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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

セロニアス・モンク/モンクス・ミュージック

2025-03-27 21:18:34 | ジャズ(その他)

本日はセロニアス・モンクです。モンクと言えばその個性的なピアノの演奏スタイルと同時に独特の旋律を持った自作曲の数々でも知られています。彼がキャリアを通じて発表した楽曲の数は70を超えるといわれていますが、一方で頻繁に演奏される曲はだいたい決まっていて10~15曲くらいです。それらの愛奏曲をある時は管楽器入りのコンボで、ある時はピアノトリオで、ある時はソロで演奏すると言う感じですね。私はモンクはトリオやソロではあまり聴く気はしないので、もっぱら管楽器入りのセッションを持っていますが、作品毎に共演者の顔ぶれが違うので、同じ曲でも演奏が違っていて面白いです。

本日ご紹介する「モンクス・ミュージック」は1957年6月26日録音のリヴァーサイド盤で、モンクの管楽器入りのセッションの中でも最も有名な作品の1つでしょう。何せ顔ぶれが凄いです。まずテナーにジョン・コルトレーンとコールマン・ホーキンス。新旧のテナーの巨人の揃い踏みです。とは言え、この頃のコルトレーンはマイルス・デイヴィス・クインテットの活躍で注目される存在ではありましたが、前月に初リーダー作「コルトレーン」を発表したばかりで、まだ巨人と呼べるような存在ではありませんでしたが・・・サックスにはもう1人アルトのジジ・グライス(ちょうどこの頃ドナルド・バードとの双頭コンボ”ジャズ・ラブ”で売り出し中でした)も加わっています。トランペットにはレイ・コープランド。決してメジャーではないですが、モンク作品では常連です。その他、ベースにはウィルバー・ウェア、ドラムにはアート・ブレイキーと言うラインナップ。モンク作品でも屈指の豪華メンバーですね。

アルバムは全6曲。オープニングは"Abide With Me"と言う19世紀の讃美歌でいきなり意表を突く始まり方ですが、1分足らずで終わります。何でも作曲したのがウィリアム・モンクと言う同姓の人らしいので単なる洒落でしょう。実質のスタートは2曲目の"Well, You Needn't"から。モンクの代表曲で、マイルス等多くのジャズマンにカバーされていますが、モンク自身の演奏では本作のバージョンが決定盤でしょうか?テーマ演奏のあと、まずモンクが叩きつけるような独特のソロを取り、その後はコルトレーンの飛翔するテナー→レイ・コープランドのトランペット→ウィルバー・ウェアのベース→アート・ブレイキーの迫力満点のドラムソロ→御大コールマン・ホーキンスの貫禄たっぷりのテナー→ジジ・グライスのアルト→最後は再びモンクとリレーして行きます。11分を超す大曲ですが最後までテンションの高い名演ですね。

3曲目"Ruby, My Dear"は一転してバラード演奏。この曲はモンクにしては珍しく素直な美しいメロディの曲で、ここではコールマン・ホーキンスがほぼ1人で吹き切ります。4曲目”Off Minor”もいかにもモンクらしい調子っぱずれのメロディが印象的な曲。ソロ一番手はホーキンスで、その後コープランド→モンク→ブレイキーと続きます。このあたりコルトレーンのソロがありませんが、当時の格からしてホーキンス中心なのは仕方のないところでしょうか?

続く”Epistrophy”もモンクの代表曲で後のフリージャズを思わせるようなエキセントリックなメロディですが、彼はこの曲を何と1941年に書いたらしいです。やはり奇才としか言いようがないですね。前2曲で目立たなかったコルトレーンがここぞとばかりに熱くブロウしますが、こういうフリーキーな曲をやらせたらコルトレーンはやはり天下一品です。続いてコープランドの乾いた音色のトランペット→ジジ・グライス→ブレイキーの怒涛のドラムソロ→ホーキンス御大のソロと続き、曲の終盤9分過ぎになってようやくモンクがピアノソロを取りますが40秒ほどで終わります。おそらくモンク的には自分のソロよりもバンド全体の演奏が良ければ満足だったのでしょう。ラストの"Crepuscule With Nellie"は変わったタイトルの曲でこの曲のみが新曲です。ちなみにcrepusculeは"薄明"と言う意味だそうです。前半はモンクのソロピアノで途中からホーン陣が加わりますがアンサンブルだけです。いかにもモンクらしい不思議なメロディの曲を彼ならではのタッチで弾いていきます。以上、"Well, You Needn't""Epistrophy"等モンクの代表曲を豪華メンバーの演奏で味わえるこの作品。モンクの入門編にも最適だと思います。

