ジャズの名盤には珍ジャケットもいろいろありますが、今日ご紹介するブルー・ミッチェルのリヴァーサイド盤はその代表格でしょう。ボルトがで~んと写ったジャケットが謎を呼びますが、何でもbolt out of the blueという英語の慣用句で「青天の霹靂」という意味らしいです。で、もちろん名前のBlueとかけてるわけですね。ひねりすぎでわからん!とまあ、ジャケットはアレなんですが、中身はこれぞハードバップの王道と言うべき素晴らしい作品です。何せメンバーが、リーダーのミッチェル(トランペット)はじめ、ベニー・ゴルソン(テナー)、ウィントン・ケリー(ピアノ)、ポール・チェンバースorサム・ジョーンズ(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)ですからね。まさにオールスターとでも言うべき顔ぶれですが、録音時の1959年だと簡単に集まったんでしょうね。本当に羨ましい時代です。
曲は全6曲。どれも甲乙つけがたい出来です。ベニー・ゴルソン作のファンキーなブルース“Blues On My Mind”、ミッチェルがマイルスを思わせるミュート奏法を聴かせる“It Could Happen To You”、元気いっぱいのハードバップ“Boomerang”、マイナー調のメロディが印象的なミッチェルの自作曲“Sweet-Cakes”、美しいバラード“Missing You”、そしてディキシージャズの名曲をハードバップに見事料理した“When The Saints Go Marching In”。最初から最後まで中だるみしない充実の内容で、ずばり名盤と言って差し支えないと思います。ブルー・ミッチェルと言えばウィントン・ケリーとのワンホーン作品「ブルース・ムーズ」ばかりが取り上げられますが、個人的にはこちらの方が上ですね。ブルーノート盤「ザ・シング・トゥ・ドゥ」と並んで彼の代表作に挙げていいでしょう。