 一、NSGは、IAEAの保障措置協定の違反国に対し、加盟国が国内の決定に基づき、核関連の輸出停止に向けた措置を取ることを決定。

 一、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の失敗を特記し、北朝鮮、イランの核問題で核不拡散体制が挑戦を受けている中、NSGが同体制強化に向けた努力を続けていくことを確認。

 一、加盟国が「核の闇市場」問題などで情報交換を継続することで合意。

 一、クロアチアを45番目の加盟国として承認。(共同)

アメリカ政府、対中輸出製品規制強化へ

2005-06-25 07:54:41 | 国際
讀賣新聞
米が対中輸出製品規制強化へ、軍事転用の防止狙う
2005年6月24日10時38分

 【ワシントン=広瀬英治】米政府は23日、米国から中国に輸出される民生用ハイテク製品の軍事転用を防ぐため、年内に新たな輸出規制を導入する方針を明らかにした。

 米議会の諮問機関である「米中経済・安保検討委員会」の公聴会で、米商務省のピーター・リクテンバウム次官代行が述べた。

 それによると、軍事転用の恐れがある部品が一部でも使われている工業製品を幅広く輸出規制の対象とし、規制の抜け道をふさぐ。現在、政府内で対象分野の選定を進めているとしている。

台湾で日本人観光客殴られる

2005-06-25 07:48:16 | 国際
讀賣新聞
台北の料理店、台湾人十数人に殴られ日本人5人けが
2005年6月24日22時51分

 【台北=石井利尚】台湾の台北市の繁華街・万華地区の海鮮料理店で23日夜、日本人団体観光客7人が、台湾人客十数人にビール瓶や鉄パイプなどで殴られ、5人がけがをした。うち1人は左腕を骨折した。

 日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所によると、日本人観光客が食事を終えて談笑していたところ、近くにいた台湾人客が、「日本人にののしられた」と誤解して、殴ったという。

 地元警察は、「台湾人客の代表が示談金を支払って決着した」と説明。一部台湾紙は、尖閣諸島の領有権問題がけんかの原因と見られると伝えたが、同警察は「事実ではない。お互い言葉が通じなかったのだから」と否定した。

南北閣僚級会談の結果

2005-06-25 07:36:16 | 国際
朝日新聞
対話再開、南北蜜月を強調 閣僚級会談が終了
2005年06月24日22時07分

 ソウルで24日まで開かれた南北閣僚級会談は、離散家族の再会や軍事会談の再開などに合意し、協調の復活をアピールした。対話の勢いを弱めないため、韓国政府が6者協議復帰など「敏感な問題」での深追いを避けたことが「蜜月ぶり」につながった。

 核問題では「朝鮮半島の非核化が最終目標」と確認したが、6者協議の7月復帰を促す韓国に対し、北側は態度を示さずじまい。すでに金正日総書記が6者協議への「条件付き7月復帰の用意」を言及したこともあり、「あまり問いつめると対話ムードが壊れる」(政府筋)として突っ込んだやりとりはせず、南北関係の修復に的を絞ったようだ。

 険悪なまま終わることが多かった過去14回と比べ、友好ムードが目立った。訪問予定の映画村に北朝鮮に対する批判団体が集結していることがわかると、視察先を急きょ変更。会談場には初めて円卓が持ち込まれ、南北が隣り合って話をした。23日夜は突然、共同会見が設定され、両代表が初めて並んで共同報道文を発表する光景が、韓国中に生中継された。

 北朝鮮の当面の狙いが支援獲得にあるとの見方は強い。政府当局者は24日、北側の食糧支援の要求が例年水準より10万トン多い50万トンだったことを明らかにした。

 「南北対話が核問題解決に有益であることを確認した」と韓国政府は評価するが、核問題で具体的な成果を示せない限り、過剰な「民族共助」に日米の反発が高まる可能性もある。


中央日報
<南北閣僚級会談>「北核解決に実質的な措置を」
2005.06.23 22:23:30

韓国、北朝鮮は韓半島非核化を最終目標とし核問題の平和的解決のための実質的措置を取っていくことで合意した。

また西海北方境界線(NLL)上の軍事緊張緩和問題などを扱う将軍級会談を再開するとし、具体的な時期は南北軍当局が定めることにした。

8.15光復(解放)60周年を契機に行われる南北離散家族対面は8月26日から金剛山で開催される。

韓国、北朝鮮は23日、ソウルウォーカーヒルホテルで第15回長官級会談最終会議を開いてこのような内容を骨子の12項目に合意した。

共同報道文は南北の主席代表(北側は団長)が記者会見で発表した。

南北は第11回離散対面の再開とともに金剛山離散家族面会所を着工することとし、このための測量と地質調査は7月中に終えることで合意した。

また第6回赤十字会談を8月中に開き、6.15当時の行方不明者の生死の確認など人道的問題を協議することにしている。特に8.15を迎え、離散家族テレビ対面を試験的に開催することにも合意し、このための実務接触は7月10日ごろ開城(ケソン)で行うことにした。

韓国側は北朝鮮が今回の会談で要請してきた例年水準(40万トン規模)の食糧を支援することに決定し、具体的な問題は7月9日からソウルで開かれる第10回経済協力推進委員会で処理することにした。

