BEAST SIDE 1

ジュエリーアーティスト太田マリ(タバサ)です。工房からの制作風景、プライベートでやってるロックバンドの話も少しだけ。

受け継がれる形見のジュエリーのリフォーム

2017-10-31 12:46:55 | オーダーメイドジュエリー
ご両親やご祖父母様、またご親戚の方などから形見として受け継がれているジュエリー。
なつかしい思い出と共に、大切にお持ちの方も多いかと思います。

今回、作らせていただいたのは、ご祖母様から形見としてご依頼主様に受け継がれた、赤くきれいな石のリングのリフォームです。


完成品はこちらです。





こちらが最初にお預かりしたリングです。









きれいな赤い石(おそらくガーネットだと思われます)が透かしの入った石座に留まり、細身の腕がついた素敵なリングでした。
地金は14金ホワイトゴールドです。





ペンダントトップへのリフォームをご希望でしたので、石座はそのまま残し、周りに枠をつけることをご提案して、以下のようなデザインに決まりました。





まず、慎重に石をはずします。







石座にあわせ、ワックスで回りの枠の原型を作ります。






斜めからみた感じです。







ワックスから18金ホワイトゴールドにキャストしました。






パーツをそれぞれきれいに仕上げ、もともとのリング枠のほうも腕を慎重に切り離しました。







各パーツをロー付けし、磨き仕上げをして、空枠の完成です。






石座も綺麗に仕上げなおしをし、新しく作った外枠の部分と一体感がでるようにしてあります。







最後にはずしておいた石を留め直します。








デザインの段階では、新しく作るパーツの上部と下部にメレーダイヤをいくつか入れることも考えておりましたが、空枠ができた段階で御依頼主様とご相談したところ、メレーはないほうがすっきりとしていいかも・・というお話になり、メレー無しで仕上げることになりました。




そして、完成です。











もともとの石座をそのまま使用させていただいたので、もとのリングの雰囲気を引き継げたのではないかと思います。







今回、リングの腕の部分は、思い出と共にしまっておけますよう、そのままご依頼主様にお返しすることにいたしました。





先日、御依頼主様に、無事にリフォームされたペンダントトップと、思い出のリングのパーツをお渡しいたしました。

たいへん喜んでくださり、お母様にもご報告をしてくださいました。

また、このジュエリーを今後も次のご世代に引き継いでいきたいとのお話をしていただき、こちらも感激してしまいました。







製作を終えて・・・


シーズンごとに流行のアクセサリーを楽しまれることも素敵ですが、こうして何十年も引き継がれていくジュエリーをお持ちになる楽しさ、そして気持ちの豊かさ、とても素敵なことと思います。

ジュエリーに使われる金やプラチナ、シルバーなどの地金、そして宝石の数々は、長くその姿を保つものが多く、また一度輝きを失っても、磨きあげるとまた美しく輝きだすことも多くあります。

だからこそ、形見として受け継がれることも多かったのだと思います。


今回、製作時間をかなりたっぷりいただいてしまって申し訳なかったのですが、なんとか、ご納得いただける形にして差し上げられて本当によかったです。

私にとっても、とても思い出深いお仕事となり、大切なお品物のリフォームをお任せくださったご依頼主様には心より感謝いたしました。



ジュエリーTABITHA
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