BEAST SIDE 1

ジュエリーアーティスト太田マリ(タバサ)です。工房からの制作風景、プライベートでやってるロックバンドの話も少しだけ。

盛りワックスで制作した一点物リング

2020-11-05 10:51:44 | オーダーメイドジュエリー
今回、盛りワックスという手法で一点物リングを作らせていただきました。

まず、完成品はこちらです。





デザインは、TABITHAで5~6年前から販売している「隠し文字のリング」というセミオーダー型のリングからの展開です。

「隠し文字のリング」は、お客様からのご要望の文字(通常8文字くらいまで)をフリーハンドでデザインし、ワックスを盛って制作したオーダーリングで、全体的に空間を多くとった、遊びの多いデザインで作らせていただいています。

こちらが「隠し文字のリング」です。






今回はこのリングと同じ手法を使って、重厚感のある一点物を作らせていただきました。



リング一周全体に文字をデザインし、幅と厚みをしっかりつけたメンズリングです。




では、制作の様子をご紹介しますね。

基本的には隠し文字のリングと同じ手法です。

まずは紙に文字をデザインし、リングサイズに合わせた棒の上にセッティング。



ここにワックスペンでワックスを盛っていきます。



通常の「隠し文字のリング」は空間も多くとり、全体に軽めに作っていますが、今回はしっかり感のあるものを目指したので、ひたすら厚めにワックスを盛っていきました。



立体感もでてきました。





盛りワックスができあがったら、裏側を仕上げ、ワックス原型の出来上がりです。






その後、シルバー925でキャストします。





キャスト後、ヤスリや電動工具で仕上げていきます。

盛りワックスの場合、どうしても細かなところにバリが残ってしまうこともあるので、それらを削り取り、全体をなめらかに仕上げていきます。

また、リングの内側は、ワックスを盛っただけだとコバの立ちがきついので、ヤスリやキサゲ等でアールをつけていき、装着感がよくなるように整えていきます。

全体が仕上がりました。





いよいよ最終段階。

一度全体を古美仕上げし、真っ黒に。





その後、バフで磨き上げて完成です。



バフで磨くことで黒みが取れて銀の輝きが戻る部分と、黒く残る部分とのコントラストが出てきます。

この時にも重厚感を出すためのコツがあり、コバの部分などは特にしっかり磨いてあげると立体感も出て、良い仕上がりになると思います。




盛りワックスで作っていく造形は、削り出していく造形とまた違う難しさがありますが、その反面、重ねていけるという自由度もあります。

今回の制作も、最初に隠し文字のリングを作った時とは違う発見がたくさんあり、とても楽しかったです。

溶かす際のワックスの温度や、ワックスそのものの種類など、まだまだ研究すべきところは山ほどあって、楽しみは尽きないというところでしょうか。



ジュエリーTABITHA



この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 総手彫りバングル製作 | トップ | シルバーの地金吹き »
最新の画像もっと見る

オーダーメイドジュエリー」カテゴリの最新記事