goo blog サービス終了のお知らせ 

ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ブルー・ミッチェル/ザ・カップ・ベアラーズ

2025-04-01 21:52:38 | ジャズ(ハードバップ)

モダンジャズでトランペットとサックスの名コンビと言えば、まず思い浮かぶのはアート・ファーマー&ベニー・ゴルソンのジャズテットでしょうか?テナーではなくバリトンですがドナルド・バード&ペッパー・アダムスの双頭クインテットも有名です。一方、彼らのような正式なユニットではないですがブルー・ミッチェルとジュニア・クックのコンビも忘れてはいけません。彼らは当時ハードバップシーンを代表するグループだったホレス・シルヴァー・クインテットに1958年に加入。その後1964年までの6年間で「ブロウイン・ザ・ブルース・アウェイ」「ホレス=スコープ」「ザ・トーキョー・ブルース」「ソング・フォー・マイ・ファーザー」はじめ多くの傑作をうみだします。それと並行してジュニア・クックのリーダー作「ジュニアズ・クッキン」にはミッチェルがゲスト参加、ブルー・ミッチェルの「ザ・カップ・ベアラーズ」「ザ・シング・トゥ・ドゥ」「ダウン・ウィズ・イット」「ブリング・イット・ホーム・トゥ・ミー」等計6作品に今度はクックがゲスト参加と蜜月関係を築いています。

今日ご紹介する「ザ・カップ・ベアラーズ」は1962年8月にリヴァーサイドに吹き込まれたミッチェルのリーダー作。メンバーにはミッチェル&クックの2人以外もジーン・テイラー(ベース)、ロイ・ブルックス(ドラム)とまさに当時のホレス・シルヴァー・クインテットの面々がそのまま参加しています。ただ、ピアノにシダー・ウォルトンを起用することにより、シルヴァー・クインテットとは異なる味わいを生み出しています。問題はこのジャケット!cup bearerなのでカップをたくさん並べたのでしょうが、あまりにもセンスのないジャケットに唖然とします。ブルー・ミッチェルは「アウト・オヴ・ザ・ブルー」もボルトがで〜んと写った珍ジャケットですが、一方で有名な「ブルース・ムーズ」や「ビッグ6」のようなカッコいいジャケットもあり、落差が激しいです。

全7曲。スタンダードは2曲のみで後は全てジャズマンによるオリジナル曲です。スタンダードの2曲のうち"Why Do I Love You?"はミッチェルのカップミュートとクックの歌心溢れるテナーが味わえるほのぼのとした雰囲気の演奏ですが、"How Deep Is The Ocean?"は正直イマイチ。バラードでも一曲ぐらい入れといた方が良いとの判断だったのかもしれませんが、特に必要なかったような。

おススメはオリジナル曲です。ただ、ミッチェルやクックの曲はなく、唯一シダー・ウォルトン作のオープニングトラック"Turquoise"のみがメンバーによるオリジナルです。リリカルなメロディーを持ったマイナーキーの佳曲でややモーダルな香りもします。このあたりシルヴァー・クインテットにはない魅力ですね。一方、3曲目バリトンサックス奏者のチャールズ・デイヴィスが書いた"Dingbat Blues"がシルヴァー・クインテットっぽい感じ。ファンキーでキャッチーなメロディに乗ってミッチェル→クック→ロイ・ブルックスのドラムソロ→ウォルトンとソロをリレーします。

トム・マッキントッシュ作曲の"Capers""The Cup Bearers"も良いです。どちらも魅力的な曲で前者はちょっぴりラテンっぽさもあるマイナーキーの曲で、後にヒューバート・ローズも「ザ・ローズ・オヴ・ジャズ」でカバーしています。後者もハードバップの中にモーダルな雰囲気も漂わせる佳曲です。マッキントッシュは当時ジャズテットのトロンボーン奏者でしたが、なぜか演奏には参加せず曲の提供だけです。他にはトランぺッターのサド・ジョーンズも演奏ではなく”Tiger Lily”と言う曲だけを提供しています。こちらもなかなかキャッチーなメロディの曲で、ソロ一番手のシダー・ウォルトンが魅力的なピアノソロを聴かせてくれます。私が調べた限りサド・ジョーンズ自身がこの曲を演奏した記録はなく、どう言う経緯でミッチェルらに曲が提供されたのか分かりませんがきっとジャズマンの間で色々コネクションがあったのでしょうね。


コメント    この記事についてブログを書く
« ドン・ランディ/枯葉 | トップ | フランク・ウェス/サザン・... »

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。