甲子園きっぷ  yama’s stadium☆彡

~球児たちの あしあと~

グラウンドの空

2012-06-23 | 読書



グラウンドの空

作者は、あさの あつこ氏。

あさの あつこ氏の数ある野球と球児を書いた作品の中でも、やはり『バッテリー』は有名ですね。

本棚に並ぶたくさんの本の中、『グラウンドの空』の題名と青い空が目に止り読んでみたくなりました。


『グラウンドの空』の主人公たちは中学球児。

その一人、端希は11歳の時に兄に連れられて行った甲子園の空気、目の前で行われているプレー、

全てに魅了され中学へ入学すると野球部へ入部する。

幼馴染の良治は県内トップクラスの短距離走の記録を持つ少年で、陸上部ではなく端希と共に野球部へ入部する。


野球部員は1年生から3年生、全部で12人。

八頭森という小さな田舎町の中学野球部が舞台となる。

必然的に端希たちもチームの要となり、端希は鉦土監督の勧めもあり捕手の座に着くことに。


3年生が引退するとエースピッチャーが居なくなり、夏の地区予選を前に、

何とか投げれるか・・・レベルの1試合投げ抜くことのできるような「エース」がいない・・・


そんな時、町では屈指の旧家に一人で暮らす作楽婆さんの所へ、透哉という一人の少年がやって来た。

ある出来事で心を閉ざし、野球から離れてしまった少年の心を紐解いていく二人の野球少年との物語。

透哉はピッチャーとして、端希は捕手として、バッテリーにしか感じ取ることのできない物がある。

「野球」を通して出逢いから生まれた友情や絆、「一球」を通して心が繋がっていく様に引き込まれる作品でした。


端希と良治、この二人のそれぞれの個性や、二人の会話のやり取りが妙におもしろくて、

現代で見る野球少年の姿や、過保護なまでの親の関わりなどなく、大らかな明るい母の下、自然体な主人公たちがとてもいい。

読むにつれて、二人のやり取りや、親とのやり取りも、今の子供同士の関わり方や、大人の関わりとも違う、

近代的な部分もなく、昔、自分が過ごした、大人に干渉されすぎない自然の中の中学時代、青春を思い出す作品でした。


地方大会決勝 最終回裏ツーアウト ランナーなし。

高く打ち上げられた打球に向けた端希のミットの上にはグラウンドの空が見えた・・・

主人公たちのそれからの野球、続編をぜひ読んでみたいと思う作品です。