花粉症 対策商品や企画人気なく「平年の7割」予測影響か
花粉逃避ツアーは中止、ホテルの特別ルームの利用者もいない……。スギ花粉の本格的な飛散シーズンを迎え、対策をあてこんだ商品や企画の人気がさっぱりだ。今のところ過去最大級だった昨年を上回る花粉が飛んでいるが、「平年の7割」との予測が患者心理に影響しているとの見方もある。専門家は「大量飛散の翌年で体も敏感になっているので油断は禁物」としている。【安高晋】
◇実は昨年より多く飛散…専門家「油断は禁物」
★ツアーは中止
JTBが「スギのない森林浴を楽しみ、専門医の問診を」と今月13日と23日に企画した北海道・上士幌町への4泊5日のツアー。昨年、町が企画した同じ内容のツアーで10人の定員に300人の応募があったが、13日分は応募がなく中止となった。
同社は23日分のツアー代を14万8000円から5万円値下げし、参加者を募ったが、これまで10人の定員に4人が申し込んだだけだ。
★特別ルームも利用なく
東京都港区の「新橋愛宕山東急イン」は、今年初めて空気清浄機や花粉防止スプレーを備える特別ルームを開設した。今月1日から用意したのは14室だが、稼働率は通常の客室を下回る約6割にとどまる。
担当者は「認知度が上がれば利用する人は多くなる」と強気だが、同様の施設を備え、昨年計20人の利用があった「ホテル日航大阪」(大阪市)も、利用申し込みは11日現在ない。
★患者心理にも影響?
東京・大手町では、飛散開始が2月10日と昨年より10日ほど早かったこともあり、6日現在の花粉量は累計で1平方センチ当たり584個と昨年の202個を上回る。しかし、花粉量を左右する昨年7月の気温が上がらなかったことや、大量飛散の翌年は減る傾向にあることから、日本気象協会は全国的に前年の2割、平年の7割程度と予測する。
耳鼻科の医師でNPO法人「花粉情報協会」の西端慎一理事は「今年は平年と比べ花粉量の割に患者数が多い。昨年の大量飛散で体が敏感になったためだろう。商品が売れないのは、昨年より大幅に花粉が少ないという予測が患者心理に影響している」と分析する。
(毎日新聞)