南北は共同漁労などを協議する水産協力実務協議会と対北朝鮮農業支援を行う南北農業協力委員会を稼働することにし、その初会議を7月中にそれぞれ開催することにした。

次の長官級会談は9月13日から16日まで白頭山(ペクトゥサン)で開く。 

崔勲(チェ・フン)記者
イ・ヨンジョン記者


朝日新聞
100年前の第2次日韓協約、南北が「無効」で共同歩調,
2005年06月24日13時23分

 1905年に日本と当時の大韓帝国の間で結ばれた第2次日韓協約(乙巳(ウルサ)条約)について、ソウルで24日まで行われた南北閣僚級会談で、韓国と北朝鮮が「無効性」を確認したことは、日韓の歴史認識摩擦をさらに複雑にする可能性がある。協約は、その5年後の韓国併合条約、植民地統治のもとになったため、日本が「国際法上有効」との立場を取り続けるからだ。

 「無効」は、23日夜に南北が発表した共同報道文に盛り込まれた。同協約は1905年の日露戦争の勝利後、日本が韓国の皇帝・高宗に調印を迫り、外交権を奪って保護国化した。65年締結の日韓基本条約では、あえて1910年以前の日韓の協約などの有効性はあいまいにされた。韓国の学界レベルでは「不法・無効」との見方が根強く、先の日韓歴史共同研究でも日本側と見解が対立していた。


朝鮮日報
「北、コメ50万トンの支援を要請」 1700億ウォン余が所要
2005年6月24日 17:48

 北朝鮮が24日終了した第15回南北閣僚級会談で、コメ50万トンを支援して欲しいと要請したと、政府当局者が明らかにした。

 政府はこれまで北側が要請した支援規模を「例年水準」とだけ明らかにしたため、40万トン規模と伝えられていた。

 コメ50万トンは国産コメと東南アジア産をあわせて構成した場合、国際時価ベースで1500億~1700億ウォン余が所用される。

 この当局者は「例年と同じく、今年も食糧を支援するという原則には北側と合意したが、その規模については、まだ協議されていない」とし、「今年7月9日からソウルで開かれる第10回経済協力推進委員会の会議で支援の規模と時期、方法などを具体的に協議する予定」と述べた。

国際高感度調査結果、アメリカと中国の対比

2005-06-24 22:03:00 | 国際
朝日新聞
イラク戦争から2年、米の好感度回復せず 16カ国調査
2005年06月24日19時36分

 イラク戦争から2年たっても、米国やブッシュ大統領の好感度は欧州やアジア各国で回復しておらず、欧州では外交・安保政策で米国からの自立を求める意見が強いことが米調査機関の世論調査でわかった。逆に中国は経済成長などで好感をもたれており、イスラム教徒が多い国では、米国に対する対抗軸として中国が米国並みの軍事大国になることを肯定的に見ている。

 調査はワシントンにあるピュー・リサーチ・センターが今年4、5月に米国を含む世界16カ国の約1万7000人を対象に実施した。日本は対象に含まれていない。

 欧米各国で米国に好感を持つ人は昨年3月(一部は一昨年)の前回調査と比べると、フランスで37%から43%へ、ドイツで38%から41%へとわずかに増えているが、英国では58%から55%へ、カナダでは63%から59%へと微減。いずれの国もイラク戦争前に比べるとまだ13~20ポイントも低い。

 米国に好感を持たない回答者にその理由を「ブッシュ大統領」か「米国全般」か聞いたところ、欧米6カ国では「ブッシュ大統領」と答えた人が5~7割を占め、計10カ国で「ブッシュ大統領」が「米国全般」を上回った。

 イラクのフセイン元大統領が権力の座を追われて世界が安全になったと回答した人は米国の49%とインドの45%が最も高く、あとは軒並み4割を切った。

 ただ、昨年末のスマトラ沖大地震とインド洋津波における米国の支援活動に対する評価は高い。インドネシアで79%、インドで54%と高く評価され、米国の好感度はインドネシアで2年前より23ポイント、インドでは3年前より17ポイント上がった。

 欧米の外交・安保関係を緊密に保つかどうかを聞いたところ、欧州5カ国では「より自立するべきだ」と答えた人が5割を超えたのに対して、逆に米国では66%が「緊密に保つべきだ」と答えており、すれ違いの状態になっている。

 軍事的に米国が唯一の超大国である状態がいいか、欧州連合(EU)や中国などが対等の力を持った方がいいかを聞いたところ、米国を除くすべての国が「ライバル出現」を望んでおり、フランスでは85%、インドで81%、中国で74%の高さだった。

 一方、中国の好感度は16カ国すべてで「好ましい」が「好ましくない」を上回った。ただ、中国が米国並みの軍事大国になることについては欧米各国は7~8割が「悪いこと」と答えているのに対し、イスラム教徒が多いパキスタンの77%を筆頭に計5カ国で「良いこと」と答えた人の方が多かった。


新華社(英文)
China image scores better than US: poll
www.chinaview.cn 2005-06-24 08:06:18

BEIJING, June 24 -- The United States' image is so tattered overseas two years after the Iraq invasion that China is viewed more favorably than the U.S. in western countries, an international poll found.




Eleven of the 16 countries surveyed by the Pew Research Center — Britain, France, Germany, Spain, the Netherlands, Russia, Turkey, Pakistan, Lebanon, Jordan and Indonesia — had a more favorable view of China than the U.S.

