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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

シューベルト/交響曲第3番、第4番、第5番、第6番

2019-07-25 17:03:25 | クラシック(交響曲)
本日はフランツ・シューベルトの交響曲をご紹介します。シューベルトの交響曲と言えば、何と言っても「未完成交響曲」、そして「ザ・グレート」の2曲が圧倒的に有名ですが、それ以外の交響曲については知る人ぞ知ると言った感じですよね。本日取り上げるのは第3番から第6番までの4曲。いずれもシューベルトが18歳から20歳までの間に書かれた作品群です。一般的によく知られているシューベルトの名作群(前述の「未完成」や「ザ・グレイト」、歌曲の数々)は彼が20代後半に書かれたものがほとんどで、それ以前の交響曲は比較的初期の作品にあたります。音楽史的にはロマン派の先駆け的存在と言われるシューベルトですが、この頃の作品は古典派の色合いが濃く、特にハイドンの影響が濃厚に感じられますね。CDについては豊富とは言えないまでもそれなりに出回っていますが、今回ご紹介するのはリッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィルのシューベルト全集です。CDは第3番&第5番、第4番&第6番の組み合わせでそれぞれで発売されていますが、ブログでは番号順に紹介していきます。

 

まず第3番から。ハイドン風の重々しい序奏から一転して勇壮な旋律が現れます。同じ交響曲第3番と言うこともあり、どことなくベートーヴェンの「英雄」を思い起こさせますね。第2楽章の穏やかなアレグレットと第3楽章メヌエットは完全にハイドン風。第4楽章はきびきびとしたプレスト・ヴィヴァーチェ。全部で23分強とコンパクトな内容で規模的にも内容的にも完全に古典派の交響曲ですね。

続くは第4番。こちらは「悲劇的」という副題が付いています。交響曲のタイトルは後世に付けられたものが多いですが、このタイトルに関してはシューベルトが自ら命名したもので、その名のとおり単調で重々しい内容です。ハイライトは何と言っても第1楽章で、ハイドン風の序奏の後で悲愴感を帯びたドラマチックな主題が現れます。19歳でこの旋律を書いたシューベルトはやはり天才としか言いようがないですね。第2楽章はモーツァルトを思わせる優美なアンダンテですが、途中で悲劇的な旋律も現れます。第3楽章は箸休め的なメヌエットで、疾走感あふれる第4楽章で幕を閉じます。曲の長さも32分と長く、内容的にも格段にドラマチックになっており、第3番と比べて大きな進歩の跡がうかがえます。

第5番は第4番とほぼ同じ時期に書かれた作品ですが、こちらは一転して明るい雰囲気に満ちた作品です。第1楽章は珍しく序奏がなく、モーツァルト風の終始浮き立つような曲調です。重厚な第4番とは正反対の作品ですが、これはこれで素晴らしく甲乙つけがたい魅力があります。続く第2楽章アンダンテの爽やかな美しさも捨てがたいですね。唯一短調の第3楽章メヌエットを経て、古典風の第4楽章アレグロ・ヴィヴァーチェでフィナーレを迎えます。

第6番は上記の第4番、第5番に比べると、これと言った特徴もなく地味な曲です。が、決して内容的に悪いわけではありません。第1楽章は重厚な序奏から一転して勇壮な旋律が次々と現れる楽しい曲。第2楽章アンダンテ、第3楽章スケルツォはまあまあと言ったところですが、第4楽章は再びベートーヴェンを思い起こさせる力強い曲調で幕を閉じます。

4曲とも「未完成」や「ザ・グレート」ほどの完成度はありませんが、若きシューベルトがハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンの影響を濃厚に受けながら自己のスタイルを確立していく様子がよくわかりますし、その中でも第4番第1楽章や第5番第1楽章は文句なしに名曲だと思います。
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