行き付けの寿司屋。
毎日、朝の8時までやっているんで、俺も店が終わってたまに寄る。
流石に、朝までやっているので色んなお客さんが来る。
この前、寿司屋はちょい暇で知り合い4人くらいで飲んでいたら・・・
「やってますか? まだいいですか?」
と、いう声に振り向くと初老のお父さんが居た。
初めてらしく、大人しく丁寧な言葉使い・・・。
カウンターに座ると・・・
「酒くれ! 熱燗で。」
座ると少し横柄になった。
「面白いなぁ・・・」
と、観察好きの俺はず~っと見ていた。
するとこのお父さん、風邪なのか花粉なのかやたらとクシャミをする?
その間、何やらブツブツブツブツ・・・・・
そのうち、一際大きなクシャミが出た
「ハックショ~~~ン」
その瞬間に、お父さんの両方の鼻の穴から「ズル」と鼻汁が出た。
マンガのようなコントのような状況に、俺はもう笑いの限界だったんで言った。
「お父さん大丈夫かよ? いいから鼻かんだ方がいいよ」
すると、このフリが良くなかったのか、はたまた待っていたのか・・・
途端にこのお父さん喋りだしたのだ。
「バカヤロー 鼻くらい出るんだよ・・・バカヤローコノヤロー」
もう止まらない・・・
「おっ!兄ちゃんカッコいいなぁバカヤロー」
うちの従業員を見ては・・・
「綺麗なネェちゃん連れてバカヤローコノヤロー」
やたら「バカヤロー」を連呼する、一昔前の「ビートたけし」のようなお父さんだったのだ
もうそれからは、何を言っても「バカヤロー」「コノヤロー」の連発。
俺達も面白がって、何か言ったら語尾に必ず「バカヤロー」を付ける
店内は「バカヤロー」と「笑い」だらけだ
俺は聞いた。
「お父さんはこの辺の人?」
するとお父さんは・・・
「俺はよう・・・今、逃亡してんだよ!バカヤロー!!」
全員が・・・
「逃亡~~~」
俺 「え~!!んじゃ犯罪者かお父さん? どっから逃げて来たんだよバカヤロー?」
お父 「俺は五島列島なんだよバカヤロー!」
俺 「五島列島から逃げて来たんだ・・・このバカヤロー!」
※この「バカヤロー」は冗談じゃなく、本当に言ってた言葉です。
俺 「でも、何でまたこの店に来たんだバカヤー?」
お父 「俺はこの辺はよく知ってんだよバカヤロー!」
俺 「え?知ってるって・・・五島列島から今逃げて来たんじゃないのかよバカヤロー!」
お父 「知ってるよバカヤロー!俺の家は東長崎なんだからよ~」
俺 「東長崎?? すぐそこじゃねぇ~かよバカヤロー!!五島列島じゃね~のかよ?コノヤロー!」
お父 「東京はもう50年東京に居るんだよバカヤロー!!俺も昔はブイブイ言わした方だよバカヤローハハハ」
全員で言ってやったよ
「バカヤロ~~~~~」
このお父さん帰り際に・・・
「今日は楽しかったよ! ありがとうよ・・・」
そう言って帰っていった。
後で店から聞いたが、このお父さん、俺達全員の会計を済ませてたらしい。
ご馳走して貰って言うのも何だが・・・
お父さん・・・満たされてないのかなぁ??
なんだか、哀しい気持ちになったのを覚えてる・・・
今度来たら・・・奢らせてもらうよお父さん だからまた元気な顔見せるんだぞバカヤロ~~
ほいたら