India and Poland were more upbeat about the U.S., while Canadians are as likely to see China favorably as they were the United States.

The poll, which was released Thursday, found suspicion and wariness of the United States in many countries where people question the war in Iraq and are growing wary of the U.S.-led war on terror.

"The Iraq war has left an enduring impression on the minds of people around the world in ways that make them very suspicious of U.S. intentions and makes the effort to win hearts and minds far more difficult," said Shibley Telhami, a senior fellow at the Brookings Institution.

The overseas image of the United States slipped sharply after the Iraq invasion in 2003, the Pew polling found, and it has not rebounded in Western European countries like Britain, France, Germany and Spain. The U.S. image remains relatively poor in Muslim countries like Jordan and Pakistan, but has bounced back in Indonesia, the world's most populous Muslim country which benefited from U.S. aid to tsunami victims, as well as in India and Russia.

Support for the U.S.-led war on terror has dipped in European countries like Britain, France, Germany, Canada and Spain, while it remains low in the Muslim countries surveyed like Pakistan, Turkey and Jordan.

"There is a general recognition that terrorism is a terrible problem that strikes home in countries all over the world," said John Danforth, the former Republican senator from Missouri who also was U.S. ambassador to the United Nations.

"The position of the United States as the one surviving superpower is to be assertive in responding in a world of terrorism. But in the rest of the world, there is a great wariness about that," said Danforth, now a St. Louis attorney.

The survey found that a majority in most countries say the United States doesn't take the interests of other countries into account when making international policy decisions. It also found most would like to see another country get as much military power as the United States. People in most countries were more inclined to say the war in Iraq has made the world a more dangerous place.

People in other countries who had unfavorable views of the United States were most likely to cite Bush as the reason rather than a general problem with America.

Madeleine Albright, the secretary of state when Bill Clinton was president, said big majorities of the public in these countries are discontented with Bush "and say Bush's re-election has made them view the United States less favorably."

The polls were taken in various countries from late April to the end of May with samples of about 1,000 in most countries, with more interviews in India and China and slightly less than 1,000 in the European countries. The margin of sampling error ranged from 2 percentage points to 4 percentage points, depending on the sample size. (Source: China Daily/Agencies)

中国の農民たち、北京で陳情活動

2005-06-24 09:09:28 | 国際
産経新聞(共同配信)
農民1000人、外国公館へ陳情 腐敗に不満、当局が拘束
2005年6月23日 20:58

 中国共産党や官僚の腐敗反対などを訴える農民や労働者が18日から23日にかけ、北京市内の国連機関の施設や米国大使館、フランス大使館へ「陳情」のため相次いで押しかけ、約1000人が公安当局に拘束されたことが分かった。消息筋が明らかにした。

 押しかけたのは、腐敗や農地の強制収用への不満、救済措置を中央政府に直訴するため、北京に滞在している地方農民ら。外国機関を対象としたのは、対策を講じない「中国指導部へのいら立ちの表れ」(消息筋)とみられ、胡錦濤指導部への失望感の高まりを示した形だ。

 米大使館は「示威行為があったことを認識している」と一部事実関係を認めた。陳情者らは数十人の集団に分かれて両大使館などを訪れたが、待ち構えていた北京と地方の公安当局に次々と拘束され、警察車両で連れ去られたという。

 消息筋によると、農民らは、それぞれ陳情内容を記した文書を持参したが、スローガンや垂れ幕などは掲げずデモの形態は取らなかった。

 中国政府は5月1日に改正「陳情条例」を施行。陳情は代表者5人以下で行うことや、国家機関の建物を取り囲む行為などを禁止事項に規定、陳情活動に対する規制を強めている。陳情活動のため北京に滞在する吉林省出身の男性は「反日デモを黙認しておきながら、当局がわれわれを拘束するのは理屈に合わない」と不満を述べた。(共同)

金正日、2002年にブッシュに親書

2005-06-23 23:21:19 | 国際
中央日報
金正日総書記、02年にブッシュ大統領へ親書
2005.06.23 16:46:07

北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が02年11月、ブッシュ米大統領に朝米関係の正常化を促す親書を送ったが、米国はイラク侵攻の準備のため、これを無視したことが分かった。 金委員長がブッシュ大統領に親書を送った事実が明らかになったのは今回が初めて。

グレッグ元駐韓米国大使とジョンズ・ホプキンス国際大学院のオーバードーファー教授は22日、「北朝鮮をつかむべき瞬間(A Moment to Seize with North Korea)」と題したワシントンポスト紙への寄稿文で、「2002年11月に北朝鮮を訪問した際、金正日国防委員長からブッシュ大統領に伝えてほしいという親書を受け、これをホワイトハウスと国務省関係者に伝達した」と明らかにした。

金委員長はこの親書で、「もし米国がわれわれの主権を認めて侵攻しないという約束をすれば、新しい世紀の要求に歩調を合わせて、核問題を解決できるとみる」とし、「米国が大胆な決定をすれば、われわれはそれに相応する措置を取る」と主張したと、グレッグ元大使とオーバードーファー教授は伝えた。

2人は「しかしブッシュ政権は北朝鮮の和解提案を無視した」とし、「北朝鮮はその数週間後、国際原子力機関(IAEA)視察団を追放し、凍結した原子炉を稼働し始めた」と述べた。

グレッグ元大使とオーバードーファー教授は「米国は、北朝鮮が先週、韓国の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官を通じて出した提案を逃してはならない」と強調した。

ワシントン=金鍾赫(キム・ジョンヒョック)特派員 <kimchy@joongang.co.kr>


The Washington Post
A Moment to Seize With North Korea
By Donald Gregg and Don Oberdorfer
Wednesday, June 22, 2005; A21

North Korean leader Kim Jong Il's remarkable statements to a South Korean envoy last Friday present a rare opportunity to move promptly toward ending the dangerous nuclear proliferation crisis in Northeast Asia. The Bush administration should seize the moment.

