年末が近づいてきたと感じる今日です。
私は、一年の終わりを意識する日は
この日です。20を足すと28日になるから
意識するからだと思います。
一年を振り返る時に、忘年会やクリスマス
年末の旅行とか行事があります。
ただ私が一年を振り返るときは、映画とか
年末に出会った本です。
今回の「ハヅキさんのこと」は、年末にふさわしく
印象的でした。著者は、川上弘美さんです。
最初の行の「叱られるかな、と思いながらバスに乗っていた」の一文に惹き付けられます。
続いて、数行後に「それらしくふるまっていたが、私もハヅキさんも教師というものに
向いていない人間だった。二人して酒ばかりのんでいた。..ハヅキさんはまじめな人間..]
などと続く展開は、文章の行方が気になり思わず読んでしまいました。
6ページの中におよそ20年の年月を詰め込んでいる人生模様は、一度読むだけでは
もったいなく、何度も何度も読みました。そして、その都度新たな発見をしました。
「一年を振り返るとはそういうことかもしれない」と思いました。
そういう印象的な短編集が26編もあります。
ストーリーもその都度個性があり、
私が好きなのは、「島」でした。幻想的であるんですが、未来に続いていく
展開と冷静に分析している主人公の感覚に「この感覚いい」と思いました。
翻訳家の柴田さんが解説をしていまして、「一気に読むより、一ページずつ、一本ずつ
じっくりゆっくり読むにふさわしい本だと思う。」という文がありました。
このフレーズに全てが集約されていると感じました本でした。