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阪神間で暮らす-2

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

「拉致問題は創作」発言、不倫問題……

2018-06-10 | いろいろ

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「拉致問題は創作」発言、不倫問題……新潟県知事選で池田候補のデマを流した者は公職選挙法違反!?

 池田候補が「北朝鮮の拉致は創作」との論文を書いたとのデマが拡散


 世界最大級の東京電力「柏崎刈羽原子力発言所」の再稼動はもちろん、安倍政権の命運も左右すると見られている「新潟県知事選」(6月10日投開票)が、デマ情報が飛び交う何でもありの選挙戦となっている。

 6月8日18時半の新潟駅前での「池田ちかこ×市民大街宣」では、元経産官僚の古賀茂明氏や慶應義塾大学名誉教授・金子勝氏らがスピーチする中、元拉致被害者家族会事務局長で元東電社員の蓮池透氏が柏崎刈羽原発を再稼動すべきではないと訴えた後、こんな告発もした。

「たぶん向こうの陣営を応援する人だと思うのですが、とんでもないデマ、フェイクを流しているのです。池田千賀子さんは『拉致問題は北朝鮮の創作だ』と言っていたと。そんなバカなこと、誰が言うのですか。地元ですよ、池田さんは。旦那さんはうちの弟と同級生ですよ。そんなふざけたことを言うわけがないんです。これはもう、法的にも問題だと私は思います」

 ネット上では「池田ちかこ 新潟知事選候補『北朝鮮の拉致は創作された事件』(1997年の論文より)」といった情報がツイッターを中心に拡散。

 しかし、その論文が掲載されていたという『月間社会民主』1997年7月号には池田候補の名前すら登場しないし、これまでもそのような発言をしたことはない。蓮池氏が言う通り、虚偽(ウソ)の情報を流すことを禁じた「公職選挙法」に違反する可能性は十分にある。


 「池田候補の下半身ネタを文春が報じる」と花角候補支援団体代表が虚偽の情報


 さらには、花角陣営の確認団体「県民信頼度ナンバーワンの県政を実現する会」の長谷川克弥・代表代行が6月6日の県知事選対応の会合で、相手候補の池田氏のデマ情報を流して、地元新聞の記事(6月7日付『三条新聞』)が報じたこともあった。問題発言を紹介した新聞記事は以下の通り。

「(花角陣営の確認団体である)実現する会の長谷川代表代行は情勢を交えながら支援を要請。(中略)『(相手候補のことで)文春が選挙後に出るようだ。また、下半身の話だ。そんなことになったら、また選挙になるではないか』など、危機感や不満をぶちまけるように話し、『花角さんをぜひ新潟県の知事にして頂きたい』と重ねて求めた」

 しかし、これもまったくのデマだった。都知事選で落選した鳥越俊太郎氏の週刊誌報道を見てもわかるとおり、女性問題のネタをつかんで事実関係に間違いないと判断すれば、選挙期間中であっても記事として掲載しても法的に問題はない。あくまで虚偽(ウソ)を選挙中に流すことだけが公職選挙法で禁止されているからだ。


 悪質なデマの流布は公職選挙法違反の可能性あり!?

 そして「週刊誌が池田氏の不倫問題を記事にしようとしている」という情報が流れたため、池田氏の選挙事務所は警戒したが、結局『週刊文春』から問い合わせは一切なく、今週発売号でも一行も載ることはなかった。

 米山隆一前知事の女性問題を掲載した『週刊文春』の名前を出しながら「池田氏の下半身ネタを掴んだ」と話せば、少なからぬ人が鵜呑みにしても不思議ではない。しかも『週刊文春』の編集長と菅官房長官が懇意なのは有名な話で、野党系候補の池田候補のスキャンダルを血眼になって探していてもおかしくない。

 このことは極めて悪質なデマと言わざるをえないし、拉致問題創作のデマと同様、公職選挙法違反となる可能性は十分にあるだろう。6月10日投開票の新潟県知事選は、「デマ情報を流してでも県知事選に勝利しよう」という手法が通用するのか否かを占う選挙でもあるのだ。

<取材・文・撮影/横田一>
 ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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公文書を問う 民主主義の原点 改ざんなんて

2018-06-10 | いろいろ

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公文書を問う 民主主義の原点 改ざんなんて

 森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん、交渉記録の廃棄。加計学園の問題では、国ではなく、愛媛県の文書で新たな事実がわかった。公文書管理法制定に尽力した福田康夫元首相が、朝日新聞のインタビューに応じた。

 「記録を残す」とはどういうことか。新しい法律ができたとします。それはどんな社会情勢の中で、どんな議論を経てできたのか。国民がその時々の政治や行政を評価するためには、後々まで残る正確な記録が必要になる。それが選挙では投票行動につながり、政治家が選ばれ、政策が決まっていく。正しい情報なくして正しい民主主義は行われない。記録というのは民主主義の原点で、日々刻々と生産され続けるのです。

 別の言い方をすれば、保存文書が歴史を作り、国家を形成する。小さな石を積み上げて石垣を造っていくようなもの。日本という国は一体どういう国かといったら、そういうことの積み重ねの成果ではないでしょうか。

 公文書管理法の制定に向けた準備を進めていた当時、なかには都合の悪い文書は作らない人たちもでるかなとは考えた。だがまさか、改ざんするなんて想像もしなかった。改ざんは、びっくりだね。

 国会では政府が事実を小出しにし、また新たな事実が発覚する、ということが繰り返されている。いつまでも果てない議論の責任は追及する野党の側にあるのではありません。原因をつくった政府が責任を持って解決することを目指さなければならない。

 財務省の文書改ざんのような「事件」が起きたら、まず担当する大臣が「責任を感じます。徹底的に解明します」と言わなければならなかった。自分のことじゃないような顔をしていたのは残念。


記録さえあれば 歴史の拡大解釈起きにくく

 今から30年前、日本では見つからなかった戦時中の日本の写真を米国の国立公文書館で見つけたことをきっかけに、記録の保存ということに関心を持ちました。立派な建物にきちんと整理保存してあるのに感動したわけです。

 一方、日本はどうか。2007年に年金記録の紛失が明らかになりました。薬害エイズ問題では、90年代後半に厚生省(当時)のロッカーに資料が埋もれていたこともあった。それほどに公文書管理は軽んじられていたのです。

 政府自身はむしろ、都合の悪いことはあまり残さない、残したくないという意識がずっと働いていたのかもしれない。国民のためを考えるのでなく、行政が自分たちに都合のいいように記録を扱ってきた。

 終戦時に陸軍省が都合の悪い資料を燃やした過去もある。記録さえ残っていれば変な袋小路に入らなくて済むのに、わずか70~80年前の戦前・戦中の記憶や出来事をめぐって様々な解釈が生まれ、その揚げ句、ヘイトスピーチなどの問題も生じている。きちんとした記録さえあれば歴史の一部の拡大解釈や過小評価は起きにくくなる。未来の人たちの負担を減らすことになります。

 外交にだって影響します。尖閣諸島や竹島などの領土をめぐる対立をみても記録の重要性がわかるでしょう。「日本の国立公文書館にいけば、正確な記録がある」と世界が考えるようになり、誠実に事実を積み重ねてきた国ということになれば、日本は信用される国になります。

 森友学園の文書改ざんをめぐっては、政権への配慮、付度などということが言われています。官邸の力があまりに強すぎ、政官のバランスが少し悪くなっているのではないでしょうか。加計学園をめぐる総理秘書官らの言動も、いまの官邸の雰囲気を表している。皆ちょっと気持ちが高揚しちゃっているのではないかな。

 秘書官というのは総理が何を考えているかわからないまま勝手に動くなどということはできない。でも意向さえ把握できれば、細かい確認はしなくてもその方向に合わせて動くことになる。だからトップリーダーはささいな言動でも、それが部下にどんな影響を与えるのかを常に考えないといけないですね。


政治家だってむちゃ言えない

 今回、様々な「事件」を通して、公文書がいかに大事な資料であるかということが国民に知られた面はあります。これを機会にい新しく公務員になる人たちには、公文書管理法の意味や目的について教育をしっかりしてほしい。セクハラ問題でもわかるように、省庁の幹部クラスには社会の常識やモラルに鈍感な人もいる。若い人たちは教育すればよく理解する。

 国に公文書の専門家を育てることも必要でしょう。各省からいその行政分野に詳しい人が公文書館に出向、転籍する。そうして育てた人材の意見が重用されるなど、きちんと仕組みを考えた方がいい。罰則も議論されていますが、実は法制化を進める段階ではあえて罰則はつくらないことにしたんです。あまり厳しくやりすぎると、最初からそうした文書を作らなくなってしまうことを心配した。結局はモラルの問題。まず第一にやらなければいけないのは最初の教育です。罰則よりもまずは教育をしわかりすることいそれが一番です。

 公文書の管理で行政への不当な政治の要求や圧力も排除できるんです。公務員が「違うんじゃないですか」「記録に残りますよ」と言う。そうすれば政治家だってむちゃなことは言えませんよ。
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新潟県知事選の結果次第で政局も 奢る政権には鉄槌が必要

2018-06-09 | いろいろ

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新潟県知事選の結果次第で政局も 奢る政権には鉄槌が必要

 安倍政権の面々の頭の中をのぞいてみたいものだ。世論を完全に見くびっているのか、あるいはオツムの程度によるものなのか。政権の恐るべき非常識が一段とエスカレートしている。

 森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題は、まるで決着がついたかのありさまである。改ざんの端緒をつくった安倍首相は一貫して頬かむりで、省トップの麻生財務相は続投。閣僚給与1年分170万円を自主返納するといったって、政界きっての資産家の麻生にとっては痛くもかゆくもないだろう。内部調査で改ざんそのもののきっかけを明らかにしないまま、理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官を中心とした関係職員20人にすべての責任をなすりつけ、疑惑の幕引きを図ろうとしている。

 政治評論家の野上忠興氏はこう言う。

「公文書改ざんや虚偽答弁によって1年以上も国会審議は空転し、主権者である国民はないがしろにされ、自殺者まで出てしまいました。マトモな神経であれば道義的責任を取って辞任している。羞恥心はないのか。安倍首相と麻生財務相に聞いてみたいものです」

 ウソにウソを塗り重ね、デタラメを並べてその場しのぎ。そんなメチャクチャで無理筋を通し、やりたい放題なのは、国民をナメ切っているからだ。

「どうせすぐ忘れる」――、相も変わらずそうタカをくくっているのである。

■蚊帳のソト外交で目くらまし

 ハレンチ体質の増長に加担しているのが、いまだに安倍にベッタリと寄り添う大メディアだ。財務省の調査報告書では、昨年2月に安倍が国会で「私や妻が関与していれば首相も国会議員も辞める」と強弁して以降、改ざんが始まったと結論付けている。にもかかわらず、親密な大手紙は「佐川氏が改竄主導」「佐川氏答弁が契機」などと、官邸のシナリオに沿って佐川氏を断罪し、財務省を糾弾する。政治的中立性を口実に電波停止で揺さぶられるテレビもそうだ。政権寄りのコメンテーターに官邸の意向を代弁させ、論点を巧妙にズラす。そうして、世論の7割以上が政権に不審の目を向けながら、内閣支持率3割の壁は破られない異常な状況が続いているのである。

「自民党は世論の傾向を右寄り3割、左寄り2割、無党派層5割とみています。無党派層を少しでも引き寄せれば、政権基盤は安定する。そこで取り込まれているのが貧困化に不満を抱く若年層なのです。現状打開を訴え、次から次へと新しいことをやろうとする安倍政権の主張を真に受けてしまう。新聞購読率が低いことなどからウソやデタラメを見抜けず、安倍政権を支持する悪循環に陥ってしまっています」(立正大名誉教授の金子勝氏=憲法)

 追い詰められるとハデに動き回る性質の安倍は、またぞろ外遊を詰め込み、「核・ミサイル、何よりも大切な拉致問題が前進するようトランプ大統領と擦り合わせ、米朝首脳会談を成功させたい」と大口を叩いて米ワシントンへ飛び立った。急展開する北朝鮮情勢にまったく関与できず、蚊帳のソト外交を露呈しているのに、どうやって成功させるというのだろうか。


組織戦を展開する与党は徹底的な“安倍隠し”

 国民をトコトン愚弄する狂乱政権がのさばり、自民党も野放しにしているのは、政権を直撃する国政選挙がないからだが、鉄槌を下すチャンスは目の前にある。終盤戦に突入した新潟県知事選(10日投開票)だ。野党5党が推薦する元県議の池田千賀子候補(57)と、自公が支持する前海上保安庁次長の花角英世候補(60)による事実上の一騎打ちの構図で、情勢はまさに横一線。デッドヒートを繰り広げている。