The reclusive leader told South Korea's minister of unification, Chung Dong Young, that he is willing to return to the six-nation talks on his nuclear weapons program if the United States "recognizes and respects" his country. More than that, according to Chung, he raised the prospect of reversing his burgeoning nuclear program, rejoining the nuclear Non-Proliferation Treaty, which he abandoned two years ago, and welcoming back U.N. nuclear inspectors in return for a credible security guarantee.

The U.S. national interest as well as the interests of our Asian partners in the talks -- all of whom favor much greater U.S. engagement with North Korea -- call for a positive response from Washington. This would be particularly welcome in Seoul, which both of us visited last week.

For starters, we suggest that President Bush, after touching base with our Asian partners -- South Korea, China, Japan and Russia -- communicate directly with Kim Jong Il to follow up on his remarks. He might consider offering to send Assistant Secretary of State Chris Hill and Ambassador Joseph DeTrani to Pyongyang to prepare for a visit to Kim by Secretary of State Condoleezza Rice. The purpose would be to explore the policies behind Kim's words to determine whether practical arrangements can be made, subject to approval by our partners in the six-nation talks, to end the dangerous North Korean nuclear program.

In efforts to reassure North Korea, the United States has repeatedly declared that it recognizes North Korean sovereignty, has no hostile intent and is willing to arrange security guarantees and move toward normal relations with Pyongyang once the nuclear issue is resolved. Kim's remarks present a golden opportunity to take the U.S. offers to the one and only person in North Korea who has the power of decision. According to those who have met him personally in the past -- including former secretary of state Madeleine Albright, former South Korean president Kim Dae Jung and Japanese Prime Minister Junichiro Koizumi -- Kim is more flexible than anyone else in his government. That is not surprising, since he sets the line and others must follow.

As we well know, this is not the first time that Kim has sought engagement rather than hostility with President Bush, whom he discussed in surprisingly positive terms last Friday. During a visit we made to Pyongyang in November 2002 following a nuclear-related trip by Assistant Secretary of State James Kelly, we were given a written personal message from Kim to Bush declaring: "If the United States recognizes our sovereignty and assures non-aggression, it is our view that we should be able to find a way to resolve the nuclear issue in compliance with the demands of a new century." Further, he declared, "If the United States makes a bold decision, we will respond accordingly."

We took the message to senior officials at the White House and State Department and urged the administration to follow up on Kim's initiative, which we have not made public until now. Then deep in secret planning and a campaign of public persuasion for the invasion of Iraq, the administration spurned engagement with North Korea. Kim moved within weeks to expel the inspectors from the U.N.'s International Atomic Energy Agency, withdraw from the Non-Proliferation Treaty and reopen the plutonium-producing facilities that had been shut down since 1994 under an agreement negotiated with the Clinton administration.

Now the North Koreans are believed to have produced the raw material for at least a half-dozen nuclear weapons and many believe their claim to have fabricated the weapons themselves. Early this year North Korea declared that it has become "a full-fledged nuclear weapons state" and that it is working to produce still more atomic arms, all in response to U.S. hostility.

Kim's statements in Pyongyang Friday may be a sign that he is uncomfortable with persistent pressure from the United States and his Asian neighbors to return to the six-nation talks, which he left a year ago. He may also be feeling the pinch of deepening food shortages in his country. By reversing his nuclear program in return for the guarantees he seeks, Kim could avert stronger measures being discussed in Washington and other capitals to force the issue. These measures, in our judgment, promise only greater confrontation and growing danger on all sides.

By visiting Pyongyang and engaging Kim, Rice would not be condoning North Korea's human rights practices. The State Department has made clear that human rights is an issue to be resolved in negotiations on establishing full U.S. relations, not in talks on the nuclear question. If she responds to Kim's latest statements with a well-prepared visit and successful negotiations, Rice will have earned her spurs as America's chief diplomat.

Donald Gregg is a former U.S. ambassador to South Korea and currently president of the Korea Society. Don Oberdorfer is a former diplomatic correspondent for The Post and currently journalist-in-residence at Johns Hopkins University's Paul H. Nitze School of Advanced International Studies.