 

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ジミー・レイニー/トゥー・ジムズ・アンド・ズート

2025-03-19 18:08:12 | ジャズ(その他)

本日は通好みの1枚で白人ギタリスト、ジミー・レイニーの作品をご紹介します。15年ほど前に紙ジャケットで発売されており、当時は正直リーダーのレイニーにそれほど馴染みはなかったのですが、サイドマンに大好きなズート・シムズの名前を見つけて買った記憶があります。また、名ギタリストのジム・ホールも"2人のジム"の片割れとして参加しているのも興味をそそられるポイントですね。レイニーはお世辞にもビッグネームとは言えないものの、ABCパラマウント等にリーダー作を数枚、後は名門プレスティッジに「A」と言う変わったタイトルのアルバムを1枚、ケニー・バレルとの共同リーダー作「トゥー・ギターズ」を残しています(ただし、私が所有しているのは「トゥー・ギターズ」のみ)。サイドマンでは「スタン・ゲッツ・プレイズ」に参加していますが、ゲッツの陰に隠れてあまり印象には残りません。

そんな地味なレイニーにリーダー作の機会を提供したのはメインストリーム・レコード。これまた超マイナーなレーベルで私のライブラリーにもこの1枚しかありません。一応検索すると他にヘレン・メリルやカーメン・マクレエのレコードもあるようですが目にしたことはないですね。録音は1964年3月にニューヨークで行われ、参加メンバーはホール&レイニーの"トゥー・ジムズ"とズート・シムズ、スティーヴ・スワロウ(ベース)にオシー・ジョンソン(ドラム)と言う変則的クインテットです。ピアノはいませんがレイニーがソロを取る時はホール、ホールがソロを取る時はレイニーがリズムギターに回っています。

全10曲。ホールのオリジナルが2曲ありますが、スタンダードやボサノバのカバーが中心です。特にボサノバ曲が多く、有名な"Morning Of The Carnival(黒いオルフェ)"を始め、"A Primera Vez""Presente De Natal""Este Seu Olhar""Coisa Mais Linda"と5曲もあります。他にオープニングトラックの"Hold Me"もジェリー・マリガンの作曲ですが、リズムはボサノバ風です。1964年と言えば何と言っても「ゲッツ/ジルベルト」が世界的大ヒットとなった年。ゲッツ以外もキャノンボール・アダレイやクインシー・ジョーンズらもボサノバ作品を発表するなどジャズ界でボサノバブームが巻き起こっており、本作もその影響を受けたのでしょう。ただし、演奏自体がボサノバかと言うとそんなことはなく、きちんとジャズ要素は残っています。レイニーとホールのギターは時にボサノバテイストを交えながらも基本はバップフレーズを駆使していますし、何よりズート・シムズのアーシーなトーンのテナーはジャズそのものですよね。なお、レイニーとホールのギターは音色だけで聴き分けるのはほぼ不可能ですが、ステレオの右側から聞こえてくるのがレイニー、左側から聞こえてくるのがホールとのことです。

ボサノバカバー以外だとR.Ellenとか言う謎の人物が書いたスインギーな"Betaminus"、唯一の歌モノスタンダード"How About You"、ジム・ホールのオリジナル"Move It"と"All Across The City"が収録されています。"All Across The City"はホールの代表曲でビル・エヴァンスとのデュオ作品「インターモデュレイション」でも演奏されていましたが、ズートのバラードプレイが聴ける本作のバージョンもおススメです。"Morning Of The Carnival"だけはテナー抜きですが、それ以外の曲はどれもズートのよく歌うテナーに名手2人のギターが絡む展開。特にスインギーな"A Primera Vez"で見せるズートのソロは最高です。名義上のリーダーはジミー・レイニーですがタイトルが現すようにジム・ホールとズート・シムズのプレイも対等の役割を果たしており、彼らの魅力が存分に味わえる作品だと思います。

