「空気」に異議あり!

世の中の「空気」のいくつかを相対化していきます。初めての方は、左下の「カテゴリー」の「注意事項」をご覧ください。

日本人は国民間の議論から逃げて、全て総理に丸投げする

2007-08-11 | 政治の空気
安倍総理は一般にタカ派、右寄りだと言われます。
それでは右寄りの人達は安倍総理を支持しているのでしょうか?

そうではないようです。
安倍総理が靖国参拝しないことや、アメリカに反発できないことなど、
厳しく非難されています。

一方で左寄りの人達は、逆の角度から安倍総理を非難しています。
マスコミがその典型で、物凄い安倍叩きを繰り広げています。

さて、安倍総理は一体何をすればいいのでしょうか?
どうも何をやっても許されないようです。

日本での総理大臣の職務というのは、地獄のように大変なようです。
まず、左右から際限なき非難を受けます。常に「ダメだ」と言い続けられます。

左の言う通りの政策を行えば、どうなるでしょうか?
右からさらに強い非難を受けます。

それでは右の言う通りの政策を行えば?
今度は左からものすごい非難を受けます。

中くらいの政策を行えば?
左右両方から非難を受けます。

これが総理としての当たり前の仕事だと言う人も多いでしょう。
しかし総理は一体どうすればいいと言うのでしょうか?

右からの総理批判と、左からの総理批判を、同じ総理批判として捉えるべきでは
ありません。どうも無知な国民は、
「みんな総理を批判しているね。やっぱり総理はダメなんだね」
と感じるようですが、それは何も見えていないのと同じです。
双方の批判は全く逆の立場からの批判だからです。
むしろ一番対立しているのは、双方の批判そのものです。

むしろ一番批判すべきは、右左双方が直接相手に対してです。

間に挟まる総理だけを批判しても、批判の勢力の強い側に、
総理は従わざるを得ないでしょう。
今回の参院選で言えば左が勝った訳ですから、
総理は左へ舵を取らざるを得ません。
そのことに右側は不満でしょうが、そもそも自分たちが左に負けてしまった
ことが原因ですから、今度は自分たちが勝つように少しでも頑張るべきです。


さて現在の日本では左側がマスコミを制圧しており、偏り過ぎています。
そのため民主主義を実現させるためには少数派である右側の表現の自由が
より保障される必要がありますが、
右がこの左支配の状況に対抗するにはどうしたらいいか?

「左と一緒になって逆側から総理大臣を叩くこと」が
有効な手段だとは思えません。
なぜなら、「何でも総理を叩けばいい」という日本人の無責任な風潮を
さらに助長してしまうからです。


私が考える方法は、総理を批判するよりもまず、
本当はどことどこが一番対立しているのかを明確にして国民に知らせること。
これによって「何でも総理さえ叩けばいい」という日本国民の無責任な風潮から、
国民が主権者として責任を持って問題を考えるきっかけになると思います。

例えば母子惨殺事件の遺族である本村さんが安田弁護士を公然と批判したのは
まさにそういう効果がありました。犯罪被害者の人権が無視されている一番の原因
は「政府」ではなく、「人権派弁護士」だということを世に知らしめました。

靖国参拝問題で言えば、一番対立しているのは、
「総理の参拝は断じて許されない」と考えている「反日勢力」と、
「総理は必ず参拝すべき」と考えている「保守勢力」です。
この両者が徹底的に討論し、その内容を国民に聞かせることが重要です。
総理は板ばさみになっているに過ぎない存在であり、
そこを攻撃しても解決はしません。「叱咤激励」程度に留めるべきでしょう。

保守勢力の立場であれば、参拝を阻止しようとする反日勢力への批判を
強めるべきだと思います。選挙前にもマスコミは、
安倍総理がこっそり靖国神社に文書を送っていたことを槍玉に挙げていました。
こうしたマスコミの動きを厳しく批判した方がいいでしょう。

25 コメント

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代弁有難う御座います! (かず)
2007-08-11 21:11:37
僕の気持ちを代弁していただき有難う御座います。
太一さんの文章に全てが集約されています。
はっきり言って、「文句」だけなら誰でも言えるし、「文句」しか言わず、何の行動もしてこなかった日本の保守勢力というのは本当に不甲斐無さ過ぎます。
どの口で安倍首相を非難出来るのでしょうか…。
反日マスコミ連中と同レベルですよ、今の保守勢力は…。
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保守勢力の問題点 (太一)
2007-08-11 22:49:41
かずさん

>僕の気持ちを代弁していただき有難う御座います。

いえいえ、こちらこそ。
お互い意見が違う点もあるでしょうけど、
意見が近い部分は情報を共有していきましょう!

