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遠山を望むが如く

しんちゃんの雑録

マカロニは「めん」か?~麺とマカロニ類の定義~

2018-03-27 23:30:42 | 酒食
先般,加工食品の分類をする必要があり,マカロニは「めん」か「穀類加工品」かで悩んだ。
辞書によれば,「めん類」とは「小麦粉・そば粉などをこね,細長く切った食品の総称」とある。(大辞林 第三版)
スパゲッティなら迷わず「めん」になるだろうが,マカロニはどうなのだろう…?

「麺」とは,部首が「ばくにょう」つまり「麦」に由来するものである。
中国および中華圏では,「麺」は小麦粉を指し,蕎麦やビーフンなど小麦粉以外を使った物は本来「麺」として扱わない。

一方,「粉」とは,部首が「こめへん」つまり「米」に由来するものである。
ビーフンは漢字では「米粉」と表記するが,東アジアの華中以南は米作地帯であり、それらの地域では小麦の生産量が少ないため、小麦粉の「麺」(ミエン)ではなく、ライスヌードルを意味する「粉」(フェン)が日常的に食べられている。

字の成り立ちから考えると,マカロニも「めん」になるのだろうが,日本では材料が何であっても形状により「めん」と扱われる(*1)ため,その物理的形状の範囲はどこまでだろう,などと考えるとドツボにはまってしまった。
しかし,「マカロニ」そのものを調べてみると,案外単純であった。

日本農林規格(JAS)には「マカロニ類」の規格が定められており,最終改正された平成25年の資料(*2)には,次のように記載されている。

マカロニ類は、デュラム小麦のセモリナ等の原料小麦粉に水を加え、練り、マカロニ類成形機から高圧で押出して製麺しためん類である。JAS規格の基準では、原料に使用する小麦として、デュラム小麦のみとしている。また、うどん等とは、使用される原料小麦粉及び製造方法等が異なる。

押出し機から高圧で押し出される際の鋳型を変えることにより、線状、円筒状、シェル状のもの等、様々な形状のものが作られている。日本ではめんの太さや管状、棒状、帯状など形状により、「マカロニ」、「スパゲッティ」、「バーミセリー」、「ヌードル」の4つに分類される。


何と,スパゲッティも「マカロニ類」だったとは!
マカロニは,やはり「めん」であった。

参考資料
*1 ウィキペディア「麺」
*2 農林水産省 農林物資規格調査会総会 平成25年3月22日 資料5 日本農林規格の見直しについて「マカロニ類」

越前大野 ハーフマラソンと酒

2017-06-01 00:05:23 | 酒食
先週末に,第53回越前大野名水マラソンに出場した。
3月の和倉マラソンで自己新を更新できなかったので,今秋シーズンの前にもう一回走って自分の走りを確認したかったからだ。
このマラソン(ハーフ)は例年5月第4週日曜に開催されており,3月でもエントリーできるおそらく唯一の夏前の大会(ハーフ)ではないかと思う。

夏前とはいえ,5月下旬は暑い。
昨年も出場したが,ゴールする頃には30℃近くまで気温が上がっており,熱中症の一歩手前かと思った。
給水所が多いので助かるが,暑さに強くない方にはあまりおすすめできない大会である。

今春は花粉症が長引き,和倉マラソン後はゴールデンウィーク明けまで全く練習できなかった。
とりあえず完走できるかどうかの手応えをつかむために,大会の前週に20kmジョグをやってみた。
走り切れたし,体調も悪くない。
何とかなりそうだと思い,とりあえず1時間半の目標設定で当日臨んだ。
当日は比較的涼しく,曇りで時折陽が射す程度の良好なコンディションであったせいか,目標は達成できた。

今回,ハーフマラソンのほかに,もう一つ越前大野を訪れる目的があった。
それは,大野の銘酒を調達することである。
福井県の酒では「黒龍」や「梵」が有名であるが,上原浩氏の著書(純米酒を極める)に大野の酒「花垣」が紹介されていたことと,昨年に買った「真名鶴」がなかなか良かったので,今回は「花垣」を中心にいくつか買って帰ろうと思っていたのである。

ゴール地点の大野市役所から北に約500m行くと,大野市の観光拠点「結ステーション」がある。
ここには大野の酒が勢揃いしているようだ。

まずは「花垣」。
私は基本的に純米酒の60%前後精米の旨口を好んで飲んでいるが,ここでは「超辛純米」と書かれたラベルが目についた。
完全発酵させて日本酒度+12を目指し,その味わいは軽くドライで味切れのいいものだが,米のうまみをしっかり残し,味幅も感じられる,というもの。
完全発酵させたら,どれくらい米の味が残るのか興味があり,まずはそれを買った。
そして普通の「純米」も1本。