東亜日報
金総書記の親書に「悪い行動には補償ない」と米は黙殺
JUNE 24, 2005 05:55

「ドナルド・グレッグ元駐韓米大使が米朝間の対話チャンネル作りの重要性を強調すると、北朝鮮は、ホワイトハウスあてに送る金正日(キム・ジョンイル)の親書を作った」

グレッグ(アジアソサエティー会長)氏とともに02年11月、平壌(ピョンヤン)を訪問したオーバードーファー米ジョンズ・ホプキンス大教授は、23日の電話インタビューで、当時、北朝鮮の姜錫柱(カン・ソクジュ)第1外務次官から、金総書記の親書を受け取って、ホワイトハウスに渡した経緯をこのように説明した。


グレッグ氏とオーバードーファー教授は前日、米紙ワシントンポストに共同で寄稿した「北朝鮮をつかまえるべき瞬間」というコラムを通じて「親書」を渡した事実を公開している。


――親書はどう処理したか。

「当時、金桂冠(キム・ゲグァン)北朝鮮外務次官に招かれて、平壌を訪問中だったが、11月3日に親書を受け取った。ケリー米国務省次官補(東アジア太平洋担当)の平壌訪問(10月)で、2回目の北朝鮮核危機が発生してから2~3週間後だった。ワシントンに戻った後、当時のハドリー米ホワイトハウス国家安保会議(NSC)副補佐官に親書を渡した。韓国語の表現を知人を通じて英訳したものも一緒に渡した。金総書記の親書を私に渡した人は姜第1外務次官だ。同氏は『親書は金総書記がブッシュ米大統領に送るものだ』と話した」


――こうした重要な文書に署名がないのはおかしい。

「外交的に口頭メッセージ(verbal message)として通用する方式だ。正式な文書の形を避けたのは、後ほど、否認しようとした意図があったものと見受けられる」


――ブッシュ政府は、どんな出方をしたか。

「ハドリー副補佐官は『米国は悪い行動に補償しない』と話した。その後、ブッシュ政権は、ジュネーブ枠組み合意の破棄を理由に、対北朝鮮への重油供給を中断した」


――何故31ヵ月が過ぎた今になって公開したのか。

「北朝鮮は秘密維持を要請し、米国は対応しないことで一貫した。しかし、金総書記-鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官の会談という好材料を生かすため、公開を決心した」


――親書に「今回発生した核問題は…」という部分がある。2回目の北朝鮮核危機の原因となった高濃縮ウラン(HEU)計画のことのようだが…。

「姜第1外務次官は当時、HEUの存在を認めなかったが、否認もしなかった」。

青瓦台に北朝鮮政府要人が入る

2005-06-23 23:09:51 | 国際
毎日新聞
韓国: 盧大統領、北朝鮮の権内閣責任参事らと会談
2005年6月23日 20時01分

 【ソウル堀信一郎】韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は23日、青瓦台(大統領官邸)で南北閣僚級会談に出席している北朝鮮の権浩雄(クォンホウン)内閣責任参事ら代表団5人と会談した。盧大統領が青瓦台に北朝鮮代表を迎えたのは初めて。

 青瓦台報道官によると会談で盧大統領は、金正日(キムジョンイル)総書記が鄭東泳(チョンドンヨン)統一相との会談で「朝鮮半島の南北非核化共同宣言(92年発効)は有効だ。非核化は故金日成(キムイルソン)主席の遺訓だ」と語ったことを評価、「一刻でも早く核問題を平和的に解決すべきだ」と北朝鮮代表団に訴えた。

 大統領はさらに鄭統一相と金総書記との会談が成功したことに謝意を表明し「金総書記によろしく伝えてほしい」と述べた。また、今回の南北閣僚級会談が過去と比べ、和解ムードの中で開かれ、南北関係発展のための合意があったことを称賛した。

 これに対して権参事は「金総書記は、対面を重視して南北対決することはやめろと言っている」と述べ、南北双方が互いの立場を理解したため会談が成功したと評価した。

ライス、虎の尾は踏まないと約束か?

2005-06-23 15:54:50 | 国際
中央日報
ライス長官「韓国の北刺激自制要請を理解」
2005.06.23 08:29:32

北朝鮮が6カ国協議復帰の前提条件として「相手方の尊重」を掲げた中、米国ライス国務長官は22日、北朝鮮に対する刺激的発言自制を要請する韓国政府の立場を十分留意すると明らかにした。

ライス長官はこの日ブリュッセルで行われたイラク支援国際会議で、潘基文(パン・キムン)外交通商部長官と面談し、北朝鮮に対する刺激的な発言自制の要請に対してこのように答弁した。

潘長官はこの席で「米国高位官僚らが『暴政の前哨基地」などの発言を度々すれば北朝鮮を刺激するのではないか」とし「北朝鮮の性格上、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が話したことはほとんど絶対的で最終的だ。 条件がつきはしたが、北朝鮮が7月の6カ国協議復帰の用意を重要に感じており、雰囲気の造成が必要だ」と強調した。

これに対しライス長官は「米国政府が巨大政府であるだけに多様な意見が表出される。このような点を理解してほしい。北核問題に関する限り、ブッシュ大統領と私の立場が一番重要だ。韓国の立場を十分に留意する」と答弁した。

ライス長官は「韓米首脳が合意した北核問題の平和的解決原則を留意している。 米国も自ら6カ国協議再開のためにこれまで努力を続けてしており、韓国と緊密に協調していくという原則に変わりはない」と明らかにした。

アメリカ政府、北朝鮮に食糧援助

2005-06-23 15:20:52 | 国際
南北閣僚級会談が開催されているこの絶妙のタイミングを見計らってのアメリカ政府の発表だが、これに対し北朝鮮側はどのような反応をするのだろうか。前回の「ミスター・キムジョンイル」に対する「ブッシュ大統領閣下」程度の応酬しかあり得ないか。

