いよいよ、この瞬間が訪れた。
『香川真司選手、マンチェスター・ユナイテッド移籍決定』だ。
ビッグクラブへの移籍と言えば、インテルの長友選手の時は、大きな驚きと強烈なインパクトがあった。
今回の香川選手に関しては、「いよいよ決まったか」的な移籍であり、驚きはない。ある意味、正当な評価が正当な結果を導いたと言えるだろう。
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そんなニュースを息子は真剣な眼差しで凝視していた。彼の横顔を見ながら、ふと思った。今回のニュースで、サッカーができない彼の心に何が浸み込んでいったのだろうか?もちろんサッカーレベルは圧倒的に違う。だが、高みを目指している想や切望や憧憬は同じに違いない。
香川移籍のニュースに対する本田圭佑の称賛も嫉妬も隠さないコメントに、彼らしさが滲み出ていた。「世界のトップレベルで、ビッグクラブでやるのにふさわしい選手。誇らしいと思う。ただ、ライバルとして、僕もビッグクラブにふさわしいと自覚しているから」
コウスケはこのコメントを聞いて、ニヤッとした後、笑い出した。どんな思いが巡っただろうか?
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いずれにせよ、今回の移籍決定のニュースは、現在の状況に置かれているコウスケに何らかの影響を与えていると思う。それほど、他人事とは思えない真剣な眼差しで凝視していた。
いつの日にかピッチに戻ることを誓って。