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ア・ジャズ・ポートレイト・オヴ・チャーリー・マリアーノ

2025-03-07 19:38:52 | ジャズ(その他)

本日はチャーリー・マリアーノの幻の名盤を取り上げたいと思います。レジーナ・レコードと言うマイナーレーベルに1963年に吹き込まれた作品で、10数年前にたまたまCD化されていたものを買ったものです。チャーリー・マリアーノは白人アルト奏者として50年代は西海岸で活躍しベツレヘムに名盤を残していますし(「チャーリー・マリアーノ」参照)、何より日本人ピアニスト秋吉敏子の旦那として日本のジャズファンの間では大変有名ですよね。残念ながら2人は1967年に離婚してしまうのですが、この頃はまだ仲が良く、夫婦で活動して「トシコ=マリアーノ・カルテット」等の作品を残しています。

録音時の1963年もマリアーノは日本に在住していたようですが、本作はアメリカ帰国中にニューヨークで録音さたようです。メンバーですが主に3つの構成に分かれており、まずパターンAが、後にウェス・モンゴメリー作品で名を馳せるドン・セベスキーがアレンジを手掛ける13名の金管楽器(トランペット、トロンボーン、フレンチホルンが各4、チューバ1)を従えたミニオーケストラ編成。パターンBはこれまたドン・セベスキーが指揮する弦楽オーケストラ(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ハープ等)入りの編成。さらにギターのジム・ホール(ギター)も加わっています。パターンCはオーソドックスなスモールコンボで、マーヴィン・スタム(トランペット)、ジャッキー・バイアード(ピアノ)、リチャード・デイヴィス(ベース)、アルバート・ヒース(ドラム)を従えたクインテットです。

全9曲。順番はバラバラなのですが、説明がややこしいので楽器編成ごとに解説します。まずオープニングですがパターンAの"I Feel Pretty"で始まります。当時映画も大ヒットしていた「ウェストサイド・ストーリー」の挿入曲で、レナード・バーンスタインの書いたポップなメロディをマリアーノがゴージャスなブラスアンサンブルをバックに軽快にソロを取ります。次のブラス入りは6曲目の”Portrait Of An Artist"で、本作のハイライトと言っても良いナンバー。ドン・セベスキーが書いた組曲風の曲で、最初と最後はメランコリックなバラードですが、中間部はアップテンポに転調し、マリアーノが情熱的に吹きまくります。他はラストトラックの”The Song Is You"もおなじみの有名スタンダードをシャープなブラスアンサンブルで料理し、マリアーノも負けじと熱いソロを繰り広げます。

続いてストリングス入りのパターンB。こちらの注目は2曲目の"The Wind”でしょうか?西海岸の名ピアニストであるラス・フリーマン作曲で、チェット・ベイカーやシェリー・マンのアルバムでも演奏されていた哀愁漂うバラードをストリングス入りで雰囲気たっぷりに演奏しています。なお、この曲は後にキース・ジャレットも取り上げ、さらには何とマライア・キャリーの1990年のセカンドアルバム「エモーションズ」で歌詞付きで歌われました。マライア渋いチョイスですね。他にも4曲目”Goodbye"や7曲目”Deep In A Dream"と言った有名スタンダード曲がストリングス編成で演奏されていますが、こちらは正直やや辛気臭いかな。ジム・ホールのギターソロもちょっとだけ聴けたりはするんですが・・・