一方、小泉首相はどう出るのだろうか。アメリカに追従したいところだろうが、日本には拉致問題があるので人道援助といえども軽々しくはできない。


産経新聞(共同配信)
米、北朝鮮に食糧支援再開 5万トン拠出発表
2005年6月23日 09:04

 米国務省のエアリー副報道官は22日の記者会見で、昨年7月以降事実上凍結していた北朝鮮向けの食糧支援を再開、世界食糧計画(WFP)の要請に基づき、5万トンをWFPを通じて拠出すると発表した。

 副報道官は「決定は政治的考慮に基づいておらず、6カ国協議再開問題とは何ら関係ない」と述べ、あくまでも人道上の配慮であることを強調したが、約1年ぶりの支援再開が北朝鮮に協議復帰を促す「明快なシグナル」であることは間違いなく、北朝鮮側の対応が注目される。

 北朝鮮はソウルで開催中の南北閣僚級会談でも食糧支援を韓国側に要請。米政府の支援再開決定は絶妙のタイミングで発表された形だが、国務省当局者は北朝鮮側との事前接触などは一切ないと述べ、独自の判断に基づく決定と説明した。

 副報道官によると、食糧支援再開は(1)実際の需要(2)他地域とのバランス(3)配給の監視状況―の3条件を勘案して決めた。支援食糧が住民にきちんと配給されているかを監視する状況について、副報道官は北朝鮮側の協力に「いくつかの改善」があったが「懸念も残っている」とし、一段の努力を求めた。

 米政府は2001年以降、北朝鮮に毎年食糧支援を実施しているが、第3回の6カ国協議直後の昨年7月に5万トンの支援を表明して以降、ブッシュ政権内強硬派の否定的な姿勢もあり、支援は事実上凍結されてきた。

 WFPなど国連機関は、今年の北朝鮮の穀物不足量を約50万トンと予測、国際社会に支援を呼び掛けている。(共同)

訳詩鑑賞『ルバイヤート』(38)

2005-06-22 06:25:21 | 文学




   第七十五歌


綺羅星のごと居ならべる

まらうどに酒すすめつつ

すでにわれ亡き座に来なば

盃伏せよ―吾妹子よ。




       75

And when Thyself with shining Foot shall pass
Among the Guests Star-scatter'd on the Grass,
And on thy joyous Errand reach the Spot
Where I made one―turn down an empty Glass!

李韓国首相訪中、対日・対北朝鮮問題協議

2005-06-22 06:21:06 | 国際
産経新聞(共同配信)
G4決議案採択に反対 北京で中韓外相協議
2005年6月22日 01:28

 韓国の李海瓚首相は21日、初の中国公式訪問のため3日間の日程で北京入りし、温家宝首相と人民大会堂で会談した。韓国の聯合ニュースによると、両首相は、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本やドイツなど4カ国(G4)がまとめた国連改革の「枠組み決議案」採択に反対するとの立場で一致した。韓国首相の訪中は2001年6月以来。

 韓国側の説明などによると、両首相は対話を通じた北朝鮮核問題の平和的解決の原則も確認、6カ国協議の早期再開に向けた努力を続けることでも一致した。

 李首相は特に、鄭東泳統一相が17日に平壌で行った金正日総書記との会談内容を説明。金総書記が前提条件付きながら6カ国協議への7月復帰の可能性に言及したことを受け、北朝鮮の前向きな姿勢を引き出す好機と判断、中国に一層の説得努力を要請したとみられる。

 李首相はまた、盧武鉉大統領がこのほど米国、日本と相次いで行った首脳会談の結果を説明、北朝鮮からの脱出住民問題や、両国で解釈の異なる高句麗史をめぐる位置付けなどの懸案でも意見交換したとみられる。韓国政府筋は会談前、日本の歴史問題や靖国参拝問題は取り上げられる予定はないと述べていた。

 中国中央テレビによると、温首相は韓国との自由貿易協定(FTA)締結交渉の早期開始と中国の西部大開発や東北振興への韓国企業の投資を要請。貿易不均衡での韓国側の配慮も求めた。

 李首相は22日に胡錦涛国家主席を表敬、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)とも会談する予定。(共同)

訳詩鑑賞『ルバイヤート』(37)

2005-06-21 06:48:34 | 文学




   第七十三歌


ああわぎ妹子もこよ、君とわれ

運命さだめとともにかたらひて

世の機構からくりをうちやぶり

こころのままになほさばや。




       73

Ah Love! could thou and I with Fate conspire
To grasp this sorry Scheme of Things entire,
Would not we shatter it to bits―and then
Re-mould it nearer to the Heart's Desire!



   第七十四歌


なれ常若とこわか嫦娥つきびと

みそらにのぼるかの月は

如何にしばしばこの園に

われをむなしく求むらむ。




       74

Ah, Moon of my Delight who know'st no wane,
The Moon of Heav'n is rising once again:
How oft hereafter rising shall she look
Through this same Garden after me―in vain!

