もう↓この時から一年かあ…
「うしおととら」PV公開
「うしおととら」第一話
1988年から30年近くサンデーを買い続けていますが、「パトレイバー(88)」「うしおととら(90)」「GS美神(91)」と、ほぼ同時期に連載されていたこれら三作がオレにとって未だに不動のサンデートップ3作品であり続けています
この頃のサンデーは(1980年前後に続く第二の)”黄金期” と呼ばれていたそうですが、確かに上記三作の他にも「帯ギュ」やら「今日俺」やらがいて、更には圧倒的な安定感を誇る高橋留美子やあだち充がどっしり控えてるってのは低迷にあえぐ今のサンデーからは想像を絶する布陣でしたねえ…(遠い目)
オレ自身が最も多感な時期に触れた作品だから~っていうのも勿論大きいんでしょうけど、”時代を超えて語り継がれるべき(その価値のある)名作”っていうのは間違い無く存在すると思うんです
特に「うしおととら」については ”少年マンガのひとつの到達点” とまで評された程でしたが、「うしおととら」の何が凄いかっていうと、 ”感情の振れ幅” と ”熱量” に集約されるんじゃないかと……正直、1990年の連載開始当初の頃から(主に絵柄について)”古臭い”、”ゴチャゴチャしすぎ” といった批判もありまくりだったんですが(^_^;)、作者である藤田和日郎自身からして過剰なまでにマンガを愛するタイプの漫画家であり、その溢れんばかりの情熱が原稿にほとばしる作風に多くの読者が ”強制的に” 慣らされていったという実状がありましたw
しかも物語が数千年の長きに渡る因縁や宿命をバックボーンとして内包していた事から、日本の平安時代や更には古代の中国・インドにまで作劇の舞台が及ぶにつれて ”古臭い” 絵柄についてもむしろ ”時代性を超越” している側面の方が自然に強調されるようになっていった気がします
人間ドラマを生み出す ”憎しみ” や ”哀しみ” といった負の感情の連鎖に如何に対応するか、少年マンガの醍醐味である ”直情性” や ”純粋性” は一歩間違えれば ”胡散臭い”、”非現実的”、”ダサい” と揶揄される危険性があるものの、”血みどろの茨の道” を(普通の中学生である)主人公に延々と進ませる事で有無を言わせぬ説得力を醸し出しているのがホントに凄かったんです……ホラー要素、バトル要素、感動要素が絶妙にミックスされ、読者の感情を揺さぶる表現が全33巻(+1)を通してひたすら継続するというだけでも凄いんですが、終盤の展開に向けて膨大な数の登場人物や莫大な量の背景設定が全て(文字通り ”全て”)収束していく構成は実に見事としか表現しようがありませんでした
これ程巨大な ”風呂敷” をキレイに畳んで見せた作品は、マンガだけに限らず、小説、テレビ、映画等あらゆるエンタメ史上を見渡してみてもそう存在しないのではないかと思わされる程です
そんな「うしおととら」の今回のアニメ化ですが、全39話という構成がとにかく ”短か過ぎた” という一語に尽きます(;´Д`)……一般的に週刊少年マンガの展開を忠実にアニメ化しようとすると、単行本一冊分を3話くらいかけて映像化するのが理想と言われていますが、そこから換算すると「うしおととら」を完全アニメ化するのには最低でも100話以上の分量が必要だったんですよねえ…
実際、今回のアニメ化でカットされたエピソードは6割じゃ効かない気もするので、もし完全アニメ化が実現してたら2~3年をかけて放映される必要があったワケですが、どこかにそんな幸せな世界線が存在しないものか(^0^;)
でもいくら完全アニメ化では無かったからといって、今回のアニメ化が無意味だったとは思いたくないですな
要所要所で原作のペースにほぼ忠実にアニメ化されたエピソードもありましたし、やはり動きと音と声が付く事で全く新しい感動が生まれたことも間違いありません……OPが本編のダイジェスト映像的にまとめられていましたが、原作からの ”見せ場” シーンの連続を劇場アニメ級のクオリティで毎週見られた事だけでもアニメ化してくれた甲斐があったってものです( ゚∀゚)o彡゚
本編の内容も最終決戦で ”全てが収束” する展開から逆算して、”全て” の要素を洗い出して行ったのだと思われますが、アニメ版はアニメ版でキチンと伏線等を回収しながらラストに向けて盛り上がりまくっていましたし、第3クールに入ってからはずっと涙腺がぶっ壊れた状態で見続けてましたからねえ(ノД`)
絵についてはテレビアニメなのでシーン毎にクオリティの差がついてしまったのは仕方が無いですが、”藤田絵” と呼ばれる鬼気迫る描写もちゃんと再現してくれてて、アニメ版スタッフの原作愛をしっかりと感じることが出来ました
声についてですが、うしおの実直さと熱血な演技は ”いい奴” っぷりが全面に出ていましたし、2000年を生きている大妖怪とらのツンデレ等のギャグキャラとしての側面と老獪で博識な側面、そしてかつて人間であった部分の ”熱さ” を併せ持ったコンビは最高でしたヽ( ̄▽ ̄)ノ
うしおととらが出会っていく人々、妖怪たちもどれもイメージ通りの配役で、ツイッターなんかを見てるとベテラン勢が「うしおととら」に出られるのが嬉しいと感想を書いてたりするのが感慨深かったりもしました
そしてこの作品の根幹でもある「白面の者」
中盤辺りまで ”林原めぐみ” という名前がエンドロールでも明かされない状態で登場し続けていたと思いますが、いやー、この人が白面を演じてくれた事でアニメ版の評価が3割アップしたと言っても過言では無いと思いますd(≧▽≦*)
個人的には、”ラスボス” という概念を新しい次元に押し上げたんじゃないかとまで思ってるんですが、可憐な少女から妖艶な毒婦、果ては一瞬で何万人も滅せられる大怪獣に至るまでの形態変化をたった一人の演技力で表現させるなんて、普通に考えると正気の沙汰ではありませんよね(゚Д゚;)
エフェクトがかかってたりはしたものの、他者を嗤い、嘲り、滅する事で愉悦の極みに浸る事しか知らなかった ”絶対者” が、最終盤では徹底的に翻弄された挙げ句にあんなイノセントな存在にまで変貌する様は物語としての感動とは別個に、声優としての演技力への ”畏怖の念” まで抱かせられましたから…
今回のアニメ化で、果たしてどれだけの新規ファンを獲得出来たかはわかりませんが、原作マンガをまだ読んでない方は是非とも読んでみて下さい
アニメ版でカットされたエピソードは決して、不要と思われたからカットされたワケではありません……アニメ版スタッフもストーリー構成を担当した原作者自身も、断腸の思いでキャラや妖怪をカットしたんです
オレは当事者でも何でもありませんが間違い無く断言出来ます
”お前たちの旅は無駄ではなかった” という東の長のセリフがあったかと思いますが、原作はアニメ版の3倍濃い ”出逢い” と ”別れ” に満ち満ちた旅だったんです
つまり原作マンガを読めばラストの感動も3倍増しってことです(当社比)
是非とも原作マンガの方も!!