11月16日。
息子をあらゆる煩わしさから解放するための、前十字靭帯の再建手術が行われた。
我々両親は、朝早い時間に病院へ行き、コウスケの手術の準備に立ち会った。
コウスケの手術は朝一番だった。
彼は、手術着に着替え、すべてを悟ったかのような表情で、手術室に向かった。
やはり今回も、彼はまた自分の足で歩きながら手術室に消えていった。
確実な足取りで手術室の扉の向こうに消えていく息子の後ろ姿を見るのは3回目だ。
不覚にも私の目は涙で潤み彼の背中が滲んで見えた。
『コウスケ、これで、あらゆる煩わしたから解放されるよ。不安とか、痛みとか、遠慮とか、今まで君を悩ませていた閉塞感から、解放されるんだよ。』
我々両親の出来る唯一のことは、”待つこと”だけだった。
手術室に消えてから約5時間後、ストレッチャーに載せられた息子が我々のもとに帰ってきた。
もちろん麻酔が効いていて、意識が朦朧としていた。頑張った彼の顔を見ると、再び私の目は涙で潤んだ。
我々のもとに主治医の先生が手術の報告のため歩み寄られた。
『予想していたより、高次元の手術ができました。靭帯は再建されるはずです。但し、一番の敵は「焦ること」です。それだけは、避けなければなりません。』
少しばかり遠回りとなったが、これで確実に前を向くことができる。
そして、やはり一番強いのは、息子だった。
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