約2カ月ぶりの更新です。ここ3年近くはクラシックのCDばかりアップしていましたが、その間にジャズCDもいろいろと復刻されていますので、今日からはそれらを取り上げたいと思います。第1弾はスタンリー・タレンタインの1963年のブルーノート盤「ネヴァー・レット・ミー・ゴー」です。タレンタインは60年代のブルーノートを代表するスターで、本ブログでも過去に5作品ほど取り上げています。当時のタレンタインは特に共演メンバーを固定せず、作品によってホレス・パーラン・トリオ、スリー・サウンズ、西海岸のレス・マッキャン・トリオ等さまざまなメンツと組んで録音を残していますが、本作は「ディアリー・ブラヴド」に続いて当時の奥方シャーリー・スコットと組んだ1枚です。ブルーノートでは他には「ハスリン」「ア・チップ・オフ・ジ・オールド・ブロック」「コモン・タッチ」でスコットと共演しています。一方、スコット自身も売れっ子オルガン奏者としてプレスティッジから多くのリーダー作を発表しており、そちらにはタレンタインがゲストとして参加。他にインパルス盤やアトランティック盤でも共演するなど、ジャズ界を代表するおしどり夫婦として有名でした。(その割には70年代に離婚してしまいますが・・・)
メンバーはタレンタイン&スコット夫妻に加え、メージャー・ホリー(ベース)、アル・ヘアウッド(ドラム)、レイ・バレト(コンガ)という顔ぶれ。“Never Let Me Go”と“They Can't Take That Away From Me”の2曲のみベースがサム・ジョーンズ、ドラムがクラレンス・ジョンストンに代わっています。オルガン入りと言うことで、一応ソウルジャズの範疇に入るのでしょうが。そこまでコテコテではありません。R&B色の強いのは1曲目のロイド・プライス作“Trouble”くらいで、後は歌モノスタンダードありブルージーな曲ありとバラエティ豊かな内容です。軽快なスタンダード“Without A Song”、スコット自作のバラード“Never Let Me Go”も出色の出来ですが、とりわけ素晴らしいのが“You'll Never Get Away From Me”。ミュージカル「ジプシー」の挿入曲であまり知られていない曲ですが、タレンタインの歌心あふれるテナーとスコットのグルーヴ感満点のオルガンが抜群にマッチした名曲・名演です。