>反日マスコミ連中と同レベルですよ、今の保守勢力は…。

私の知っている保守運動の大先輩方も、
保守勢力のふがいなさに散々悩んでこられたようです。
ある方は、
「戦略性がない分、反日マスコミよりも保守は劣っている」
のように言われていました。

>「文句」しか言わず、何の行動もしてこなかった日本の保守勢力

私が思うに、特に旧来の保守勢力は反日マスコミ支配という現実に疎く、
危機感が欠如していたのではないかと思います。
例えば私の父の場合も反日勢力のことを軽くバカにしている程度で、
支配されているという危機感がありません。
そういう人は基本的に政府に文句を言うのがほとんどです。

左翼、反日マスコミがこれほどまでにこの国を支配できたのは、
こうした保守陣営のふがいなさも大きかったのではないかと思います。

一方私などは比較的若い世代ですので、子供の頃から反日マスコミの支配下にあり、
強烈な影響を受けて生きてきましたが。

世代交代により少しずつ改善していくとは予想していますが、
残念ながらしばらくは難しいかも知れません。
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スパイを送り込む能力すら無し (かず)
2007-08-11 23:34:11
今の保守派は「思想」に余りにも固執し、拘り過ぎているのではないでしょうか…?
本当に「宗教」と化するくらいに…。
安倍首相の傍に指南役を送り込んだり、スパイを様々な場所に送るくらいの気概が無いと…。
その点、支那人は留学生や観光客と称する「スパイ」たちを日本など、世界各国に送り込んで諜報活動を行うとは、「敵ながら天晴れ」(チャンネル桜の水島社長の言)です。
愚かな支那人なんぞ褒めたくないけど…。
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相手の戦略に学ぶべき (太一)
2007-08-12 13:14:29
>保守派は「思想」に余りにも固執し、拘り過ぎている

仰る通りだと思います。
ある方は、保守の中に「志」派と「戦略」派の2つがあり、
今必要なのは戦略派であり、志派にはお引取り願った方がいい、
と言われていました。

>支那人は留学生や観光客と称する「スパイ」たちを日本など、
>世界各国に送り込んで諜報活動を行うとは、「敵ながら天晴れ」
>(チャンネル桜の水島社長の言)です。

相手の戦略から学ぶことも重要ですよね。
保守の中には、
「奴等と同じ手段を使って、奴等と同レベルになりたくない」
のように潔癖なことを言われる方が多いのですが、
そうやってきたから、今まで負け続けてきたのではないでしょうか?
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相手の土俵に乗らないことも大事だけど… (かず)
2007-08-12 14:10:05
>相手の戦略から学ぶことも重要ですよね。
>保守の中には、
>「奴等と同じ手段を使って、奴等と同レベルになりたくない」
>のように潔癖なことを言われる方が多いのですが、
>そうやってきたから、今まで負け続けてきたのでは>ないでしょうか?

まさに仰るとおりです!
相手の土俵に乗らない、自分の土俵に引き込むということも非常に大事なのですが、今の日本人にはそんなことを出来る人は居ないと思います。
だからこそ、相手の戦術を学んで応用し実践することが、敵に勝つ一番の近道では無いでしょうか。(これも一種の理想論ですが…)
自分の思想に固執することは、相手の思う壺です。

関係ないのですが、もう一つ言いたいことがあります。
アメリカやEUが「年次改革要望書」を日本に送りつけて、日本がその要望書の通りに動いていると言われて、それはその通りだと思うのですが、逆に言えば「外圧」が無ければ変革出来ない、あるいは「腐敗」体質を直すことの出来ない日本人の性質こそ問題だと思います。
「自浄能力」というものを日本人が身に付けない限り、アメリカ・EU・ロシア・特定アジアの言うがまま、思う壺だと思います。(これも理想論ですが…)
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自浄能力のなさ (太一)
2007-08-12 23:05:37
>「自浄能力」というものを日本人が身に付けない限り、

先に挙げました大先輩が正に、
「日本人には自浄能力がない」
と仰っていました。

その理由は私は、日本人の「みんな一緒」を好む体質だと思っています。
腐敗した状況でも身内に気兼ねして自己主張できない。

まさに当ブログのテーマですので、今後も色々取り上げていきたいです。
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叩くときは急所を (あぶらそば)
2007-08-13 15:54:32
初めてコメントいたします。
いつも読ませて頂いております。