「安倍政権への審判」と位置付ける野党は幹部が続々と現地入りし、2016年の参院選以降に定着した野党共闘の強みをフル稼働。東電柏崎刈羽原発の再稼働問題の争点化とともに、モリカケ問題をはじめとする一連の疑惑を訴えて猛攻をかけている。6日は立憲民主党の枝野代表が街頭に立ち、「永田町、霞が関を向いて県政ができるのか」「(官僚出身の)上からのリーダーか、皆さんの暮らしに寄り添った草の根からのリーダーを選ぶかが問われている」と声を上げた。一方、与党も総力戦で臨んでいるが、徹底的な“安倍隠し”で動いている。この日は二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長、塩谷立選対委員長が揃って新潟入りするも、表舞台を避け、別行動で企業や支援団体回りに徹した。

 現地で取材するジャーナリストの横田一氏がこう言う。

「与野党対立構図の排除を狙う花角陣営は政党色を消そうと『県民党』を掲げていますが、実態は自公与党の丸抱え。地元選出の“魔の3回生”が告示翌日に開かれた建設業協会の会合に参加してマイクを握り、〈勤務時間中にぜひお願いします〉と露骨な期日前投票を呼び掛けてヒンシュクを買っていましたが、それほど自公はなりふり構わぬ組織戦を展開しています。反原発で浸透を図る池田候補も善戦しているので、投票箱を閉じる瞬間まで結果が読めない大接戦になっています」

 自民党きっての人寄せパンダの小泉進次郎筆頭副幹事長が応援に入っていないが、「二階幹事長も出席した党副幹事長会議で、副幹事長は全員新潟入りするように要請があったようです」(自民中堅議員)というから、最終盤までどうなるか分からない。

■「山が動いた」参院選大勝は岩手発

「新潟県知事選は野党共闘で誕生した前知事の辞職を受けたもので、本来なら与党が“勝てる選挙”。この勝敗は間違いなく政権の浮沈を左右することになる。統一地方選を来春に控える地方の自民党員の不満は、世論同様に高まっています。与党系候補が敗北すれば地方の“安倍離れ現象”が加速するのは必至で、来夏の参院選への影響は避けられない。1989年の参院選で旧社会党が大勝を収め、土井たか子委員長(当時)が〈山が動いた〉と名言を残しましたが、その口火を切ったのが『岩手ショック』と呼ばれた87年春の参院岩手補選でした。中曽根政権がブチ上げた売上税導入への反対を訴えて勝ち、世論を根底から突き動かす流れをつくったのです。与党が新潟県知事選を落とし、内閣支持率3割を割り込めば、9月の自民党総裁選に向けた党内政局が一気に動く可能性がある。安倍首相の出馬そのものが危うくなるでしょう」(野上忠興氏=前出)

 日米首脳会談後にカナダで開催されるG7首脳会議へ向かう安倍は、11日までは外遊浸り。投開票日は日本を留守にするが、与党系候補が勝てば「信任を得た」と胸を張り、負ければ「地方選にいちいちコメントしない」とか言って知らんぷりを決め込むのは目に見えている。しかし、大惨敗に追い込まれればそうはいかない。新潟で国民の良識を突きつけなければウソだ。
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安倍首相大慌て!トランプ心変わりの深刻度

2018-06-09 | いろいろ

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安倍首相大慌て!トランプ心変わりの深刻度 日米首脳会談が「分かれ道」になる可能性
 ダニエル・スナイダー : スタンフォード大学教授

 安倍晋三首相が米国に向かっている。2016年11月にドナルド・トランプが大統領選に勝って以来、4回目の米国訪問である。夥しい数に上る電話での会話も数えると、両首脳間の接触のレベルは日米関係史においても前例のないものとなる。

 たが、これまでのすべての米国訪問とは異なり、6月7日に首都ワシントンで予定されている安倍・トランプ会談をめぐっては、わらにもすがる思いといった空気が感じられる。安倍首相は、トランプ大統領が北朝鮮の指導者、金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談を決断したことに明らかに危機感を募らせ、4月にフロリダに駆けつけた。

 そして首相は、北朝鮮の完全な非核化という目標の実現に取り組み、いわゆる「最大限の圧力キャンペーン」と呼ばれる北朝鮮の経済制裁を固守するという新たな誓約をトランプ大統領から取り付けることに成功した。


 「こんなにすぐワシントンに来るのは博打」

 トランプ大統領が6月12日の首脳会談を突然キャンセルした際には、日本の政府当局者の間には祝賀ムードが漂った。だが、ここにきて米朝首脳会議の予定が「復活」し、トランプ大統領は「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄 」(CVID)に早急に向かわせるという合意目標を公式に取り下げた。「最大限の圧力」の話は驚くほどの速さで放棄された。そのうえ、トランプ政権は日本や欧州との貿易摩擦をエスカレートさせ、結果によっては日本車の対米輸出に巨額の関税を課すことにつながりかねない調査も始めている。

 「こんなにすぐにワシントンに来るのは安倍氏にとっては博打だ」と、ワシントンにある有力シンクタンク、ブルッキングズ研究所で日本研究チェアを務めるミレヤ・ソリス氏は指摘する。

 「安倍首相がやって来るのは、6月12日会談を歴史的な成功と呼べるようにしたいというトランプ大統領の気負いが結果的には不利な取引を招いてしまうのでは、という懸念があるから。これによって首相のトランプ大統領との個人外交がもうほとんど崩壊に近づいていることを露呈することになるかもしれないが、それも覚悟のうえだろう」

 自らの首相の地位を危うくするかもしれない不祥事の数々への対処を続ける中、安倍首相が自国の国内政治情勢を考慮に入れていることは明らかだ。「安倍首相は国内の『観客』に向けて、できることはすべてやっていることを示す必要がある。自分は日本のために立ち向かっているのだ、と自ら保証するために」と、テネオ・インテリジェンスおよび笹川平和財団の日本アナリスト、トバイアス・ハリス氏は言う。

 だが安倍首相は、態度を毎日のようにくるくる変えるトランプ大統領に対し、自分はいまだに影響力があると信じているのかもしれない。首相は大統領に、日本に到達する可能性のある短・中距離ミサイルの脅威、化学兵器や生物兵器といった、その他の大量破壊兵器の脅威、そして日本との関係正常化の前提条件としての拉致問題の解決という、中核となる安全保障上の利益をなおざりにしないよう、説得を試みるだろう。

 表面上は、安倍首相は成功しているかのように見えるかもしれない。「トランプ大統領が金委員長に拉致被害者問題を持ち出す可能性は高いと思う。大雑把なやり方でできるのだろう」と、元対イランおよび北朝鮮政策担当上級顧問で現在はテレグラフ・ストラテジーズのコンサルタントを務めるフェリアル・サイード氏は話す。

 「トランプ大統領にとっては何も犠牲にする必要がないし、大統領はこれを利用して北朝鮮に経済支援をするよう日本に圧力をかけることもできる。一方、安倍首相は日本に帰ってこの課題を議題に載せることに成功したと言い張ることができる」


 トランプは米朝会談実施に超意欲的

 安倍首相がトランプ大統領の対北朝鮮政策を形作ることができるという考え方は、首相官邸にとってかけがえのない信念だが、これは大方において幻想である。米朝首脳会談に向けた準備に詳しい数多くの情報筋によると、トランプ大統領はこの会談を行うことを固く決意している。板門店(パンムンジョム)非武装地帯の「統一閣」会議場で北朝鮮側と会談を続ける米国の交渉担当者が共同声明に向けての進展が大変遅いと報告しているにもかかわらずだ。

 ワシントンのある消息筋が語ってくれたところによると、「ホワイトハウスは交渉チームのCVIDを定義しようという努力に反発を繰り返している。ノーベル賞に猪突猛進しているトランプ大統領がCVIDのいずれにも関心がないからだ」。

 実際、新たに浮上してきた首脳会談の中心的「合意」は、朝鮮半島における戦争状態の終結宣言に署名し、1953年に米国の国連軍総司令官と中国および北朝鮮側の同等地位の各司令官との間で締結された休戦協定を事実上終結させることだ。事情に詳しい情報筋によると、トランプ大統領は先週大統領執務室で訪米中の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長と会談した際に、すでにこの長年の要望に譲歩したということだ。この譲歩が何を意味するのか、はっきりとは理解していないようだったが。

 内部関係者が恐れるのは、この見返りとして何も得られなかったら、金委員長が北朝鮮に戻って、戦争状態終結の合意があるのに米国がなぜ半島に軍隊を必要としているのか、なぜ軍事演習を行うのかと問うことになるだろう、ということだ。制裁措置を維持する必要性も損なわれるのでは、という懸念もある。

 一方、日本の首相官邸と外務省の政府関係者は、国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務める強硬派のジョン・ボルトン氏がシンガポール首脳会議におけるこの種の取引を阻止するだろうという考えを崩していない。ボルトン氏は首脳会談中止を伝える大統領の手紙に関与していたようだ。だが、ワシントンの内部消息筋が伝えてくれたことには、これもまた幻想だ。

 首脳会談の準備は、マイク・ポンペオ国務長官の厳密な管理下にあり、その後ろに立つのがマイク・ペンス副大統領だ。金委員長および北朝鮮首脳陣との関与の過程は、ポンペオ国務長官が中央情報局(CIA)の局長を務めていた時代に始まり、CIAと、先週トランプ大統領と会談した朝鮮人民軍および情報機関の高官である朝鮮労働党統一戦線の関係者を繋ぐルートを通して行われてきたものだ。大統領執務室での金副委員長との会談においてはボルトン氏の不在が目立ったが、それはポンペオ国務長官が氏を会談から遠ざけていたためだと言われている。


 安倍首相が強く出るのはとてもリスキー

 ボルトン氏の個人的見解がどうであれ、「同氏は目立たないようにしている。ずる賢いだけに、政治資本を投資してシンガポールへと急ぐトランプ大統領を思いとどまらせることは、無意味で危険だということは自分でもわかっているからだ」と、あるワシントンの内部消息筋が教えてくれた。

 ボルトン氏は、北朝鮮政府との取引がすぐに崩壊し、その過程で自らの影響力も増すと計算しているのかもしれない。あるいは、自分の役割を駆使してイランとの緊張の高まりを推し進め、北朝鮮はより重要な前線から注意を逸らすものとして見ているかもしれない。イラク戦争に備えるジョージ・W・ブッシュ政権に起こったことを思い出すといい。

 安倍首相が北朝鮮に対する厳しい姿勢を強く要求した場合、衝動で動くトランプ大統領を苛立たせるだけで終わってしまうかもしれない。「トランプ大統領の動きを予測するのは気の弱い人には向いていない」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)国際研究センター所長で日本学者としても知られる、リチャード・サミュエルズ教授は話す。

 「トランプ大統領は、(廃棄に)短距離ミサイルを含まないうえに北朝鮮を核兵器保有国として事実上認める取引を米国政府が結ぶことによって日本の安全を損なうのではないか、と日本政府が恐れるのももっともな理由を与えている。安倍首相にはそれを未然に防ぐための切り札がほとんどない」

 安倍首相がトランプ大統領に、米国の集団安全保障へのコミットメントが明確でないことから、こうした種類の取引をされれば日本は自らの核抑止力を求めざるをえなくなるかもしれない、と伝えることも考えられる。「問題は、トランプ大統領がその意味を理解できないか、あるいは気にしないかもしれない、ということだ」とサミュエルズ教授。「日本政府は窮地に立たされている」。

 日米における北朝鮮に対する態度の差は、貿易緊張の高まりによって複雑化したり、拡大したりする恐れがある。「国家安全保障」という偽りの根拠に則ってすでに日本に対して行使されている鉄鋼・アルミニウム輸入に対する関税引き上げを欧州、カナダ、メキシコからの輸入に対しても推し進めるという決定は、米同盟国に警戒感を与えた。日本の当局者もこの世界貿易体制への挑戦に対し一斉に唱えられた反対の声に加わり、6月8、9日にカナダで開かれる先進7カ国(G7)首脳会談はこの話題で占められる可能性が高い。

 一部のアナリストの見解では、日本は新たな貿易戦争において特に「敵」とは見なされていない。トランプ政権のタカ派にとって、日本は北米自由貿易協定(NAFTA)交渉や中国との交渉と比べると優先順位が低い。だが、トランプ大統領は同時に、日本に対する見方として、1980年代の貿易戦争に深く根ざし、日本人が高級物件を買いあさっていた時代にニューヨークの不動産市場で培った経験で形作られた見方も明らかにしている。