日韓首脳会談、対立の溝埋まらず

2005-06-21 06:46:17 | 国際
毎日新聞
日韓首脳会談: 修復の道のり険しく 歴史認識の溝際立つ
2005年6月21日 2時28分

 日韓国交正常化から22日で40周年を迎えるのを前に、歴史認識で関係が険悪化する中で行われた20日の日韓首脳会談。焦点の靖国参拝問題をめぐっては、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が「歴史問題の核心」と指摘したのに対し、小泉純一郎首相は「不戦の誓い」を強調するのみで根本的な対立はとけなかった。日本側が「国立追悼施設の建設検討」と「歴史教科書の共同研究」という歴史カードを切って関係改善の布石を打ったが、韓国側の態度は硬く、修復の道のりは険しい。【ソウル高山祐、堀山明子】

 ◇日本 歴史カード効かず

 盧大統領「小泉首相は新たな追悼施設の建設に対し、日本の国民世論などを考慮して検討していくと約束した。失礼した。(事前に外交ルートで)調整された文章では『検討する』だった。私は『約束』という言葉を間違えて言ってしまった。修正する」

 首脳会談後の共同記者発表。盧大統領は日本側の切り札である「新たな追悼施設の建設検討」について、自らの発言を取り消すことで日本側への不信感をのぞかせた。

 これに対し、小泉首相は「韓国国民の過去をめぐる心情を重く受け止める。日本が過去の問題で反省すべきは反省し、未来に向けて率直に対話することが極めて重要だ」と抽象的な言葉で未来志向を強調した。

 韓国側の要請により両国の対立が浮き彫りにならないよう、記者からの質問を受けない方式で行われた異例の共同発表は、両首脳のズレが浮き彫りになる形で約25分間で終了。この後、1人で日本人記者団の質問に答えた首相は「追悼施設の建設検討」は事前に外交ルートで合意を確認していたため、会談では一切出なかったと説明した。

 外務省は事前の調整で「『日中』のように会談で激しい口論になれば日韓関係は完全に終わってしまう」(政府筋)と危機感を抱き、韓国外交通商省と打開案を探ってきた。その結果、苦肉の策として見いだしたのが、「無宗教の国立追悼施設の建設の検討表明」と「日韓歴史共同研究での両国歴史教科書の記述の研究」を打ち出すことで、「盧大統領の批判を極力抑える」(政府筋)ことだった。

 韓国側は会談で盧大統領の求めに応じて小泉首相が追悼施設建設検討を表明したことを評価するというシナリオも、ほぼ出来上がっていた。

 だが、小泉首相は訪韓前の17日、「いかなる施設を作っても靖国に代わる施設はない」と述べ、追悼施設は靖国神社の代替施設になり得ないとの考えを強調した。「追悼施設建設の検討」=「靖国神社参拝見送り」ではないのはもちろんのこと、施設建設そのものでさえ自民党内の反対が強く、来年9月の首相の任期切れまでに着手できるメドは立っていない。

 検討が約束として実行されず、靖国参拝と切り離されている状況では、靖国問題の抜本的解決にはほど遠いのが実情だ。事前のシナリオとは裏腹に共同発表での両首脳の発言は、歴史認識の溝の深さを改めて示した。

 ◇韓国 世論背に強硬姿勢

 「低い水準の二つの合意があった」

 小泉首相との共同会見で盧大統領は、いかにも不満そうにそう述べた。日本側が関係修復のカードとして用意した国立追悼施設の建設検討など2項目は、高い評価に値しないという意味だ。「歴史認識問題で合意したものはない」という大統領の言葉も、「責任は日本側にある」という韓国国民へのメッセージの性格を持つと言えよう。

 伏線は、10日の米韓首脳会談にあった。外交通商省筋によると、盧大統領はブッシュ大統領に「小泉首相に裏切られた思いだ」と訴えたという。

 昨年7月の日韓首脳会談で「自分の任期中は歴史問題は提起しない」と誠意を示したのに、小泉首相は相応の対処をしなかった。島根県議会の「竹島の日」条例制定を阻止せず、靖国神社参拝問題でも譲歩しない。むしろ誤った歴史を美化しているではないか--。これが盧大統領の論理だ。

 「短期的に解決できる次元の不信ではない」

 外交通商省筋はそう語る。この不信を背景に盧大統領は3月下旬、「外交戦争」という強い言葉まで使って日本側の歴史認識を批判した。世代交代もあって観念論に傾きがちな韓国世論は、大統領の強硬姿勢への懸念より声援に流れた。最近の対日政策は、この世論を追い風にしている。

 教科書検定も靖国参拝も、そして竹島(韓国名・独島)領有権紛争も、韓国側の視点からは「歴史認識」問題として集約される。もちろん、日本側の認識が誤っているという前提がある。

 青瓦台(大統領官邸)高官によると、盧大統領は小泉首相に「我々が頻繁に会って写真を撮り、両国間の協力について論議しても、歴史認識の根本問題が解決できなければ相互不信は解消されない」と述べた。

 各国の歴史認識は必ずしも一致しないという日本側の立場とは、食い違いが大きすぎる。

 ◇日米と韓 距離微妙

 20日の小泉純一郎首相と韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領との日韓首脳会談で、歴史認識や教科書検定問題に次いで焦点となったのが北朝鮮の核問題への対応だった。会談で両首脳は6カ国協議の早期再開に向け日米韓3カ国が連携を維持することで一致したが、歴史認識問題での日韓のぎくしゃくぶりの陰に日米韓連携は隠れてしまった格好となった。