太一様の仰る通り、叩きどころを間違えることは
より害を大きくすると常々考えております。
保守派が総理を激しく非難するのも、もどかしさから
ではあるのでしょうが、却って左派の人々を利するだ
けでしょう。

やや話は違いますが、今回の参議院選挙ではまさにマ
スコミを含む左派勢力が、本来もっとも攻撃を受ける
べき社会保険庁や自治労から政府(というより総理)
へと意図的に叩きどころを誘導したことで、あのよう
な結果になってしまいました。
管理者(政府・与党)にはそれなりに責任はあるでし
ょうが、管理者を批判するあまりに実行犯(自治労)
が当選して勢力を伸ばすという結果は、不自然だとい
う思いを拭い切れません。

>かずさま
年次改革要望書は互いの政府が交換しているもので、
日本からも米国(EUについては分からないのです
が)に対して要望書を出しています。決して一方通
行なものではないようです。ご存じでしたら済みま
せん。
とはいえ、「外圧が無ければ変革出来ない日本人の性
質こそ問題」というのは全く同意いたします。
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「格差社会」という言葉を多用する謎 (かず)
2007-08-13 17:21:15
>あぶらそばさん
2003年のものですが、「日本の規制改革に関するEU優先提案」(http://jpn.cec.eu.int/data/current/proposals2003j.pdf)というものが、駐日欧州委員会代表部から出ていて、アメリカの「年次改革要望書」と凡そ同じ内容です。

話がずれてしまうのですが、「格差社会」という言葉が最近のメディアで多用されていますが、果たしてそれほど深刻な「格差社会」なのでしょうか…?
一億総中流社会と言われた時代から脱してきているのは確かだと思いますが、社会全体のほんの一部分にしか過ぎない「ワーキングプア」の人達を取り上げて、さも「ここまで格差が広がっている!」という報道の仕方はどうも納得出来ません。
そもそも格差が無い社会なんぞ存在しないし、格差が無い究極の形態が「共産主義」です。(現実には出来っこありませんが…)
「格差社会」という言葉を多用して、「得」をする人間は誰なのかと疑ってしまいます…。
これもサヨク勢力の影響なのか・・・?
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「格差社会」という語が使われるようになった実感 (あぶらそば)
2007-08-13 18:03:26
かず様

資料のご提示どうもありがとうございました。

「格差社会」という言葉について、私自身は2004年頃からちょろちょろと使われ始め、特に2005年の後半、つまり郵政解散後の衆議院選挙で自民党が大勝した頃に一気に人口に膾炙するようになった、と記憶しています。

景気も上向き始め、郵政問題でも信任を得た当時の小泉総理に対して、攻撃材料の手駒が不足してきた左派マスコミが、新たな突破口として急に持ち出すようになったという印象ですね。自分の皮膚感覚では選挙後に「格差」という言葉が急に踊り出すようになったもんだな~と、非常に違和感というか唐突感を覚えたものです。

ただ、格差なんて気にしている人がそんなにたくさんいるんでしょうか?人が高い給料もらってようが、自分が普通に生活できればOKという人が結構多いのではないでしょうか。

ましてや再販制度や放送免許制などで守られ、他業種に比べて高所得をている報道関係者がよく「格差社会」などといえたものですよね。特に電波を独占的に使用できる特権を力の源泉として、低リスク(ノーリスク?)のサヤ抜き商売で莫大な利益を得ている民放キー局の方々には、是非とも番組製作事業者との格差を今すぐにでも解消してからモノを言え、と申し上げたいです。
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左翼マスコミの怪しさ (太一)
2007-08-13 19:47:55
>あぶらそば様

>管理者を批判するあまりに実行犯(自治労)
>が当選して勢力を伸ばすという結果は、不自然だとい
>う思いを拭い切れません。

本当にそう思います。

管理者がようやく実行犯を叩く改革を実行しようとしたところ、
むしろマスコミ等左翼勢力が、抵抗勢力とのズブズブの関係を守りたくて、
改革を妨害したかったのではないでしょうか?
特に自治労に関しては選挙前からメディアの批判が少なかったので、
怪しい匂いがしますね。

>再販制度や放送免許制などで守られ、他業種に比べて高所得をている
>報道関係者がよく「格差社会」などといえたものですよね。

全く同感です。
彼等は社保庁の職員と似た、特権公務員のような存在ですよね。

その実態を国民に示すことが、突破口になるかも知れません。
国民は楽して儲けている連中を徹底的に嫉妬しますから。
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