馬鹿バスケ

Brooklyn Comets(ABA)でのアシスタントコーチを終えて、今はNYでスタッツいじり。

CB Murcia VS FC Barcelona

2009年12月27日 | NBA等観戦記(NY・Indiana以外)
生ルビオ観てきた。



バルセロナ旅行のついでに、CB Murcia VS FC Barcelonaを観戦。FCバルセロナのアリーナ、Palau Blau-Granaは、バルセロナ中心部からタクシーでも10分弱程度。有名なサッカー競技場カンプ・ノプの横にあって、築30年近く経っていそうな古さ。寝坊して朝食もとらずに駆けつけたので、会場で何か飲もうと思ったらさすがスペイン、エスプレッソがあった。世界最高レベルのバスケが見られて、コートから10列目くらいで一人27ユーロは非常にリーズナブル。



FC Barcelonaにはご存知Ricky Rubio(ユニフォームや掲示板の表示はファーストネームのRicky)と元NBAプレイヤーのJuan Carlos Navarroが、CB MurciaにはIlliois大学でDeron Williamsらとともにファイナルまで行ったRoger Powellがいる。さぞかしRubio人気で会場は盛り上がっているのかと思いきや、観客は半分程度の入りで、来場人数にして数千人、といったところだろうか。ちと寂しい


(試合前にウォームアップとして盆踊りを踊るRicky Rubio。)


(ティップオフ。審判のユニフォームがオレンジ色と非常にカラフル。3人制で、この日は1名女性の審判員がいた。)


(Juan Carlos Navarro。どうしても猫ひろしを思い出してしまうのは私だけだろうか。)

FC Barcelonaの攻撃はさぞかしRubioが大きな役割を果たしていると思いきや、意外にもプレイの6~7割はNavarroのピックアンドロール。両チームともディフェンスはMurciaが途中3-2ゾーンを敷いた以外は終始フルコートもしくはスリークオーターからのマンツープレスで、ハーフコートに入ってもハーフラインあたりまでプレッシャーをかけてくる。そんなディフェンスに対して、Navarroはハーフライン近くから始めるハイピックを中心に攻め続ける。空けば3ポイント、抜いてゴールまで行けばフローター、ディフェンス2人をひきつければスクリーナーへのアリウープパス。また、ドライブしにいってスペースが詰まっていると見れば、ペイント内から3ポイントライン近くまでステップバックして後ろから追いかけてくるディフェンスを遣りすごしてからのジャンプシュートなど、スペースのない国際ルールでのピックアンドロールを知り尽くしたようなプレイ。国際ルールの申し子と言えよう。

一方のRubioは、前半はあまり調子が上がらなかったのか、10分弱の出場にとどまった。ただ出ている間も、オフェンスに関してはこれがオリンピック銀メダルチームのPGか、と正直首を傾げたくなるような存在感の薄さ。CB Murciaはガード二人のアウトサイドシュートが冴えて、5点差程度で折り返す。


(Rubioのフリースロー。)

後半が始まると、最初の3プレイが、①Rubioの3ポイント、②Rubioがピックアンドロールから切り込み、ヘルプに来たディフェンスの体に腕をまきつけるようにして、裏へ走りこんだスクリーナーへのパス→ダンク、③Rubioのスティールからの速攻で、あっというまに12点差近く離れ、Rubioは強烈な存在感を示した。相手は3-2ゾーンなどで目先を変えるも、後半冒頭に失った勢いは取り戻せず、試合終了。

Rubioについては、ディフェンスは圧巻。最後は少し疲れが見えたものの始終相手PGにプレッシャーをかけ続け、一旦ボールを話せばディナイ(この部分はチームの戦略かもしれない)。PGにしてはリーチがあって、ドリブルやハンズオフのパスなんかでちょっと油断するとスティール。コートビジョンも広く、ドライブインからのアシストやアリウープはよく見えている。後半途中、Rubioが速攻でコート左側を走りながら、真ん中を走る二人を飛ばして、一番右側を後ろから加速してきた味方(多分Rubioの位置からだと間の二人と重なってよく見えてはいなかった筈)へパスを出したときには、そのビジョンと意外性に驚いた。更に圧巻だったのは、ルーズボールにダイブして、相手を横に寝転がった状態から頭越しにパス。すると走りこんできた味方の手元にドンピシャで、速攻につながったプレイ。

体格がやや細いこともあり、NBAで通用するかどうかが心配されているが、それなりにサイズ、スピード、リーチがあって、ディフェンス面では大丈夫どころか、NBAでも結構いけるのでは、という気がしてきた。スクリーンの守り方については、相手を後ろから追いかけたり、スティールを狙ったギャンブルが目立ち、NBAとのルールの違いに少し慣れが必要なように見えるものの、それ以外は特に問題はないような気がする。

オフェンスはボールハンドリング能力高く、課題といったら外角シュートの強化だろうか。この日は大きくノーマークになったスリーポイントをはずしたケースが多かった。あれだけスピードとパスセンスがあっても、相手が下がってしまっては能力を生かし辛い。またピックアンドロールからのドライブインにおいて、とまってジャンプシュートも一本もなかった。ナッシュ等のようにフィニッシュが特別器用そうな訳でも、Deron Williams等のように直接リングに持っていけるほど強そうな訳でもなく、ミドルレンジの決定力が重要になってくるような気がする。

全体を総合してみると、RubioのNBAでの将来的なイメージについて、僕の意見は「ややソフトなGary Payton」といったところ。二人の間にはいろいろと類似している点が多く、例えば安定したボールハンドリング能力、体格(Paytonが身長193センチ、82キロに対して、Rubioが192センチ、82キロ、ウィキペディアより)、スピード、外角のなさ、そして何よりディフェンス面での圧倒的な存在感。もちろんPaytonがNBAで徐々にオフェンス力を伸ばしたように、Rubioも伸びしろがあるだろう。外角が心もとないならば、Paytonのようにゴールを背にした攻め方を身につけるのもNBAでは有効かもしれないし、そういったスピードに頼らないプレイを身につけることはPaytonのようにプレイヤーとして長生きする秘訣になるだろう。


(Rubioのまともな顔も、念のため。)

長くなったので続きは次回。


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