 盧大統領「平和的な解決の原則と、そのための外交的努力の継続についても確認した。韓日米の連携の原則に合意した」

 小泉首相「6カ国協議の早期再開と、日米韓3カ国の緊密な連携を継続していこうという点でも一致した」

 会談後の共同記者発表で、両首脳が北朝鮮の核問題に言及したのはわずかこれだけだった。会談でも同様のやり取りがあっただけで、時間切れで終わったという。

 日本側には21日からの南北閣僚級会談を控え、南北交流を進める韓国が、北朝鮮に対し融和的な姿勢を強めることへの警戒感が強かった。17日に平壌で行われた北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記と韓国の鄭東泳(チョンドンヨン)統一相との会談で、金総書記が7月中にも6カ国協議に復帰する意向を示したことについても、日本政府内からは「韓国側を引き込み、日米韓の連携体制にくさびを打ち込むことを狙ったもの」(外務省幹部)との慎重な見方が出ている。

 このため今回の首脳会談では、歴史認識をめぐる日韓の対立を修復軌道に乗せることで、北朝鮮が日米韓連携に付け入るスキを与えないようメッセージを送ることを目指した。中には「日韓関係よりも北朝鮮問題に比重が移れば、会談は前向きなトーンに変わるかもしれない」(外務省幹部)との期待感も出ていたが、靖国神社参拝をはじめとする歴史認識問題の対立の厳しさにかき消されてしまった。

 北朝鮮が6カ国協議に復帰しない場合の「他の選択肢」の協議も避けられ、日米両国と韓国の距離が広がったことを印象付けた。【高山祐】

 ◆日本側説明による20日の日韓首脳会談の要旨は次の通り。ただし歴史問題に関する盧大統領の発言については、韓国側説明が詳細にわたるため、別途掲載した。

 ◇日本側説明による20日の日韓首脳会談の要旨は次の通り。

 【歴史問題】

 盧武鉉大統領 北東アジアの平和と共存の秩序構築のためには日韓の信頼が何よりも重要。日本が過去の不幸な歴史を反省し、歴史が繰り返されないことが確信できるよう行動で示すことが両国間の信頼の基礎。日本の要人の信頼を崩すような言動が繰り返されてはならない。

 小泉純一郎首相 韓国国民の過去をめぐる心情を重く受け止め、過去の問題への姿勢を実践で示す。一時期の意見の違いはあっても大局的見地から両国関係を元の軌道に戻し、未来志向で前に進めたい。わが国は戦後60年間、一貫して平和国家として専守防衛に徹し国際紛争を助長せず、国際平和と安定に最大限寄与した。

 盧大統領 戦後の日本の歩みは理解している。歴史問題をめぐって信頼関係を回復するための努力が重要。よい関係が進展しても一時の感情の高まりで損なわれてしまう。

 【靖国参拝問題】

 盧大統領 この問題が日韓関係の歴史問題の核心である。

 首相 二度と戦争を繰り返してはならないという不戦の誓いから参拝した。

 【過去の問題】

 首相 朝鮮半島出身者の遺骨の調査・返還、在韓被爆者、在サハリン韓国人への支援は可能な限り進める。

 盧大統領 日本側の対応を評価する。さらなる進展を期待する。

▼以下は合意、確認事項

 【追悼施設】

 日本側による国立追悼施設の建設検討を確認。

 【歴史共同研究】

 第2次日韓歴史共同研究で教科書記述を研究する委員会設置で合意。研究成果の周知を徹底し共通の認識に達した部分が教科書編集の参考になるよう、両国の教科書制度の枠内で努力することで合意。

 【羽田・金浦便】

 8月1日から羽田-金浦間の航空便を現行の4便から8便への増便合意。

 【北朝鮮の核問題】

 6カ国協議が平和解決のための最善の枠組みであり、協議の早期開催に向けた協力が重要で日米韓3カ国の結束が大事ということを確認。

 【次回首脳会談】

 今年中に日本で開催で合意。

 ◇韓国側説明による日韓首脳会談での盧大統領の歴史認識に関する発言内容は次の通り。

 【靖国問題】

 首相の説明を聞いても、私と国民にはやはり、過去を正当化するものに聞こえる。これが客観的現実だ。過去の戦争を美化して学んでいる国が隣にいて、その国が強い経済力と軍事力を持っていれば、何度も苦痛を受けた国民にとっては不安を感じざるをえない。小泉首相のように決断力のある指導者がいる時に、日中韓の北東アジアの秩序をどうやってつくるのか、我々が決断しなければならない。

 【歴史認識】

 小泉首相と頻繁に会って写真を撮り、両国間の協力について議論をしても、歴史認識に対する根本的な問題が解決されなければ、相互不信は解消されない。最近の北東アジアを見れば、はっきりと対立がある。我々の心の底に対決が残っている限り、未来の平和を達成するのは困難だ。

 【教科書問題】

 扶桑社教科書の採択率は、01年は低かったが、今年は与党・自民党の核心勢力が採択率を上げるため支援しているのではないかという報道が出ており、関心を持っている。初等、中等教育は国家が責任を持って教えるものだ。日本の教科書制度に政府が関与できないという説明は、我々には到底理解できない。

 【閣僚問題発言】

 日本の与党の閣僚と核心指導者たちが、韓国国民の歴史認識と違う言葉をし、国民感情を刺激している。与党幹部や指導部の発言は格別に注意してもらいたい。【ソウル支局】