大野には「花垣」のほかには「真名鶴」「源平」「一乃谷」の銘柄があるが,今回は「源平」の特別純米も買ってみた。

さて,帰宅後の飲み比べ。

「花垣 超辛純米」は器に注いでみると,結構黄みが強かった。
見た目から想像するに,味が濃いだろうと思っていたら,穏やかな芳香と後味のすっきりさに驚いた。
確かに辛いが,しっかり米の味も残っている。
謳い文句は嘘ではなかった。
超辛口で有名な奈良の「春鹿」や岐阜の「三千盛」とは,似て非なるものと思った。

「花垣 純米」も黄みが強く,超辛に比べればずいぶん甘味が残っているが,全然甘ったるくない。
酸味とのバランスがよく,ふうわりした感じが「綿屋」に似ていると思った。
和食全般に合う食中酒に適していると思った。
「花垣」はどちらも味切れがよく,余韻が少ないと思われるかもしれないが,次に何かを飲み食いするのに邪魔しないので,どんどん盃が進みそうな酒だ。

「源平 特別純米」は複雑な味の酒だ。
通常の仕込みは三段仕込みだが,これは三段階で仕込んだ上にもう一度三段乗せて醸した,六段仕込みが謳い文句である。
香気や甘みが凝縮されているが,麹の味も結構強く,後味が残る感じだ。
「花垣」とは対照的な味で,クセの強い酒を好む方にはよいだろう。

昨年飲んだ「真名鶴」は,どちらかというと「花垣」寄りの印象だったと記憶しているが,同じ地域の酒でも随分味わいが違うものだ。
「一乃谷」も買っておけばよかったと思ったが,それはまた次の機会にしよう。

熊本の酒

2017-05-31 08:12:42 | 酒食
3月に,10年ぶりに熊本を訪れた。
震度7が2回観測されたあの大地震から1年近く経っていたが,街にはその形跡はほとんど見られなかった。
しかし,裏通りに入るとブルーシートが屋根に掛けられたままの家が散見され,今なお大地震の爪痕が残っていることに心が痛んだ。

さて,九州南部では酒と言えば焼酎のこと。
熊本では米を原料とした球磨焼酎が一般的であろう。
日本酒はと言えば,「美少年」ぐらいしか知らなかった。
その「美少年」は,三笠フーズによる事故米不正転売問題に関連して,その醸造会社が破産したので,もう存在しない銘柄だと思っていたが,「美少年」ブランドは強かったのか,破産前に全く別の醸造会社に事業譲渡され,銘柄は存続していることを知った。

夜に通町界隈で熊本の食材を楽しめる居酒屋を探し,入ってみた。
目当てはもちろん馬刺しと日本酒。
福岡や佐賀にはよい酒がたくさんあるので,そのいくつかは熊本でも飲めるだろうと思っていた。

すると,あるではないか。
熊本の地酒が,何種類も。

まずは「れいざん」を注文してみた。
柔らかい味であった。
「美少年」は後味にくどさが残るように記憶していたので,それに比べるとずいぶんすっきりしている。
熊本酒もなかなかよいではないか。

次に,「泰斗」を注文してみた。
これもすっきりしていたが,「れいざん」よりは後味が残る感じ。

その後は山形や新潟の酒に走ったが,それらと比較しても熊本の酒は遜色なかった。

次の日,角打ちをやっている酒屋へ行って,いろいろ試飲してみた。
熊本の酒でオススメを聞いてみたところ,「香露」がいいと聞いたので,その特別純米を熊本駅界隈のお土産屋さんで見つけたので買ってみた。

帰宅後,冷蔵庫に入れ,翌日飲んでみた。
とても香りがよく,柔らかい味。
後で知ったが,「香露」を醸造している「熊本県酒造研究所」は,吟醸酒造りによく使われる熊本酵母(9号酵母)を分離・提供している蔵である。
山田錦を35%まで研いて熊本酵母で造った酒(YK35)は,かつて新酒鑑評会で金賞を総なめにしていたらしい。

熊本の酒も侮れないことを知った,熊本訪問であった。

I.P.A.

2016-02-07 20:41:57 | 酒食
昨年から酒屋でよく見かけるようになったI.P.A.。
「イパ」って何だろう?と思っていたら,これはIndia Pale Aleの略だと後で知った。

インディア・ペールエールとは,昔インドがイギリスの植民地だったころに,インドに滞在するイギリス人にペールエールを送るために造られたものであり,海上輸送中(当時は長い船旅だった)に傷まないよう,防腐剤の役割を持つホップを大量に投入したため,香りと苦みが非常に強い。

エールラガーと異なり上面発酵で醸造される。
大麦麦芽を使用し,酵母を常温で短期間で発酵させるため,複雑な香りと深いコク,フルーティーな味を生み出すビールである。
エールの中でも淡い色の大麦麦芽を使用して醸造されたものは,ペールエールと呼ばれる。
日本で生産されるビールのほとんどはラガースタイルなので,ラガーを飲み慣れている人からすれば,エールはクセの強いビールと思われるであろうが,私は結構好きである。

昨年は,サントリーからクラフトセレクトシリーズが限定醸造されており,順番に飲んでいたので,気になっていたI.P.A.がVol.8に登場すると,早速1本買って飲んでみた。

濃い!それにとっても華やかな香り!