 国内政治の圧力が双方をより衝突に向かわせる

 トランプ大統領にとって、「中国は略奪的だが本当の敵は日本」なのだと、日本で長年の経験を持つ米議会関係者は話す。「トランプ大統領にとって、日本はつねに敵だった。安倍首相は、それをゴルフクラブのプレゼントや自己卑下や特別な懇願によって1年間抑制できていただけだ。その抑制も効かなくなってしまった」。

 それぞれの国における政治的圧力は、両国トップをいっそう衝突に向かわせる可能性がある。「中間選挙を前にして、トランプ大統領は外交政策において大きな勝利を望んでいる。北朝鮮問題の行き詰まり状態の打開、そして貿易関係の揺さぶりがこれにあたる」とブルッキングズのソリス氏は話す。

 「一方、安倍首相にとっては、その逆が真なのだ。まじめに仕事に取りかかって、北朝鮮問題に本当に意義深い成果をもたらすこと、そして開かれた国際貿易体制を守ることが重要なのだ」

 安倍首相は、勝利の瞬間からトランプ大統領を受け入れるリスクを冒してしまったので、方向を変えるにはもう遅すぎるかもしれない。今回の首脳会談は、その投資に対するリターンの最後を飾るものになるかもしれない。

  

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辺野古新基地「グズグズの地盤」を見て見ぬふりする政府の異様

2018-06-08 | いろいろ

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辺野古新基地「グズグズの地盤」を見て見ぬふりする政府の異様

 7月から土砂の投入が始まるが…
半田 滋


 防衛省が進める、沖縄県にある米海兵隊普天間基地の、名護市辺野古への移設計画。世界的にも珍しいアオサンゴの群生地や、絶滅危惧種のジュゴンのエサ場を埋め立ててでも海上基地を建設する大規模公共事業だが、ここへきて地下に活断層が走るうえ、軟弱地盤でもあることが判明した。

 活断層の移動は阪神・淡路大震災や熊本地震の原因とされ、大規模地震が発生するおそれがある。さらに辺野古の軟弱地盤については「マヨネーズのような柔らかさ」との指摘もある。にもかかわらず、防衛省は地質に問題があることを承知しながら工事を進めており、無責任とのそしりは免れない。


 また「問題ない」と閣議決定

 辺野古新基地計画とは、沖縄県中部に位置する宜野湾市の人口密集地にある普天間基地を、北部の名護市辺野古に移転する計画だ。辺野古にあるキャンプ・シュワブを一部埋め立てて、巨大基地を建設する。3500億円ともいわれる費用は日本側が負担する。

 滑走路は1本から2本へ増え、また普天間基地にはない強襲揚陸艦が着岸できる岸壁と弾薬搭載エリアを併設し、基地機能は格段に強化される。単なる移設にとどまらず、事実上の新基地建設に近いため、「あらたな基地の提供は認めない」とする翁長雄志沖縄県知事らは強く反発している。

 埋め立て予定地に活断層が存在することを明らかにしたのは、琉球大学の加藤祐三名誉教授(地質学)。昨年11月、キャンプ・シュワブゲート前で市民らに説明した。

 加藤氏によると、新基地予定地近くの陸上部から海にかけて「辺野古断層」と「楚久断層」という2本の断層があり、この2本の断層の延長線が海中で交わった先に、水深50mという深い谷が出てくる。この50mの落ち込みは、建設が予定されているV字滑走路のちょうど先端部にある。

 加藤氏は「何度か断層が動いて50m以上もの落差ができたのだと思う。活断層である可能性は高い」と説明。活断層だった場合、地震や津波の発生源になり得るとして「弾薬庫や燃料庫があれば、あるいは核が持ち込まれたら、大惨事になりかねない」と警告した。

 米カリフォルニア州やニュージーランドでは法律で、また徳島県では条例で、活断層の直上や周囲での施設建設を禁止もしくは制限しているという。

 沖縄タイムスと琉球新報の2紙が活断層の存在を速報すると、県内からあらためて建設中止を求める声があがり、沖縄選出の糸数慶子参院議員(沖縄の風)は政府見解を求めて、参院議長に質問主意書を提出した。

 すると、政府は昨年11月24日、「辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していない」とする答弁書を閣議決定。海底地盤の安全性については「問題ないものと認識している」と断定した。

 だが実は、建設予定地先の海底に50mの落ち込みがあることは、2007年8月に那覇防衛施設局(現・沖縄防衛局)が作成した環境影響評価方法書の中で、辺野古沿岸域を示した「地層断面位置図」「推定地層断面図」に明示されている。


 昨年2月から4月にかけて沖縄防衛局は、大型調査船「ポセイドン」を使って工事海域の地質調査を実施。50mの落ち込み部分を念入りに調査しており、危険性を認識している様子がうかがえる。

 先の答弁書で、政府は「辺野古断層」「楚久断層」の存在は認めながらも、既存の文献に活断層を示す記述がないことを根拠に「活断層とは認めない」と断定している。

 しかし、政府はポセイドンによる調査結果を公表していないばかりか、答弁書でポセイドンの地質調査にも触れていない。

 これは「朝ご飯は食べたか」と聞かれ、パンは食べているのに「ご飯(米)を食べた記憶はない」と答える、いわゆる「ご飯論法」ではないのかと疑いたくなる。データの隠ぺいや改ざんが日常化した安倍政権下で、正確な事実の提示を抜きにした閣議決定など到底、信用できない。


 置いただけでズブズブ沈む

 今年3月になって、政府がウソをついた疑いは確信へと変わる。

 辺野古新基地に反対する「沖縄平和市民連絡会」の北上田毅氏は、情報公開請求により、沖縄防衛局の地質調査結果の報告書を入手した。報告書には「辺野古断層」「楚久断層」について「活断層の疑いがある線構造に分類されている」と明記され、活断層の可能性が指摘されていた。

 報告書で公表されているのは、2014年から2年間、埋め立て予定海域の24ヵ所で実施した海底ボーリング調査と音波探査による地質データ。昨年のポセイドンによる地質調査は含まれていない。

 驚くべきは、活断層の疑いだけでなく、キャンプ・シュワブ東岸の大浦湾に面した埋め立て予定地の海底が「軟弱地盤」と書かれていたことである。「当初想定されていないような特徴的な地形・地質」「非常に緩い・軟らかい」と記述されている。

 地盤強度を示す「N値」は、なんとゼロ。強度を測る用具(重り、試験杭)を置けば、ズブズブ沈むほどの値だった。北上田氏は「マヨネーズの上にモノを置くような状態」という。

 辺野古の海底は、場所によっては、軟らかい砂や粘土が約40mも堆積している。大型構造物の基礎地盤にはN値50以上が必要であるにもかかわらず、複数の地点でN値ゼロ層と記載されていた。

 埋立工事は、まず捨て石を基礎に厚く敷き詰めてから、その上に最大で7000t以上にもなる巨大なコンクリートの函「ケーソン」を設置する。

 もちろん軟弱地盤の上に建てることは想定されておらず、ケーソンを設置する前に大規模な地盤改良工事が必要になる。北上田氏は「地盤改良には多額の費用がかかり、環境にも致命的な影響が出る」と指摘する。

 問題は海底の活断層や軟弱地盤だけではなく、地上にもある。辺野古新基地が完成した場合、「安全飛行に欠かせない」として米軍が規定した高さ制限に抵触する建造物が、新基地周辺に13カ所もあるのだ。沖縄防衛局が沖縄電力に対し、制限の高さを超える送電鉄塔など送電施設の移設を求めたことから判明した。

 そもそも普天間基地の移設理由は、基地が市街地の中心部にあり、米軍の基準では滑走路の延長線上に設置が認められていない小学校、保育所、病院などの建造物が18カ所もあること、周辺に約3600人の住民が生活していることが大きな要因になった。

 辺野古新基地が完成した場合、キャンプ・シュワブに隣接して建つ沖縄工業高等専門学校の校舎も米軍基準では違反となるが、米側が基準から外したので「問題はない」(沖縄防衛局)のだという。


 つまり、普天間基地で行われている「危険の黙認」を繰り返そうというのだ。問題や危険の解消のために移設するはずなのに、移設先でまた同じ問題を抱え込むことになる。

 辺野古新基地への移設計画は、「ずさん」という言葉以外、表現するのに適当な用語がみつからない。


 来月から土砂投入が始まる

 移設工事が終わるころには、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンの米海兵隊はグアムなどに移転しており、沖縄に残る実戦部隊は2000人規模の第31海兵遠征隊のみとなる。2006年の米軍再編で普天間基地の辺野古移設を日米で決めた後、米側の都合で2012年に合意見直しがあり、実戦部隊の国外移転が決まったからである。

 航空基地を必要とする実戦部隊の大半が消えるのに、移設計画だけは予定通りに進める。日本の公共事業のもっとも悪い一面を引きずる典型例が、辺野古新基地の建設計画といえる。

 防衛省は、昨年4月から埋立工事に着手した。早期に着手したのは、裁判に訴えてまで辺野古新基地の建設計画に反対する翁長県政に、反対断念を促す狙いがあるとされる。

 埋立工事では、新基地予定地の外周に砂利を投下して外枠をつくり、その中に土砂を入れて陸地とする。土砂の投入は早ければこの7月から開始される。

 軟弱地盤の改良工事だけでも、当初の計画にない巨額の出費を余儀なくされ、その負担は国民全体にツケ回される。「どんぶり勘定」とされる国発注の公共事業だけに、防衛省幹部は「見積もり違いなどによる価格高騰は承知の上」とうそぶく。

 例えば防衛省が、山口県の米海兵隊岩国基地の滑走路を沖合に1km移設する埋立工事を実施した際、費用は当初見込んだ1600億円から最終的には2400億円と1.5倍に高騰した。ただ、移設工事の間、岩国は「米軍特需」に沸いた。

 その後、防衛省が横須賀を事実上の母港とする米空母の艦載機を、神奈川・厚木基地から岩国へ移転することを打診した際、受け入れ反対を訴えた現職の岩国市長は政府が支援した容認派の候補に敗れ、受け入れが決まった。

 空母艦載機61機の移転は今年3月に終わり、岩国基地は航空機120機を擁する極東最大の基地となった。昼夜を問わず飛び続ける航空機の騒音はすさまじく、滑走路の沖合移設による騒音軽減の試みは水泡に帰した。いま、岩国市民は何を思うのだろうか。

 辺野古新基地の問題は、事業費高騰だけにとどまらない。軟弱地盤の土地改良を伴う新たな申請を沖縄県側がやすやすと認めるはずもなく、再び法廷闘争となるのは明らかだ。

 普天間基地から辺野古新基地に移転する予定の垂直離着陸機「オスプレイ」は、普天間配備から5年足らずの間に、死亡事故を含め2機が墜落・大破した。

 基地が沖縄に集中する限り、危険が去ることは決してない。埋立工事や米軍駐留に伴うやっかいな問題が「時間が経てば、いずれ収まる」と考える方がおかしい。


プロフィール

 
 半田 滋
 1955年(昭和30)年生まれ。
 下野新聞社を経て、91年中日新聞社入社、東京新聞論説兼編集委員。獨協大学非常勤講師。
 92年より防衛庁取材を担当している。
 2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。著書に、「零戦パイロットからの遺言-原田要が空から見た戦争」(講談社)、「日本は戦争をするのか-集団的自衛権と自衛隊」(岩波新書)、「僕たちの国の自衛隊に21の質問」(講談社)などがある。
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新潟県知事選での「女性知事いらない」応援演説

2018-06-07 | いろいろ

より

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新潟県知事選での「女性知事いらない」応援演説、花角英世候補も与党関係者も問題意識なし

 世界最大級の東京電力「柏崎刈羽原発」再稼動だけでなく、安倍晋三首相の総裁選3選も左右するとして注目されている「新潟県知事選」(6月10日投開票)。与党側候補者の花角英世氏の街頭演説(5月31日・魚沼市)では、応援に駆けつけた地元の商工会長が「新潟県に女性の知事はいらないんです!」と発言し、「女性蔑視だ」との反発を招いている。しかし、この発言は花角氏本人のものではない。花角氏はこのことについてどういう見解を持っているのだろうか?