最後にクインテット編成のパターンCで、まずは3曲目"To Taiho”です。このTaihoとは、当時の大横綱である大鵬のことです。そう、巨人・大鵬・卵焼きのあの大鵬です。上述のようにこの頃マリアーノは日本に住んでいたので、大鵬の相撲を観戦してインスピレーションを受けたのでしょうか?ただ、曲自体はややスピリチュアルな雰囲気のモードジャズって感じで、ちょっとよくわからない変な曲です。それよりもおススメは5曲目”The Shout"。タイトル通りのファンキーなシャウトナンバーで、マリアーノ→マーヴィン・スタム→ジャッキー・バイアードとエネルギッシュなソロを繰り広げます。このスタムと言う人はスタン・ケントン楽団出身の白人トランぺッターですが、なかなかブリリアントなソロを聴かせてくれますね。8曲目"Pretty Little Nieda"はスウェーデン出身で西海岸で活躍したトランぺッター、ロルフ・エリクソンの曲で、ややミステリアスな雰囲気を持った佳曲です。以上、個人的にはパターンBのストリングスはイマイチですが、パターンAのブラスセクションとパターンCのクインテットはなかなかの出来で、掘り出し物の隠れ名盤だと思います。

 

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チャールズ・ミンガス/ミンガス・スリー

2025-03-04 19:01:44 | ジャズ(その他)

本日はチャールズ・ミンガスです。ミンガスと言えばモダンジャズで最も有名なベーシストの1人だと思いますが、その評価にはどちらかと言うとバンドリーダーとしての実績が大いに加味されていると思います。有名な「直立猿人」を筆頭に「ミンガス・アー・アム」「ブルース&ルーツ」「ファイヴ・ミンガス」と言った彼の代表作はどれも複数の管楽器を伴った作品ばかりで、重厚なホーンアンサンブルを活かした独特のクセ強な”ミンガス節”が彼の作品の大きな特徴です。

そんな中で異色の作品が今日ご紹介する「ミンガス・スリー」。1957年7月にジュビリー・レコードに吹き込まれたアルバムで、タイトル通りピアノ、ベースの3人から成るシンプルなトリオ編成です。ミンガスはサイドマンとしてはピアノトリオに参加したことはありますが(デューク・エリントン&マックス・ローチと組んだ「マネー・ジャングル」etc)、自身のリーダー作ではこれが最初にして最後のトリオ作品だそうです。メンバーも意外でピアノには西海岸で人気を博していたハンプトン・ホーズを起用しています。ミンガス・バンドのピアニストはホレス・パーランやジャッキー・バイアード、ポール・ブレイなど少しクセのある面々が多いですが、ホーズのように一般的なジャズファンからも人気の高い正統派ピアニストの起用は珍しいですね。実はミンガスはLA育ちで20代までは西海岸でプレイしており、ホーズとは旧知の仲だったようで、この時たまたまツアーで東海岸に来ていたホーズをセッションに呼んだと言うのが経緯のようです。なお、ドラムはミンガス・バンドの不動のメンバーであるダニー・リッチモンドが務めています。

全7曲。うちスタンダードが4曲、オリジナルが3曲と言う構成です。このスタンダードが多めの選曲もミンガスにしては異例ですし、曲も"Yesterdays""I Can't Get Started""Summertime""Laura"と誰もが口ずさめる有名曲ばかりです。演奏の方はさすがにありきたりのピアノトリオと言う訳ではなく、ミンガスの強靭なベースを大々的にフィーチャーした演奏ですが、一方でハンプトン・ホーズにも同等にスポットライトが当たっており、彼の華やかなピアノソロも存分に堪能できます。

ただ、個人的にはオリジナル曲の方をより強く推したいです。2曲目"Back Home Blues"はタイトル通りアーシーなブルースでホーズのブルージーなピアノソロとミンガスの腹に響くピチカートソロが最高です。ホーズはコンテンポラリーを中心にわりとコマーシャルな内容のトリオ作品を残していることもあり、日本のジャズファンからは”上手いんだけどやや軽い”的な評価をされがちですが、そんなことはないですね。個人的には抜群のスイング感と黒人的なブルースフィーリングを併せ持った最高のピアニストだと高く評価しています。4曲目”Hamp's New Blues"はホーズのオリジナル曲で、ここではミンガスのベースソロもなく完全に彼が主役です。ホーズのドライブ感抜群のピアノが存分に味わえる名曲で、途中のダニー・リッチモンドのドラムとの掛け合いも聴きモノです。6曲目”Dizzy Moods"は1962年の「ティファナ・ムーズ」でも再演されており、そちらではホーン陣を加えたクセの強い演奏ですが、ここではトリオということもあり大人しめです。ディジー・ガレスピーの”Woody'n' You"を下敷きにしたメロディでホーズ→ミンガス→リッチモンドがそれぞれソロを取ります

