「空気」に異議あり!

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今回注目の最高裁裁判官

2009-08-26 | 権利と空気
来る30日の衆院選投票の際、同時に最高裁判所裁判官国民審査が行われます。

この制度は本来、司法をチェックできる数少ない貴重な制度であるにも関らず、
実際にはほとんど機能していません。その理由は、

1.マスコミの情報提供が少なく、国民が裁判官や裁判のことをあまり知らない。
2.国民審査が実質的には任期中1度だけ、それも任官後比較的早い時期に1度だけ行われるため、
 各裁判官の判決の全容を見ないまま投票することになる。
3.マルをつけさせず、バツだけつけさせる

などがあります。これでは司法をチェックする機能が果たされているとは思えません。

さて今回は、私の手元にある選挙管理委員会の審査広報を参考に、
左右で見解が分かれそうな判例に関わった裁判官の情報を提供したいと思います。


判例1:
平成20年6月4日に最高裁大法廷で、
国籍法3条1項が憲法14条違反で違憲という判決が出ました。

父(日本国民)と母(日本国民でない)の間に生まれた後に
父から認知された子供が日本国籍を得るためには、父母の結婚を要する

という国籍法の規定を憲法違反とし、
父母の結婚がなくても日本国籍を認める判決が出ました。

この裁判で違憲判決を出したと広報に記載されている裁判官の氏名を列挙します。

・涌井紀夫
・田原睦夫
・那須弘平
・近藤崇晴

今回の広報ではこの4人ですが、大法廷判決で多数意見だったそうで、
実際にはもっといたものと思われます(今回の審査名簿にない人も)。
そこでこれだけで全て判断するのは困難だと思われますので、
この人達が関わった他の判決で興味深いものも少し見てみます。


判例2:
平成19年2月27日。市立小学校で、音楽教諭に君が代の伴奏をせよとの
職務命令につき、職務命令は違憲ではなく、音楽教諭は従う義務がある、との判決。

・那須弘平判事は多数派同様、命令は違憲ではなく、教諭は従う義務があるとの立場。


判例3:
平成19年9月18日。広島市暴走族追放条例につき、多数意見により、合憲との判決。

・近藤崇晴判事は多数派同様、暴走族追放条例は合憲との立場。
・田原睦夫判事は違憲との反対意見。


判例4;
平成21年4月21日。小学校教諭が悪ふざけした2年生の子供を、
壁に押し付けて大声で叱ったのは体罰には該当せず合法との判決。

・近藤崇晴判事は多数派同様、本件の叱る教育は合法との立場。


判例5:平成19年11月1日。原爆の被爆者が国外に住む場所を移すと
健康管理手当てを受給できなくなるのは違法。

・涌井紀夫判事は多数派同様、違法との立場。



本当はこれ以外にも色々な裁判に関わっている裁判官がリスト内にいるものと思われますが、
とりあえず、いくつか情報を提供させていただきました。

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