 女性知事いらない発言」への見解について花角氏を直撃


 そこで6月2日、街宣車に乗り込む直前の花角氏に声をかけた。しかし、すぐにスタッフがブロックして筆者をさえぎる。そのまま街宣車の助手席に乗り込んだ花角氏に向かって、窓越しに「女性知事いらない発言についてどう思いますか」と声をかけ続けると、花角氏はようやく「覚えていない」と答えた。

 翌3日には『朝日新聞』新潟版が「魚沼の商工会長『女性知事は必要ない』」と銘打った記事を出し、さらに騒動は広がった。さすがに新聞で報じられれば、花角氏の記憶も蘇るだろうと思い筆者は再度直撃した。

――「女性知事いらない発言」についてはどう思いますか。

花角氏:誰の発言ですか。私、知らないのですよ。

――魚沼市の商工会長が5月31日に隣で話していましたよね。『朝日新聞』が報道しています。

花角氏:報道を見せてください。

――隣で聞かれていて、何も思わなかったのですか。

花角氏:「女性とか男性とかは関係がない。能力がある人こそ大切だ」とおっしゃったのではないですか。

 ここで星野伊佐夫県議(県連常任顧問)らスタッフが間に入って質問を遮った。花角氏の記憶は戻らないどころか、その脳内では応援演説内容の改竄が行われているようだった。

 さらに6月5日、3度目の直撃。車の窓越しに質問すると、『朝日新聞』の記事を読んだことは認めたものの、「女性知事いらない発言」の見解については窓を閉められ回答を拒否されてしまった。


 花角氏応援の娘さんの反応は……?

 実際の演説の内容は、今回の女性差別発言をいち早くツイッターで紹介した、フリーライターの畠山理仁氏が公開した動画を見れば一目瞭然だ。花角氏のすぐ隣で商工会長は、次のように訴えていた。


 「花角さん、経験もの凄く豊かです。副知事時代から商工会をすごく応援をしてくれています。新潟県には女性の知事は必要がない。経験豊かな花角さん、一つ、よろしくお願いしまして応援にさせていただきます」

 この時、隣で聞いていた元新潟県知事の泉田裕彦衆院議員(新潟5区)は苦笑しながら首を傾げたのに対し、花角氏は参加者に向かって一礼をするだけ。訂正や釈明をすることはなく、「花角氏も泉田氏もそのまま立ち去ってしまいました」(畠山氏)という。

 これと対照的な反応をしたのが、「応援にかけつけた」と話す花角氏の娘さんだ。6月2日の新潟市内での街宣で「むすめ」というタスキをかけて、道行く車に手を振っていた娘さんに声をかけた。


 「女性知事は新潟にいらない」発言を訂正するなり、「自分の考えとは違う」と説明するなりしたほうがいいのではないか、と聞くと「そうですね」とその必要性を認め、「ちょっと方法は考えさせていただきます。ありがとうございます」と簡潔だが明瞭な答えが返ってきた。


 現場の与党側関係者も、「女性知事いらない発言」に問題意識なし

 花角陣営に入っている選挙プランナー、三浦博史氏の得意技は、候補者の娘を露出させることだ。辺野古新基地建設容認へと変節をした仲井眞弘多・元沖縄県知事の選挙でも、年齢差のある相手候補に対抗すべく、タスキ姿の娘を登場させた。高齢の仲井真氏と娘が並ぶことで平均年齢を下げ、相手候補との年齢差をあまり感じさせないようにするという印象操作だ。

 今回の新潟県知事選でも「新潟初の女性知事を」とアピールする相手陣営の強調点(違い)を薄める狙いなのだろう。しかし“娘登場作戦”で見た目の若さや女性露出度をアップさせるだけで、娘さんのような若い女性の真っ当な感覚を取り入れる姿勢は皆無だった。

 6月2日の花角氏直撃の後、現場にいた三浦氏に「女性知事いらない発言」について聞くと、「有権者とのコミュニケーションを妨害しないでください」とだけ答え、発言については何も答えなかった。さらに『朝日新聞』の記事が出た6月3日、長岡市での街宣に同行していた柄沢正三幹事長(自民党県議)や星野伊佐夫県議にも同じ質問をしたが、「朝日の記事は読んでいない」と答えた。

 街宣の現場で多くの関係者に「女性知事いらない発言」について聞いてみたが、問題意識を持っていたのは(筆者が聞いた限りでは)花角氏の娘さんただ一人だけだった。


 相次ぐ女性蔑視の発言に野党側が反発


 一方、池田千賀子候補の陣営はこの発言に対し、一斉に反発した。選対本部長の菊田まきこ衆院議員が6月3日の街宣で「どこが(安倍首相が言う)『女性が輝く社会』なのですか。結局、経済界のリーダーはこんな感覚。『女なんか、いらない』という発想」と批判。同日に新潟市入りをした立憲民主党の蓮舫元民進党代表も、こう呼びかけた。

 「セクハラ被害者の訴えより加害者と疑われた部下を守る(麻生)財務大臣。『女性知事は必要ない』と与党候補を支援する演説で公言した商工会長。『男性の育児は子供に迷惑』と明言したり、『3人産んだほうがいい』と公言したりする自民党議員たち。もう、たくさんだ。変えましょう、社会を」

 野党幹部が池田氏の応援演説に駆けつけた6月2日には、国民民主党の大塚耕平共同代表が囲み取材でこう強調した。

 「与党の応援演説でそうした発言があったなら、与党としての謝罪が必要だ。知事選で女性に対する認識が露呈するなら、そのものが与党の体質を表している」

 身内に甘く、女性を蔑視、回答を求めれば「記憶にない」と答える。支援団体である商工会幹部の女性差別発言を黙認する花角氏と、最近の与党の姿勢を重ね合わせたわけだ。与野党激突の構図がますます強まる新潟県知事選の結果が注目される。

<取材・文・撮影/横田一>
 ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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FBの個人情報漏えい

2018-06-06 | いろいろ

賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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FBの個人情報漏えい

 インターネットを介して交流ができるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の中でも、実名制でリアルな友人関係を特徴とするFacebookはユーザー数が全世界で20億人、日本国内でも2800万人が利用しているという。

 そのFacebookの個人情報がイギリスのデータ分析企業「ケンブリッジ・アナリティカ」(CA)に流出し、イギリスEU離脱国民投票や米大統領選キャンペーンにも利用されていたことから、米連邦取引委員会は個人情報の管理に当たりFacebookが適切な扱いをしていたか、法律違反がなかったかについての調査を開始し、米議会はCEOのザッカーバーグ氏を公聴会に呼んで証言を求めた。

 CAは、ケンブリッジ大学の教授がFacebookで性格診断クイズを行い、クイズに回答した人やそれに「いいね!」を押した友達など約5千万人の米国人のプロフィールデータを不正に取得し、大統領選で活用したという。個人情報漏えいは今までにも数多くあったが、ユーザー規模の大きさと、大統領選挙にも影響を与えてしまった点で最大の事件となった。

 大学教授がFacebookから集めた個人データを第三者に売ったことはFacebookの利用規約違反に当たる。しかしFacebookの本業は広告であり、ユーザーだけでなくユーザーが「いいね!」した情報や相手に関するデータを広告主に売ることなのだ。Facebook上で行われるコミュニケーションがマーケティングに利用され、このビジネスモデルにより、ザッカーバーグ氏は710億ドル(約8兆円)もの資産を築いた。Facebookの顧客は広告主で、ユーザーは情報を提供することで友人と無料で交流ができるのである。

 公聴会でザッカーバーグ氏はFacebookユーザーはいつでも個人データを消去できると述べた。しかしニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ケヴィン・ルース氏は最近のコラムで、Facebookが収集した自身のキャッシュデータを精査したところ、ずっと以前に削除したデータも残っていたという。つまりユーザーがデータを削除しても、またはFacebookのアカウントを消した後でも、誕生日のような基本データから自分が投入したあらゆる情報、誰をいつ友達から外したか、どんな広告や投稿に「いいね!」をしたのかをFacebookは保管していたという。

 またルース氏はFacebookの「Messengerアプリ」という、Facebook上で友達同士がテキスト送信や音声通話を無料で利用できるアプリも利用していたが、データをコピーして驚いたのは、彼のiPhoneの電話帳にある全ての名前と電話番号をFacebookが保管していたことだったという。

 しかしこれらは当然のことかもしれない。Facebookのビジネスモデルは個人の情報を広告主に売って利益を得ることである。ユーザーがどんな友達とつながっていて、どんな記事を見て、どんな投稿や広告をいいと思っているのか。Facebookにとってそれは宝の山であり、削除すべきものなど一つもないのである。
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新潟県知事選で花角英世候補支援の自民党議員が、相次いで“利益供与”“脅し”発言!?

2018-06-06 | いろいろ

より

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新潟県知事選で花角英世候補支援の自民党議員が、相次いで“利益供与”“脅し”発言!?


「安倍政権の命運を左右する」とも報じられている「新潟県知事選」(6月10日投開票)で、自公支持の花角英世候補の陣営が露骨な“土建選挙”を始めている。

 目玉政策に日本海縦貫新幹線の「羽越新幹線計画」(富山~青森)などの交通インフラ整備推進を掲げながら、公共事業増加で仕事が増える建設業者に対して支持を呼びかけているのだ。

 “持参金”の見返りに、従業員を期日前投票に行かせるよう要請

 
 告示日(5月24日)の糸魚川市での個人演説会では、ユニフォーム姿の建設業者がずらりと並ぶ中、花角氏は新幹線計画や道路建設など交通インフラ整備のさらなる推進を訴え、最後は最前列の建設業者らとともに「頑張ろう」コールを行った。

 会場から帰途につく建設業者社員に聞くと、「社長から言われて来ました。花角さんが当選して、公共事業が増えることを期待しています」と動員されたことを認めた。まさに、公共事業推進と投票行動が交換条件の関係となっている。

 5月25日の新潟県建設業協会の総会では、自民党国会議員の斉藤洋明衆院議員(新潟3区で落選・北陸信越ブロックで比例復活)から、勤務時間中の期日前投票を要請する発言も飛び出した。



 「県知事選挙、我が新潟県にとって本当に正念場だと思っております。特に、花角候補を当選させることはもちろんでありますが、花角候補の票を出せば出すほど“持参金”を県と国からたくさん頂けると確信をして頑張りますので、どうぞ地元の建設業の皆さま、そしてお集まりの皆さまから、花角候補のご支援をお願いいたします。

 特にこの選挙の勝負は、名護市長選挙と同じようにどれだけ期日前投票で与党系の票を振り絞れるかだと思っております。人手不足の折、大変厳しいお話だと承知をしておりますが、ぜひ就業時間中に、従業員の皆様を期日前投票へ出していただけますように、経営者の皆様にお願いを申し上げまして、私からのご挨拶にさせていただきます」

 建設会社の経営者の指示で従業員が仕事中に政治活動(期日前投票)を行うことは「無償労働の提供(ただ働き)」という利益供与に当たるが、これは公共事業予算増加(工事請負額増加)という見返りを期待してものだ。まさに贈収賄まがいの土建選挙が、堂々と行われていたのだ。


 「野党系候補が知事になると、公共事業予算が減る」と根拠のない“脅し”


 斉藤氏の発言が飛び出した建設業協会の総会では、市外で街宣中の夫に代わって花角氏の妻が挨拶。「悪口を言ったことない温厚な人柄です」とアピールした。続く懇親会では、自民党国会議員が次々と斉藤氏と似たような発言をしていった。

 まず、塚田一郎県連会長(参院議員)は花角氏の目玉政策を紹介した。

 「新潟県には、まだまだ国の大きな予算の関係で進めないといけない地域のインフラ整備、たいへん多くあります。そして花角候補からは、次の新幹線構想であります『羽越新幹線』を整備計画に引き上げるための推進についても公約に入れさせていただているところであります。こうした、これからの新潟を考えるうえで必要なインフラ整備を推し進めるためにも、何としても花角英世候補への皆様方からの大きなご理解とご支援を賜りたく、お願いをさせていただいたところであります」

 野党系候補が当選すると、公共事業予算が減ってしまうおそれがあるとの“脅し”のような発言も飛び出した。元国交官僚の足立としゆき参院議員は、こう訴えたのだ。

 「(県知事選は)建設分野の皆様の命運もかかっておりますので勝ち切っていただくようにお願いをしたい。なぜなら、反対側は野党連合になっておりますが、わかりやすく言えば、『民主党政権のようなことが起こる』と。思えば、『我々は暗い、辛い、大変な時代を迎い入れかねない』と、ぜひとも建設分野の皆様には思っていただきたいと思います」


 「ぜひとも、建設分野の総力を結集して、何とかしっかり勝ち切っていただくようにお願いをしたいと思います」

 新潟1区で落選して比例復活をした石崎とおる衆院議員も、佐藤氏と同様の支援依頼をした。「新潟駅高架事業」(900億円)について、「民主党政権時代に予算が削られてしまった象徴の事業。こうした冬の時代に戻さないように」と呼びかけた。

 実際は、1年半前の県知事選で野党統一候補として当選した米山隆一前知事の時代、県の公共事業予算が削減されることはなかった。「野党推薦候補が知事になると、公共事業予算が減らされる」というのは自民党国会議員がよく口にする発言だったので、米山知事(当時)会見でも筆者は質問したが、知事は明確に否定したのだ。