以上、全体的にミンガスにしては比較的聴きやすいアルバムでありますが、その反面コアなミンガスファンからは逆に物足りなく思えるかもしれません。一方でハンプトン・ホーズのピアノは素晴らしく、むしろ彼を聴くアルバムとして評価した方が良いと思います。

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ケニー・バレル/ラウンド・ミッドナイト

2025-02-19 18:53:04 | ジャズ(その他)

3回連続ビッグバンドが続いたので、今日はちょっと箸休め的な作品を。名ギタリスト、ケニー・バレルが残したカルテット作品です。バレルは当ブログでも何度も取り上げていますが、私の最も好きなジャズギタリストです。彼の50~60年代のリーダー作はほぼ全てが名盤と言って良いですが、今日ご紹介するのはそれより少し後の1972年にサンフランシスコを拠点とするファンタジー・レコードに吹き込んだ1枚です。

70年代と言えば電子楽器を用いたフュージョンが隆盛を極めていた頃。その影響もあってか本作でもリチャード・ワイアンズがエレクトリック・ピアノを弾いています。とは言え、それ以外は普段のバレルと変わりないですね。彼特有のソウルフルでありながら都会的な雰囲気を感じさせる洗練されたジャズギターが堪能できます。他のメンバーはベースがレジ―・ジョンソン、ドラムがレニー・マクブラウンです。

全9曲。オリジナル曲は1つもありませんが、バレルが様々なジャンルからお気に入りの曲をチョイスし、彼ならではの味付けで料理しています。1曲目は"A Streetcar Named Desire"。マーロン・ブランド主演の映画「欲望と言う名の電車」のためにアレックス・ノースと言う映画音楽専門の作曲家が書いた曲です。youtubeで聴いたオリジナルはオーケストラでの演奏でしたが、ここではバレルがエレピをバックにしっぽりと歌い上げます。2曲目は多くのジャズマンが取り上げたジュール・スタインのミュージカル曲"Make Someone Happy"。ミディアムテンポのリラックスした雰囲気で、お馴染みの名旋律をバレルが歌心たっぷりに演奏します。3曲目はセロニアス・モンクの"'Round Midnight"。タイトル曲にもなっていますが、個人的にはまずまずかな。実はこの曲だけピアノがジョー・サンプル、ドラムがポール・ハンフリーに代わっていますが別の日の録音だったのかもしれません。都会の夜のイメージにピッタリの演奏です。

4曲目はなかなか面白いチョイスで個性派シンガーソングライター、ランディ・ニューマンの"I Think It's Going To Rain Today"。この曲もオリジナルをyoutubeで聴いてみましたが、正直同じ曲とは思えないくらい違います。バレルの手にかかると一気にソウルフルなジャズに変身するのだから面白いですね。5曲目”Since I Fell For You"はバディ・ジョンソンのブルース・スタンダード。リー・モーガンやスタンリー・タレンタイン等いろいろなジャズマンが名演を残していますが、このバレルの演奏もその1つに数えて良いでしょう。6曲目”I’m Gonna Laugh You Right Out Of My Life"は余り聞かない歌モノスタンダードですが、作曲家のサイ・コールマンがナット・キング・コールのために作った曲のようです。とても魅力的な旋律を持つ楽曲で、個人的にはこのアルバムの中でも最も好きな曲です。実はこの曲はエレピが抜けたトリオ演奏なのですが、正直中途半端なエレピの音はむしろない方が良いですね。バレルのメロディアスでスインギーなソロが最高です。レジー・ジョンソンのベースソロも挟まれます。ラストの”Blues In The Night"はハロルド・アーレンのスタンダード曲ですが、ここではついにドラムもベースも休みでバレルが無伴奏ギターソロを披露します。出来はまあまあ。以上、個人的にはエレピの音はどうしても好きじゃないですが、バレルのギターはいつも通りの素晴らしさです。

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