とても気に入って,あっという間に飲み干してしまった。
その後,6缶パックを買って飲み,それでも足らずにケース買いしてしまった。

しかし,同じ味ばかりでは少々飽きてきたので,ほかのI.P.A.も飲んでみた。

地ビール醸造の老舗,長野県にあるヤッホーブルーイングから「インドの青鬼」が出ていたが,それがI.P.A.だとは気づいていなかった。
こちらを飲んでみると・・・何と蠱惑的な香りであろうか。
そして後味のホップの苦みが強烈。
サントリーよりクセになる味だ。

次に,滋賀県にある長浜浪漫ビールから出ている「NAGAHAMA IPA special」を飲んでみた。
こちらもシトラスホップの香りが強烈。
「インドの青鬼」と比べるとやや上品な感じだろうか。
アルコール分が6%と,「インドの青鬼」の7%に比べて低い分,ソフトに感じたのかもしれない。(サントリーは6.5%)

「インドの青鬼」と「NAGAHAMA IPA special」は甲乙つけがたいが,クセが強烈なため,I.P.A.を飲んでみたいと思われる方は,サントリーから入るとよいと思う。
(ただし限定醸造なので,もはや入手困難かも)

I.P.A.を飲み始めたら,新ジャンルに戻れなくなってしまった。
立春を過ぎても,フトコロ具合は真冬のまま・・・

「グルメ」ということ

2015-12-18 08:40:52 | 酒食
「グルメ」とはフランス語の"gourmet"に由来しており,カタカナ日本語としてもずいぶん定着してきた言葉である。
しかし,その意味が正しく伝わっていないことがずっと気になっている。

"gourmet"とは,元来ワインの鑑定士や商人の召使い*という意味から始まり,ワインに精通している人,ひいては料理全般に精通している人を指すようになった。
日本語の「食通」とほぼ同義である。

「食通」とは,大辞林(第三版)によれば「おいしいものをたくさん食べていて,おいしいものについて詳しいこと。また,その人」とあるが,「おいしい」には人の主観が含まれるので,大辞泉(デジタル版)にある「料理の味や知識について詳しいこと。また、その人」の方が明快である。

ここで,「おいしいものを食べる人」の類義語に「美食家」という言葉がある。
こちらは「ぜいたくでおいしいものばかりを好んで食べる人」という意味であり,その料理の値段や味には価値を見出すが,その料理や食材に対する知識については大して関心をもたない。
料理全般に対する知識に優れる「食通」とは似て非なるものである。
また,食べるという行為を趣味として楽しむ人を「食道楽」という。
このように,食の享楽を求めたり,食い意地の張っているような人を,フランス語では"gourmand"(グルマン)と表し,"gourmet"とは明確に区別されている。

日本語の「グルメ」には"gourmet"と"gourmand"が混同されている上に,人ではなく料理そのものに対しても用いられている。
この場合の「グルメ」とは贅沢料理や高級食材を用いた料理のことを指している。
おいしいこと自体にランクはない(好みにはランクはある)はずだが,安い食材を使った料理を表す「B級グルメ」という言葉に,「グルメとは本来高級なもの」といった意識が透けて見える。
つまり,「グルメ」は料理や食材の一部に過ぎない「高級品」のみが対象にされている傾向があると感じており,それが健全な食生活を営むことを阻害しているのではないかと考えている。

例えば,ステーキ。
松阪牛などの高級和牛の霜降り肉は確かにおいしいが,たいていの店では付け合わせの野菜が貧弱であり,品質的にも栄養的にも肉と釣り合っていない。
スーパーモデルにずだ袋を持たせるようなものだ。

また,今の時期はカニやブリなどが冬の味覚として人気が高いが,冬にはネギやホウレン草,大根などの冬野菜もおいしい。
冬になると,露地もののホウレン草はミネラルが豊富で甘みを有することから,特に寒い日の夕採りものがあれば食べたくなる。
大根はブリとの相性は抜群で,みずみずしい新鮮なものをすり下ろし,身の照り焼きやカマの塩焼きにたっぷり添えて食べると,ブリ自体の旨みも増し,胃もたれも起こさない。
ブリのアラと大根を一緒に煮るブリ大根は,ブリの旨みを十分に吸った大根が主役になるが,スカスカの大根を使ってはおいしくならない。
新鮮な大根の甘みが,ブリの旨みと味の相乗効果をもたらすのであろう。

いわゆる高級食材というものは,確かにおいしい。
しかし旬のものにも,安くておいしいものはたくさんある。
「新鮮な旬の食材をつかってその味を最大限に引き出すよう適切に調理して食べる」
それが"gourmet"ということではないだろうか。

「和食」が世界無形文化遺産に登録されているが,決して日本の豪華料理が評価されたわけではない。
この"gourmet"への意識を高めるによって,「和食」の評価がますます上がり,新鮮な旬の食材の需要が増す。
そこに,零細な日本の農業が持続的に発展する鍵があるのではないかと考えている。

<参考資料>
*語源由来辞典,http://gogen-allguide.com/