 元国交官僚の花角氏は、「国土強靭化」を旗印に公共事業を推進している大物議員・二階俊博幹事長が運輸大臣だった時の秘書官。かつての“親分”と同じような土建国家作りに突き進もうとしているのだろうか。

<取材・文・撮影/横田一>
 ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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三上智恵の沖縄撮影日記 第81回:文子おばあ、石垣島へ

2018-06-05 | いろいろ

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文子おばあ、石垣島へ



 文子おばあがノーベル平和賞にノミネートされた! 想像してもみなかった展開である。

 2006年、初めて彼女にインタビューした時、のっけから「なんね? あんたは。私は戦争の話はしないと言ってるの!」と怒られた。それでも、以後なんだかんだと私は文子おばあにまとわりついた。

 南部で地獄のような戦場を彷徨い、戦後は辺野古に住む文子さん。彼女にフォーカスした理由は、戦争と、基地問題で揺さぶられ続ける辺野古をつなぐ貴重な存在であるということにとどまらない。その短気で直感的な感性の持つ魅力、情に脆く、涙もろく、人を拒むように見せていながら自分の傷を隠そうとしない、意地と弱さのバランス。わたしが惹きつけられる要素をいくつもいくつも持っている女性だった。

 「あんたは不思議だね。怒られても、喧嘩しても、また『おばー』といって、ここにくるんだからね」

 呆れたようにそういう島袋文子さんとわたしの奇妙な関係が、あれから12年続いているわけだが、まさかノーベル賞委員会からノミネートの知らせを受ける存在になるとは、思ってもみなかった。まあ、正確にいうと、70年余り平和運動に取り組んできた沖縄の人たち、という位置付けで、翁長雄志知事や山城博治さんを含む8氏2団体がグループで推薦されて、見事ノミネートに至ったというもの。文子さんはワンノブゼム、である。

 2018年のノーベル平和賞には330の個人と団体がノミネートされているというから、10月に見事受賞という運びになるかどうかは大変狭き門である。が、沖縄の人たちの平和を希求するたゆまぬ努力が国際社会で認知されていることは、何より勇気づけられる事実だ。その中でも、我らが文子おばあが大切な存在だと認められているのも、勝手な身内感覚ながら誇らしい。

 その文子おばあは先月上旬、体調を崩し入院していた。相当きつかったようで、あとで聞いたのだが、入院中、わたしもいよいよこれまでかなと思ったそうだ。ところが退院してすぐにわたしに電話があり、唐突に「八重山に行きたい」と言う。なんでも、石垣島の山里節子さんが、おばあのためのとぅばらーま(八重山伝統の抒情詩・唄)をいくつも作ってくれているのだが、新たな一作が手作りのサーターアンダギーとともに届いて、文子さんはその内容に涙して、節子さんに会いに行きたい、と訴えているのだ。

 その歌詞の内容は、私の感性で現代語訳すれば

 「水は流れて行くけれど、堰き止めることだってできる。だから文子おばあも、時間の流れを堰き止めて、もう年をとらないでいてください。ずっと今のまま、元気なまま、私たちに力をくださいね」

 という、節子さんらしい、お茶目で尊敬と愛が溢れている歌だった。私は、自分の二つの映画のそれぞれ主人公である二人の女性が相思相愛になって行く様を、とても嬉しく見ていた。しかし、突然石垣に行きたい、と言われても……。

 ちょうど、5月16日に自衛隊配備について予定地に近い於茂登で市長と住民の意見交換会があり、私は一泊で行くつもりでいた。でも、車椅子を押しながら撮影は出来ない。逡巡しつつも、私は一泊で来週行くけれど、と伝えると「私は行くならば、一泊というわけにはいかんさ。二泊はしないと」とケロっという。えーと、私も予算も時間も厳しいんだけどな、と言いかけたが、恩返しをするチャンスでもある、と思い直して「よしわかった。航空券も宿も任せて。体調次第でドタキャンも覚悟で段取りします」と言った。

 自衛隊のミサイル基地に抗う地元の人たちを応援したい、こんな機会は願ってもないと、文子さんは於茂登に行く気も満々だった。辺野古の、数えで90になるおばあが現地に来てくれたと、喜んでくれる人もいるかもしれない。早速相談すると、幸い山里節子さんも大歓迎。あっという間に受け入れ態勢を作って下さった。そしておばあのお世話をしながら石垣まで同行してもいいというSさんのご厚意も得て、80代、60代、50代の女3人の珍道中となった。

 大好きな文子おばあの前では少女のように無邪気になる石垣の節子さん。彼女がおばあのために用意していたプログラムは完璧だった。八重山古謡の会に招いたり、手作りの晩餐会を開いたり、節子さん自らハンドルを握りつつ、観光案内に加え、要所要所に古謡やわらべ歌や即興曲が挿入される。歩くように気ままに停車するその運転は、きっと私だけではなく他のドライバーもドキドキさせたと思うが、それも石垣島ならではで、クラクション一つ鳴らされなかった。私も、お手伝いもしながらで撮影に徹することは出来なかったが、なるべくこの奇跡的な旅の一部始終を記録すべく頑張った。その様子は、いつか何かで出したいけれど、あまりに中身の濃い時間だったので「文子おばあとセッちゃん」というテーマは今回は出し惜しみをすることにする。動画は、自衛隊配備の現場の話だけを編集した。

 でもその前に一つだけ、節子さんの魅力に痺れたエピソードを紹介する。

 風光明媚で石垣観光のハイライトである川平湾に文子おばあを案内したときのこと。エメラルド色のグラデーションの海を間近に眺めてもらおうと、白砂の上まで車椅子を移動させると、文子さんは足で白砂を掻き分けながら、「なんて綺麗な砂だろう! 真っ白で柔らかくて。ビニール袋がなかったかね、少し持って帰りたいけれど」と言った。

 Sさんと私は袋を探したけれどなかったのでなす術なく立っていると、節子さんがサッと浜に自生する植物の大きな葉っぱを2、3枚ちぎり、いたずらの準備をする小学3年生の少女のような顔をして、重ねて広げた葉の上に砂を集め始めた。そして首にかけていた白い手ぬぐいで葉っぱごと白砂を包み込んで縛り、器用に持ち手まで作って大きなおにぎりほどの包みを作った。そして得意げに私たちに見せて、目をキラキラさせながらおばあにプレゼントした。

 80歳の節子さんから89歳の文子おばあへの贈り物は、川平の白砂の葉っぱ包み。この、1円もかからないけれどおばあの最高の笑顔につながるギフトをとっさに繰り出す技を、この砂だけではない、旅のいろんな場面で私は見た。

 誰かを自分のフィールドに案内して喜ばせたい、という状況に誰でも立つことがあるだろうが、今回、節子さんはじめ八重山の人たちが文子おばあに見せた歓迎は格別だった。数えきれず訪れたこの島だが、おばあと同行したからこそ、その底抜けの情けの深さに唸らされた旅だった。

 さて、本題はここからだ。奄美も宮古島も新たに配備される陸上自衛隊のミサイル部隊の基地建設が着手され、どんどん進んでいく状況の中、予定地の住民が結束して抵抗している石垣島が今や最後の砦となっている。しかし、容認派の中山市長が再選され、包囲網はジリジリと狭めらる中で、市長が「意見交換会」なるものを於茂登、開南という2地区を対象に今月16日に実施すると通告してきた。

 この問題が持ち上がった3年前から、地元ではまず、国や防衛省を交えずに市長と住民で話し合いたいと要望していた。それがついに開催された。しかし、この日参加者はたったの7人。ほとんどの住民が、遅きに失した「意見交換会」をボイコットした。これだけの報道を見れば、話し合いを望んだのに拒んだのは反対している住民、と早合点しそうだが、経緯は全く逆だった。

 おととしの暮れ、「年明けに住民と意見交換をする」と言ったはずの中山市長が、その年内に自衛隊基地建設をめぐる手続きの開始を許可してしまった。住民軽視に憤る公民館長らは、まずは約束を破ったことを謝って、手続き開始を撤回して、ちゃんと市長として住民と向き合ってほしいと訴え続けた。ところが謝罪も撤回もなく、面会もままならず、こじれにこじれた末に「公民館という自治組織が話し合いに応じない」からと、行政の力で地域の学校の体育館を借りて意見交換会なるものを強行した。これには学校の父母らも反発した。賛成反対はさておき、学校施設を政治的なことに利用するのはやめてほしいと要請。しかし全ては無視され、このイベントは強行された。出席すれば、手続きは踏んだとしてアリバイに使われる。出席しなければ、意見を聞くために地域に出かけて行ったが住民は応じてくれなかったという構図が作られる。

 思案の末、住民らは、このやり方自体がおかしいと会場の外で訴えながら、地域を限定せずに広く市民と意見交換ができる場を作って欲しいと要請書を市長に手渡すことにした。しかし、動画にある通り、中山市長は完全に無視して会場に入ってしまった。

 『標的の島 風かたか』の主人公の一人である、元於茂登公民館長の嶺井善さんの苦悩の表情に、胸が締め付けられる思いだった。この3年で、農業に誇りを持って地域をリードしてきた精悍な顔つきだった嶺井さんが、眉間の深い皺、覚悟を決めた目つき、深い悲しみや怒りを宿したオーラを放っていた。誰が、彼をここまで追い込んできたのか。何がこの地域を分断させようとしているのか。いばらの道を団結力で乗り越え歩んできた開拓団の村を、今さらに苦しめようとする力を私は心の底から憎む。

 20年以上、辺野古の基地建設に抗ってきた文子おばあは、この集会で「これは八重山の問題ではない。私たちみんなの問題です」と切り出した。沖縄が今またどんな残酷な運命に引き込まれようとしているのか、彼女にはよく見えているのだ。

 「73年前、日本の軍隊が沖縄に入ってきた時、私たちを守るものだと信じて自分たちの食べ物もみんな差し出したけど、軍隊は住民を守るものではなかったんです」

 沖縄戦を一言で総括するなら、毎度同じことを書いていると言われようが、おばあの言う通り「軍隊は自国民を守るものではなかった」という一言に尽きるのだ。第32軍の幹部だった神直道参謀は戦後、インタビューに答えてこう暴露している。「沖縄戦で、住民を守るということは、作戦に入っていなかった」と。では、自衛隊はどうなのか。悪しき日本軍の伝統を引き継いだのか、断ち切ったのか。そんな一番大事な沖縄戦の失敗が繰り返されないという確信を、容認している人たちは本当に得ているのだろうか。

 「私は悔しいです」。文子さんは言った。

 「皆さんのお爺さんお婆さんは、もう戦争がわからない世代です。あの苦しみを伝えられなくなってる。生き残った私には、それが悔しいんです」

 なぜ、たくさんの血を吸ったこの島で、戦争の教訓が学ばれないのか。文子さんはギリギリと悔しがっている。心配、ではなく、くやしい、のだ。あのおびただしい死は無駄だったのか。いっそ死んでいた方が楽だと繰り返し思った戦後の苦しみは、意味がなかったのか。またも魔の手が忍び寄る石垣島に、死ぬ前に一度行って伝えることは伝えておきたい。節子さんに会うことだけでなく、おばあが切羽詰まって私に石垣に連れて行けと行ったのはこのことだったのだと、文子さんの一途な執念にまたも圧倒された瞬間だった。



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「ふと思った」から安倍・加計面会を捏造?

2018-06-04 | いろいろ

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「ふと思った」から安倍・加計面会を捏造? 加計学園事務局長のデタラメ過ぎる言い訳の矛盾を徹底検証!

 安倍首相を守るためのアクロバティックな嘘が繰り広げられている加計学園問題だが、またも呆気にとられるような嘘が飛び出した。今度の嘘つきは、加計学園の渡邉良人事務局長だ。

 あらためておさらいすると、いま問題となっているのは、愛媛県新文書に書かれていた、加計孝太郎理事長に安倍首相が「獣医大学いいね」と述べたという2015年2月25日の面談が実際にあったのかどうかという点。先月26日、加計学園はFAXでこの面談の事実を否定し、担当者の“でっち上げ”であったと報告した。このでっち上げ話をした張本人が、渡邉事務局長なのだという。

 そして、渡邉事務局長が先月31日に愛媛県庁を訪問してはじめて直接の謝罪をおこなったのだが、この場で渡邉事務局長は、度肝を抜くような言い訳を連発したのである。

 まず、加計学園側の言い分がほんとうなら、安倍首相の名前を使って愛媛県と今治市を騙し、結果として合計約186億4000万円もの補助金を引き出すという“詐欺行為”をはたらいたことになる。こんな重大な虚偽を明らかにするのであれば、愛媛県と今治市、そして安倍首相にすぐさま謝罪をおこなうのが筋だが、なのに加計学園はそうした当事者には報告もせず、先月26日、一方的にFAX1枚のコメントを出しただけ。当然、“被害者”である愛媛県の中村時広知事は「嘘をついたのがもしほんとうなら、県と市に対して謝罪・説明をして、それから責任者が記者会見して発表するという手順を踏まなければおかしい。あり得ない」と批判していた。

 すると、加計学園側は28日に愛媛県庁へ“アポなし”訪問。中村知事はこの非常識な行動に「アポイントは取って来たほうがいい」と不快感を示したのだが、渡邉事務局長が謝罪に訪れた31日は、中村知事が台湾出張中というタイミングだった。記者からは「なぜ中村知事がいないときに謝罪・説明に来たのか」という質問が飛んだのだが、渡邊事務局長は「中村知事はおられないんですか? それは県のアレですからわかりません」などと返答したのだ。

 中村知事が31日に台湾へ出張することは、この前日からテレビやネットニュースでも伝えられていたこと。その上、アポイントをとって訪問しているのだから、当然、渡邉事務局長は承知していたはず。それを「中村知事はおられないんですか?」とはあまりに白々しいし、挙句、「県のアレだから」と謝罪に来ているのに県のせいにするとは……。


 渡邉事務局長の言い訳「ふと思ったことを言った」は完全に破綻している

 だが、記者の質問が本題に移ると、さらにその言い訳は酷さを増した。渡邉事務局長は「『総理と加計理事長が会った』と嘘をついたのか?」と問われると、なぜかヘラヘラと笑みを浮かべながら、こう答えた。

 「総理と理事長が面会をしたということについては、これはこちらのほうで、そういうことを言ったのかなということで、覚えてなかったんですね。県の方がああいう文書を、何もなく書くことはないということで、自分が思い出す範囲では、あのときにたぶん自分が言ったんだろうというふうに思います」
 「その場の雰囲気というか、ふと思ったことをそのときに言ったんじゃないかなと思います」

 何度でも言うが、渡邉事務局長が嘘をついたと言うのがほんとうなら、これは詐欺行為であって、ニヤニヤ・ヘラヘラと笑って話すようなことではない。しかも、「そういうことを言ったのか覚えてなかった」「自分が思い出す範囲」という、安倍首相や柳瀬唯夫・元首相秘書官と同様、証拠も何もない“あやふやな記憶”しかないのだ。

 というか、それ以前にこの渡邉事務局長の言い訳は破綻している。安倍首相が「獣医大学いいね」と言ったと加計学園側が愛媛県に報告した2015年3月3日の打ち合せは、〈加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいとの申出があり〉(愛媛県新文書より)おこなわれたものなのだ。
 
 つまり、面談がなかったとするなら、「ありもしない面談の報告をしたい」と加計学園側は申し入れたことになり、3月3日の打ち合わせは設定理由からして虚偽だったことになる。しかも渡邊事務局長は、理事長と安倍首相の面談を「その場の雰囲気で、ふと思ったこと」などと説明しているが、「その場でふと思ったこと」を一体どうやって事前に申し入れるというのか。もはや整合性をとる気があるのかすら疑わしい、「ご飯論法」以前のお粗末な言い訳だ。

 しかも、この矛盾を記者に指摘されると、渡邉事務局長は「3年前のことなのでよくわからない」と言い出し、「それ以外にもいろいろな話し合いを結構している」と、またも回答をはぐらかしたのだ。

 さらに、3月15日に加計学園側と今治市がおこなった協議の内容を記した愛媛県文書には、〈柳瀬首相秘書官と加計学園の協議日程について(2/25の学園理事長と総理との面会を受け、同秘書官から資料提出の指示あり)(学園)3/24(火)で最終調整中である〉と書いてある。2月25日に安倍首相と加計理事長が面談をおこなっていないとなれば、加計学園側はどうやって官邸での柳瀬首相秘書官との協議に漕ぎ着けたというのか。

 しかし、やはりこの問題についても、渡邉事務局長は「柳瀬秘書官につきましても、どういうことを言って、どういうふうにアレしたかということは、まったく覚えておりません」としか返答できなかった。またしても、都合の悪い部分は記憶がないのだ。


 記憶が曖昧な渡邊事務局長が「加計理事長からの指示は一切ない」だけは断言

 こうやって肝心なことについては、記憶のせいにしてごまかし続けた渡邉事務局長だが、たったひとつ、明確すぎるほど明確に答えた質問がある。それは、加計理事長からの指示があったのかという質問だ。

 渡邊事務局長は、これに「(指示は)一切ない」「自分が言った」と断言。挙げ句、柳瀬唯夫首相秘書官と協議をおこなった件についても、「ある程度、自分で判断して自分で今回、立ち上げて行った」「(加計理事長に)細かい話はしていない」と言い、官邸で協議をおこなったことすら加計理事長には報告していなかったと言い張ったのだ。

 獣医学部新設は加計学園にとって長年の悲願であり、その指揮は理事長である加計孝太郎氏が執ってきたことは間違いない。事実、加計理事長と渡邉事務局長は、2016年8月と2017年2月に山本有二農水相(当時)と面談をおこなっていたことがわかっている。なのに、官邸で首相秘書官と直接協議をおこなったことを加計理事長に一切報告していないなど、まずもって考えられない。

 この渡邉事務局長は、「官邸は絶対やると言っている」と記されていた萩生田光一・内閣官房副長官(当時)の「発言概要」でも、「渡邉加計学園事務局長を浅野課長のところにいかせる」と書かれていた人物であり、獣医学部新設に向けた直接の担当者として実働してきた。その上、渡邉氏は、加計学園の常任理事でもあり、一時は獣医学部の施設設計を請け負った加計学園グループのSID創研の代表取締役を務めていたこともあるほどの人物だ(ちなみに加計学園資料や登記では常任理事およびSID創研の代取は「北村良人」と明記されているが、加計学園に問い合わせたところ、これは渡邉氏と同一人物で、数年前結婚し養子となり、正式には「北村」姓となったが普段は旧姓の「渡邉」を使用しているとの回答を得た)。

 このように、陰に陽に加計理事長を補佐してきた側近中の側近が、加計理事長に柳瀬首相秘書官との協議さえ報告せず、さらには加計理事長の「腹心の友」である安倍首相の名前を勝手にもち出して詐欺行為をおこなったとは、あまりに無理のあるシナリオだろう。


 日大アメフト問題とは対照的に、加計理事長を追及しないマスコミ

 実際、加計学園内部からも、この渡邉事務局長の説明を否定する声があがっている。31日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、加計学園関係者がこう証言したのだ。

 「一職員が『想像したこと』を言ったなんて、あり得ない」
 「必ず理事長が、大きい行事とか『こういうことをするんだ』というのを、ひとりで決めるようなところがあるから。ナンバー2とかナンバー3が勝手にやったということは、まずあり得ない」
 「トップ(加計理事長)が言って、命を受けて『行って、こういう話をしてこい』、向こうに行ったらどうだったのか、必ず帰って報告は当たり前」

 さらに、この関係者は、渡邉事務局長について、こう評した。

 「実直よね。言われたことをこなすだけ。自分で考えて、どうこういう考え方の人ではない。それがずっと染みついている」

 すべては、安倍首相と加計理事長のふたりを守るため。その目的のために、一体どれだけ彼らの部下たちに嘘をつかせ、国民に茶番劇を見せつければ気が済むのだろう。しかも、渡邉事務局長は、「面会にしろ、会食にしろ、加計理事長本人に伺いたい」という記者からの質問に対し、「ちょっと、理事長がどう考えられているのかということは、いまは自分はわからないですね」と言い、事実上、加計理事長が会見する予定がないことを示した。

 この期に及んで、これだけ世間を騒がせている責任者が、表に出てくる気配さえ見せないとは……。安倍首相からも加計理事長からも、国民は完全に見くびられているのである。

 だが、これだけ馬鹿にされながら、メディアは、安倍首相や加計学園の部下を人身御供にする冷酷さやあからさまな嘘にはツッコミを入れようとしない。日大アメフト部問題で田中英壽理事長ら上層部を厳しく追及しているのとは対照的だ。いま、嘘に嘘が積み重なっているこの状況をつくり出しているのは、それを黙認するメディアの責任とも言えるだろう。
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9条改正の先にある安倍「先軍政治」の恐怖――

2018-06-04 | いろいろ

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9条改正の先にある安倍「先軍政治」の恐怖――経済よりも軍事重視で北朝鮮化?


軍事から経済へと急速にシフトする北朝鮮。

 『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、日本はそんな北朝鮮と対照的だと警鐘を鳴らす。

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 「先軍政治」という言葉がある。北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記が打ち出した政治用語で、すべてにおいて軍・軍事を優先させる政治イデオロギーを指す。

 ただ、息子の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は亡き父が定式化した軍事中心の統治スタイルを2016年5月に核武力増強と経済発展を同時に行なう並進路線へ修正。さらに今年の新年の辞では、経済最優先路線への転換を宣言した。

 経済難が続く北朝鮮では日ごとに住民の不満が高まっている。今後も独裁体制を維持するためには軍事一辺倒だけではダメで、経済を発展させて国民を満足させなければならないと、金委員長は気づいているのだ。

 軍事から経済へと急速にシフトする北朝鮮とは対照的に、経済よりも軍事重視へとシフトしつつある国がある。日本だ。

 政府は新たな財政健全化計画を検討中だが、財政黒字化の目標がさらに5年延び、25年度へと先送りになる公算が大だという。本来ならば、ここで歳出の見直しをするべきなのだが、論議されているのは社会保障費の削減ばかりで、公共事業費などの政策的経費のカットについてはほとんどスルーしている。

 特に防衛費については節約どころか、安倍首相がトランプ大統領の要求どおりにバカ高い武器を購入することもあって、予算が膨らんでいる。今年の防衛費は過去最大の5兆1911億円で、6年連続で増加中だ。

 こうした防衛費の伸びをさらに後押しするのが、首相が目指す憲法9条の改憲だ。自民党が検討している9条改正案の柱は、新たに9条の2を加え、「自衛隊を保持する」という文言を加えるというものだ。現状の自衛隊は、政府の憲法解釈によって「自衛のためなら、保持していても(いなくても)合憲」とされている。しかし、新たに加える9条の2によって自衛隊の保持は“憲法上の義務”になる。

 その前段には「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として」という文言が添えられている。

 もし、中国が大幅な軍拡をしたとしよう。すると、現状のままでは「必要な自衛の措置」がとれなくなるかもしれない。その場合、放置すると憲法違反になる恐れがあるので、国は軍備増強、それも専守防衛用にとどまらず、敵基地攻撃など他国を攻撃するためのより強力な装備の整備に乗り出さざるをえない。

 少子化で隊員不足になれば、憲法上の要請から徴兵制の復活を宣言することだってありうるだろう。憲法に自衛隊を明記するということは、国民がいや応なしに軍拡に巻き込まれる危うさを秘めているのである。

 その一方で、「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」を定めた25条の現在の条文は、社会福祉の向上などに「努めなければならない」(2項)となっているが、自民党の改憲案では9条の2で「自衛隊を保持する」と言い切っているのに対して、この25条2項の文言には手をつけていない。そのため、結果的にだが、25条が比較上、いかにも弱い表現になってしまう。

 そうなると、憲法改正の暁には国民の生存権よりも、より強力な自衛隊保持のほうが優先だという解釈論が成り立つことになる。それは本質において、北朝鮮が採用してきた「先軍政治」と同じではないか。日本がそんな国になるのはまっぴらだ。

●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。近著は『国家の共謀』(角川新書)。ウェブサイト『Synapse』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中
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安倍首相と加計学園の否定に疑念 焦点は15年2月15日の真実

2018-06-03 | いろいろ

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安倍首相と加計学園の否定に疑念 焦点は15年2月15日の真実

 安倍首相が「ドリルの刃」となって打ち破った岩盤規制の穴を通れたのは、“腹心の友”ただひとり。国家戦略特区とは“奢り奢られ”の関係にある40年来の友人が熱望するビジネス拡大のためだったのか――。加計学園の獣医学部新設について、多くの国民はこうした疑念を抱いている。なぜなら、安倍首相がつい最近まで友人の野望すら「知らなかった」とむきになっているからだ。そんな中、最大の焦点となっているのは、国会に提出された愛媛県作成文書で浮上した「2015年2月25日」の真相だ。愛媛県文書に書かれているように、この日、首相は加計孝太郎理事長と面談したのか。その席で加計氏は獣医学部新設計画を説明したのか。安倍は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と応じたのか。

 疑惑の面談が首相動静で報じられず、官邸の入邸記録が破棄済みなのを材料に、安倍は「ご指摘の日にお会いしたことはない」「(学園関係者から県や市への)伝聞の伝聞だ」と否定した。ところが、これまでダンマリを決め込んできた今治市の菅良二市長が「理事長と首相が会ったという報告は受けたと思う」「おそらく(加計学園の)事務方が私どもの担当に話したと思う。私自身も聞いたと思う」と言ったものだから、安倍の言い分は怪しくなった。そうしたら先週末、加計学園サイドが唐突に学園側が愛媛県と今治市に虚偽説明をしたとコメントを出し、31日、県庁や市に出向き、謝罪する展開になったのである。

 面談そのものを「ない」とする安倍と加計サイド。「あった」という報告を受けていた愛媛県と今治市。どっちが嘘つきかと思ったら、匿名的な存在の加計学園関係者のデッチアゲだったとは、“できすぎた”話だ。あまりにも唐突で不自然な加計学園の言動に、国民は不信感を募らせている。


■ 接待は金額の多寡を問われない

 安倍と加計氏が本当に会っていない可能性も確かにある。とはいえ、前後の状況を検証すれば、怪しいことだらけだ。加えて、安倍らには面談を否定しなければいけない事情もある。2015年2月の面談が事実であれば、安倍が加計の獣医学部新設計画を知ったのが「2017年1月20日」とした国会答弁の虚偽が明るみに出るばかりでなく、贈収賄に問われる可能性があるからだ。だとすれば、面談の事実を認めることは、犯人が「やりました」自白するようなものになる。かたくなに否定するのもうなづける。

 発売中の週刊誌「サンデー毎日」で、無所属の会の江田憲司衆院議員がこう指摘している。

 「問題は賄賂性。金銭の収受だけでなくていい、というのが20年前の大蔵省接待スキャンダルの時の捜査当局の方針転換だった」

 「接待は金額の多寡は問われないのが通説だ。問題は対価性の認識。加計氏側に獣医学部新設認可をしてもらおうという接待の意図があり、安倍氏がそういう趣旨で接待を受けた、という認識があればアウトだ」

 安倍と加計氏は第2次政権発足以降、19回も会食やゴルフを共にし、奢ったり奢られたりの親密な付き合いを続けてきた。安倍は国家戦略特区で規制緩和メニューを決定する諮問会議議長で、獣医学部新設に関わる職務権限を持つ立場にある。加計氏はあの手この手で構想実現の方策を探っていた。心から信頼し合い、どんなことも打ち明ける仲を誇る2人が宿願については一切口にしない。そんな子供だましがどこの世界で通用するというのか。

 元特捜部検事の郷原信郎弁護士はこう言う。

 「職務権限を持つ公務員がその職務に関して賄賂を受け取れば収賄、賄賂を贈った業者は贈賄の罪に問われます。それには接待の趣旨が重要な要素になる。国家戦略特区を利用した加計学園の獣医学部新設計画と、安倍首相に対する接待の関連性を解明する必要があります」


 関係者が固唾をのむ愛媛県、今治市の文書調査

 「2015年2月25日」の面談は、加計問題の最大のポイントなのだ。参院予算委の集中審議で共産党の小池晃書記局長が「面談を架空のものとすると説明のつかないことが多すぎる」とただしていたが、その通り。面談が事実でなければ、その前後の加計学園をめぐる動きはまったくつじつまが合わなくなる。なにしろ、この面談について加計学園は今治市に事前通知している。そのうえで、報告内容が愛媛県文書に記されたのだ。

 愛媛県文書には、面談を受けて、首相秘書官だった柳瀬氏から資料提出の指示があったことや、面談の席で加計学園が示した資料をもとに文科省がアンケートを行うという記述もあった。参院からの要請で文書を提出した愛媛県は調査を続けていることから、第4、第5の物証が表に出てくる可能性がある。

 「調査は現在進行形で行われています。言われたことは徹底してやるのが役所の仕事ですから、疑惑を裏付ける関連文書がさらに出てくるのではないか。関係者は固唾をのんでいます」(県政関係者)

 参院は情報公開条例をタテに文書提出を渋る今治市に対して、重ねて協力を要請。「2015年2月25日」の面談に関する報告が記された文書などの提出を求めている。憲法が定める国政調査権に基づく要請をいつまでも突っぱねられるわけがない。真相究明は待ったなしだし、いま疑惑が解明されなければ、ウソとデタラメを繰り返す厚顔無恥な安倍の居座りを許すことになる。


■ 3選死守、解散を視野に会期延長

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は言う。

 「1年以上にわたって一連の疑惑を否定し続けてきた安倍首相がいまになってウソを認めたら、即退陣に追い込まれてしまう。絶対に認めるわけにはいかないのです。これまで同様に政治的な関与を否定しながら、行政府の長としての責任は認めて頭を下げる。一方で、側近議員や親密メディアに〈いつまでモリカケ疑惑をやっているんだ〉〈国会で審議すべき重要なテーマはほかにたくさんある〉と声を上げさせて世論誘導キャンペーンを張り、モリカケはもういいんじゃないかというムードづくりを急ぐ。その間に米朝首脳会談へのコミットをアピールして外交でポイントを稼ぎ、幕引きを図る絵を描いているのです。米朝会談前にホワイトハウスで日米首脳会談を行うほか、米朝会談後にもトランプ大統領との直接会談を探るなど、必死で動き回っています。8月初旬にシンガポールで開かれるASEAN地域フォーラムに合わせた日朝外相会談の調整が報じられましたが、これは安倍首相が3選を狙う9月の自民党総裁選をにらんだ動きです」

 第1次政権ではストレスで悪化した腹痛に苦しみ、ミジメな放り投げ辞任に追い込まれ、そのまま病院へ逃げ込んだ。国内外に醜態をさらしながら、恥も外聞もなく首相の座に返り咲いた原動力は、憲法改正への執念だ。ところが、安倍が招いた数々の疑惑が悲願達成を遠のかせ、任期は4カ月を切った。

 「改憲を実現するには総裁3選しか道はありません。安倍首相は3選のためには何だってやってくる。総裁選はあくまで自民党内の選挙で、党内の政治力学や数の論理がモノをいいますが、内閣支持率の低迷で状況が厳しくなることも想定し、解散を打つことも視野に入れているでしょう。ここにきて、6月20日に会期末を迎える通常国会の会期延長が調整され始めたのも、総裁選出馬表明と解散をにらみながら、情勢を観測するためだとみています」(鈴木哲夫氏=前出)

 国家と権力を私物化して仲間内で甘い汁を分け合い、公文書改ざんで民主主義の根幹を破壊して歴史を冒涜する。ペテン政権の長期化でこの国はどうなるのか。分かり切っていることだ。安倍の願望は国民にとって悪夢でしかない。
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京都大学“立て看板”闘争の舞台裏

2018-06-02 | いろいろ

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京都大学“立て看板”闘争の舞台裏ーー撤去理由は文科省への忖度? 

 東の東京大学と並ぶ国立大学の西の雄、京都大学の名物は、自由な校風を象徴するキャンパス周辺の立て看板(タテカン)の数々。ところが5月13日、大学当局は「景観保護条例の順守」を理由に、吉田キャンパス周辺のタテカン撤去に踏み切った。

 この強硬措置に学生らは「風情がなくなった」「表現の自由への弾圧」と猛反発。一体、何が起きているのか? タテカン撤去から2日後の5月15日午後、吉田キャンパス周辺を歩いてみた。

 最初に訪れたのは、最も多くの看板が立っていた百万遍交差点前付近。撤去直後だけにこざっぱりしているかと思いきや、すでに再びタテカンが10枚ほど並んでいる。

 「これが俺たちの景観だ!」「撤去すると増えます」「それいけ! タテカンマン」

 など、フザけながら大学に抗議するものもあれば、看板ではなくシャツにメッセージを書いて干すなど、一休さん顔負けのとんちも。同じく大学正面付近でもタテカンは復活し、しかも昼過ぎに5枚程度だったものが夕方には10枚に増えていた(笑)。

 ところが、実はその前夜、大学はいったん撤去したタテカンの保管場に何者かが侵入したとして、警察を呼ぶ事態にまで発展していたという。どうやら学生たちがタテカンを強奪し、ゲリラ的に再び設置したようだ。

 「タテカンが戻ってうれしい。このほうが落ち着く」「京大のタテカンは大文字の送り火や夏の川床などと並ぶ京都の名景観。なくそうなんてアホとちゃうか?」など、多くの学生はタテカン復活に賛成だが、大学側は、

 「昨年10月に京都市から文書による行政指導があり、周辺の歩行者の安全も考えて12月19日に『京都大学立看板規程』を策定しました。それを今年5月から実施に移しただけのことです」(広報担当者)

 と、しゃくし定規な回答。だが、これは表面的な言い分にすぎないと、この問題を取材する全国紙社会部記者は語る。


 「京大は市から毎年のように口頭で注意されても、なんの対策も取らなかった。それなのに、昨年10月の文書による指導で急に『待ってました』とばかり、たった2ヵ月で学内規程を作ってしまった。本来、自由な校風を是とする京大なら突っぱねて当たり前ですが…。これは市と大学によるデキレースで、そもそも文書による行政指導を要請したのは京大側だったのではないかとすら思えてきます」

 学生自治に関心の深いある京大生もこう言う。

 「国立大学が独立行政法人になって以降、従来は金は出しても口は出さなかった文部科学省が、成果を出せ、さもなくば金は出さないぞと大学にプレッシャーをかけるようになった。それに伴って、大学側から学生への締めつけも強まりました。今回の狙いは、おそらくタテカン撤去をテコにして中核派などのセクト系学生を放逐すること。学内をクリーンに見せて、文科省にいい顔をしたいのでしょう」

 天下の京大が文科省への“忖度(そんたく)”を見せた!? この問題、実は意外と根が深いのかもしれない。

 (取材・文/ボールルーム)
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『笑点』で円楽、たい平、木久扇が安倍政権批判ネタを連発して炎上!

2018-06-02 | いろいろ

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『笑点』で円楽、たい平、木久扇が安倍政権批判ネタを連発して炎上! 圧力に屈しないベテラン落語家たちの心意気

 高い視聴率を誇る長寿番組『笑点』(日本テレビ)がネットで炎上した。理由は、5月27日放送で安倍首相や政権への風刺、批判的な回答が連発されたためらしい。

 せっかくなので、この日の放送を再現してみよう。まず、司会の春風亭昇太から「人はうるさいと耳をふさいだりなんかしますよね。そこで皆さん、今回耳をふさいでください。で、一言言ってください。私が『どうしたの?』って聞きますから答えてください」というお題が出される。

 これに口火を切ったのは、三遊亭円楽だった。声色を安倍首相に似せながらこのように答えた。

「安倍晋三です」
「どうしたの?」
「トランプ氏から国民の声は聞かなくていいと言われました」

 続いて、手を上げたのは林家たい平。彼もまたモノマネを交えながら回答した。

「麻生太郎です」
「どうしたの?」
「やかましいぃ〜」

 政権批判ネタ三部作のトリを飾ったのは林家木久扇。彼はこのように答えた。

「うるせーなー」
「どうしたの?」
「沖縄から米軍基地がなくなるのはいつなんだろうねぇ」

 まさに、安倍政権への痛烈な風刺三連発。そして、回答した三人は連続で座布団一枚を獲得した。


 「米軍基地問題はいつなくなるのか」の答えに偏向と噛み付くネトウヨ、安倍応援団

 しかし、これが放送されるやいなや、ツイッターを中心に大炎上。ネット上には〈が飢えもせず生きていけるのは資本主義社会の賜物なのにな 馬鹿だと思うわ〉〈「笑点」で円楽が政権批判すると司会の昇太が「面白い、座布団1枚」となる。少しも面白くないのにである。笑いまで政治的偏向するようになってしまったのかと思う。最近「笑点」を見なくなった理由の一つでもある〉といった言葉が次々と投稿された。

 その典型が、中国や韓国へのヘイト本を多く出版する石平太郎氏である。彼は、その日の『笑点』を見た感想をこのようにツイートした。

〈先ほど家のテレビで久しぶりに「笑点」を見ていたら、「安倍晋三です。国民の声を聞かなくてよいとトランプに教えられた」とか、「沖縄の米軍基地はいつなくなるのか」とか、まるで社民党の吐いたセリフのような偏った政治批判が飛び出たことに吃驚した。大好きな笑点だが、そこまで堕ちたのか〉

 三遊亭円楽は楽太郎時代からしばしば政治や社会風刺の大喜利回答をしてきたし、『笑点』とはそもそもそういう番組であるのは、きちんと番組を観てきた人であれば誰もが指摘するところである。〈大好きな笑点だが、そこまで堕ちたのか〉などと言うのは、果たして本当に『笑点』を観ていたか甚だ疑問だが、それはともかく、多くのお笑い芸人が社会風刺のネタに及び腰になるなか、『笑点』は一貫してそういった類のネタも放送し続けてきた。

 たとえば、三遊亭円楽は2015年8月9日放送回の『笑点』で、安倍首相を名指しした風刺ネタを披露している。そのときは鍼灸師を題材にした大喜利をしていたのだが、彼はこんな回答を披露したのだ。

「耳がよく聞こえるようにしたいんですね?」
「どこに鍼を打っても、国民の声は聞こえるようにはなりませんよ、安倍さん」

 これだけではない。三遊亭円楽は同月23日にも、『24時間テレビ 愛は地球を救う』のなかの1コーナーとして放送された『笑点』にて、「24時間テレビ」に引っ掛けて、「――かん――び」の傍線部分に言葉を当てはめるというお題に対し、このような答えを繰り出した。

「安倍さん、聞いてください、政治に不信“かん”、国民の叫“び”」

 三遊亭円楽だけではない。林家木久扇も、16年4月10日放送回にて、安倍内閣を皮肉ったネタを披露している。この日の『笑点』では、「育児休暇」をテーマにしたお題が出た。メンバーがさまざまな職業の人に扮し、「育児休業を取った」と語り、そこで司会の桂歌丸(当時)が「どうなりました?」と聞いてくるのに対して、さらに一言付け加えるというものだ。そこで林家木久扇は「日本の内閣の大臣全員が育休を取りました」と語り、歌丸の「どうなりました?」との問いにこう返した。

「別に支障がありませんでした」


 『笑点』メンバーは一貫して政治家や権力風刺をネタにしてきた

 このように、『笑点』メンバーは以前から、政治家や権力をからかい、政治の話題を大喜利に盛り込んできた。しかし、おそらくそれは彼らにとって特別なことではない。庶民が権力者に対して抱く怒りや不満を、皮肉や風刺の笑いに変えることは、芸人の役割のひとつであり、日本でも以前は普通におこなわれてきたことだからだ。テレビで芸人が総理大臣をからかったり、コテンパンに悪口を言うというのも、昔はそう珍しいことではなかった。

 ところが、第二次安倍政権以降、こうした政権批判をすると、ネットで炎上し、ネトウヨや安倍応援団からテレビ局に電凸が殺到するようになり、どんどん政治風刺ネタが姿を消していった。

 しかし、笑点メンバーは、ネットの反応や安倍応援団の抗議など気にすることなく、一貫して政治風刺ネタを続けてきた。そして、今回は三遊亭円楽、林家たい平、林家木久扇のトリオ芸で、かなり痛烈な安倍政権批判をおこなった。

 そう考えると、笑点メンバーの心意気には敬服するしかないが、問題は、こうした社会風刺や権力批判を笑いに変えようとする芸人が、ほとんどいなくなっているということだ。

 だが、若手・中堅のお笑い芸人でその役割を背負おうとしているのは、ウーマンラッシュアワーくらいで、林家木久扇や三遊亭円楽など、ベテラン中のベテラン芸人しかいない現状は、あまりにもこころもとない(『笑点』メンバーのなかにいると若く見えるが、林家たい平だって53歳である)。

 また、もうひとつ心配なのは、今回の大炎上をきっかけに『笑点』制作サイドにプレッシャーがかかって、政権風刺ネタが制約されたりしないか、ということだ。

 せめて『笑点』だけはこれまで通りの姿勢を貫き続けてほしい。
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前川喜平さんロングインタビュー2 「公教育」は国家の繁栄ではなく「一人ひとりの幸せ」のためにある

2018-06-01 | いろいろ

より

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前川喜平さんロングインタビュー2 「公教育」は国家の繁栄ではなく「一人ひとりの幸せ」のためにある


 2020年度から導入される予定の新しい「高等学校学習指導要領」では、18歳選挙権や成人年齢の引き下げに合わせた「主権者教育」が重要なポイントになると言われている。

 国民全体の政治への関心が低く……あるいは、関心はあっても「選挙では何も変わらない」という、一種の諦観が広がりつつあるこの国で「大人の入り口」に立つ高校生が、「一人の主権者」としての自覚を持ち、政治を主体的に「自分の問題」として捉えることは、民主主義の未来を支える重要な鍵となるはずだ。前文部科学省事務次官の前川喜平氏が語る、「主権者教育」の意味と重み、そして「公教育」本来の目的とは。


──2020年度から導入される高等学校の新たな学習指導要領では「主権者教育」にも重点が置かれていると言われています。そうした狙いが具体的な学習内容にはどのような形で表れているのでしょうか?

前川 今回の高等学校の学習指導要領の特に社会科系は大幅に変わります。「歴史総合」「地理総合」「公共」というのは、いわば主権者教育3点セットと言っていい。

 ここにも、「ロングインタビュー1」でお話しした「政治からの圧力」と、それを逆手に取った文部科学省(以下、文科省)側のホンネという、ある意味相反する側面があって、例えば「歴史総合」は、「日本史を必須にしろ」という政治からの圧力に「わかりました、日本史やります。わかりました、やります」と応えた形をとりながら、実際には世界史と抱き合わせで、しかも、近現代を中心にしています。

 そうやって、世界史の中に日本を相対化して見ていく。しかも、近現代で現代につながっているところをきっちり勉強する。16世紀ぐらいからあと、特に18世紀あたりからあとをしっかりと勉強する。産業革命や民主主義革命や、あるいは帝国主義や世界大戦といったものをしっかり学ぶことで、人類がいかにして人権とか平和とか民主主義というものを勝ち取ってきたか、あるいは、まだどこが不十分なのかという視点を持つ大きな助けにもなる。

 そういう世界史の中に日本史を学ぶ、しかも今の現代につながっている部分、どうやって現代につながってきているかをしっかりと認識するというのはものすごく大事で、私は「歴史総合」が主権者教育のベースをなすような教科になると思っているんです。

 例えば「ワイマール憲法」という当時では世界で最も民主的な憲法の中から、なぜヒトラーのような独裁者が生まれたのか? こういう愚かなことを日本人だって繰り返さないとは限らないよという、そのことを学ぶってものすごく大事だと思うんです。

 それから地理もそうですね。日本地理、世界地理じゃなくて、「地理総合」で世界地理の中の日本地理を学ぶということで、例えば地球大の問題、食料問題、エネルギーの問題、気候変動の問題、こういったものを全体として見る視野ができてくる。

 そうした歴史や地理に関する、視野の広い理解をベースに「公共」という教科の中で自らその社会を形成していく、社会の形成者としての資質をつくっていくというのは、ものすごく大事だと思っていて、これは本当にうまくこの教科を使っていただければ、本当にいい主権者教育ができるんじゃないかと思っているんですけれど。一方で、政治の側にはそういう「目覚めた主権者」は困ると言う人もいるわけです。

 その人たちはむしろ、目覚めさせないような主権者教育がしたいので、いろいろ、あれしちゃいけない、これしちゃいけないという規制をかけるわけですね。それが2015年に文科省が出した通知に表れているんですけれどもね。これは18歳選挙権が施行される前、2015年の10月に、主権者教育に関する通知を出していますけれども、その通知で文科省は何と言っているかというと、いろいろと生徒にも先生にも制限を加えています。

 例えば、生徒に対してはまず「学校の中では政治活動をするな」と。それどころか「学校の外」でも学校が規制できると言っているわけです。僕なんかは「ホントかよ?」と思うんですけどね。だって、高校生には基本的人権があって表現の自由も言論の自由もあるわけじゃないですか。

 もちろん、学校の中には一応「施設管理権」があるので、ある程度「ここではこういうことをしないこと」というのがあるのは、仕方ないかもしれないけれど。それでも教育の場だっていうことを考えるのであれば、生徒が主体的に考えたことを表現するって、これは最大限に保障するべきですよ。

 ほかの生徒の迷惑になるような方法だったら、一定の規制をかけたらいいとは思うけれど、例えば校庭のどこかで「僕はこう思うんだ」っていうような演説をしていたっていいと思うし、ビラを配ったっていいと思う。学校の中での政治活動というのは、むしろ容認どころか、促進してもいいぐらいだと思うんですよね。

 ところが、文科省の通知は、まず教育課程内での政治活動はいっさい禁止。つまり、例えば総合的な時間とか、特別活動の時間に「9条改正反対の署名、みんなやってくれ」というようなことを言ったらダメというわけですね。

 それどころか、教育課程外であっても学校の中では規制をしなさいと言っています。さらには、学校の外で行う政治活動についても届け出制にして構わないとかね。そうやって非常に過度に高校生の政治活動を制限しようとしている。 

 もちろん、教員に対しても「自分の政治的見解を言うな」と言っているんですね。それだけじゃなくて「不用意に影響を与えるな」とも言っています。でも「不用意に影響を与える」って何ですか? 例えば、先生が胸に「9」っていうバッジを付けているだけでも不用意な影響を与えることになるのか? これって非常に萎縮効果があると思うんです。

 本当はそんなに気にしないで、客観的に「こういう意見がある。こういう意見もある。君たちはどう考えるか、議論しましょう」と。これでいいんですよ。もちろん「こういう意見」の中には必ず、先生自身の意見だってあるはずですし、そもそも、自分の政治的見解も持っていないような教員には主権者教育などできません。

 ちなみに、こうした文科省の姿勢に日本弁護士連合会が批判的な意見書を出しています。その意見書を読むと、ドイツのことが書いてあるんだけど、ドイツには「ボイステルバッハ・コンセンサス」というのがあると言うんですね。

 この「ボイステルバッハ・コンセンサス」というのは1970年代に、政治教育のあり方について学者が集まって、一定のガイドラインを作ったんですが、そのガイドラインでは、もちろん、教師は自分の政治的見解を述べて良いということになっている。

 ただし、自分の見解だけではなくて、それに反対する見解も同様にきちんと説明して、生徒の自主的な判断に委ねることが大事なんですよと。そういう政治教育についてのあり方、考え方というものを当事者の中で議論して決めた。国が決めたんじゃなくてね、学者たちが集まって決めたコンセンサスなんですよね。これ、1976年ですから、もう40年前の話なんですが、このあたりにも、やっぱりドイツと日本の違いを感じます。


──それは二つの国の「戦後の後始末の仕方」の違いに始まっているんでしょうね。

前川 そうそう。つまり害虫の巣を残しちゃった国と、完全に駆除した、あるいは、それを常に駆除し続けなきゃいけないと思っている人たちとの違い。

 それだけの痛恨の歴史を持っている国。ワイマール憲法がヒトラーを生み、ヒトラーがホロコーストをしでかして、とんでもない戦争で何千万人もの人を殺したと。そういうとんでもないことを、しかしそれに迎合し支持した国民がいたという……。それだけシビアな歴史観、民主主義観というのが常に彼らの中にはあって、その運用をいかに間違えないかということに対する意識が、常に一定のブレーキというか、必ず考えなければいけないプロセスとして残っているということなんですね。


──18歳選挙権や成人年齢の引き下げに伴って「主権者教育」の重要性を訴える一方で、民主主義の基礎を支える「異なる様々な意見に耳を傾け」「自分で考える」力を身に着けた、前川さんの表現を借りれば「目覚めた主権者」は困る……というのでは、まるで、一人ひとりの主権者を「自分たちに都合のいい一票」としか見ていないように感じます。

前川 最近の「公文書問題」などを見ても象徴的ですが、現実には「民はよらしむべし。知らしむべからず」みたいな社会に戻ろうとしていますよね。とにかく、真実を国民に伝えないようにしようと。その一方で、他国の脅威とか、ヘイトのような国民のネガティブな感情に訴えて、支持を勝ち取ろうという、ポピュリズム的な政治手法です。
 基本的に、国民はバカだと思っているんですよ。だませると、最後までだまし通せると思っている。まあ、ここにきて国民も少し「あんまりバカにすんなよ」っていう感じになっていると思いますが、とにかく嘘も100回つけば真実になるみたいな話ですよね。そうやって、「そんなはずないじゃありませんか」と言ったら、「そうか、そんなはずないのか」って思っちゃう。大きな声で断定的に繰り返し言うと、みんなそれを信じちゃうっていう。これはヒトラーの手法ですが、最近の日本でもそれがまかり通ってきた。

 僕自身、日本国民はもういっぺん戦争があってとんでもない目に遭わないと目覚めないのではないかという、極めて悲観的な思いに囚われることがときどきあるんですよ。

 だけど、そうじゃないはずだと。今のドイツ国民だって、過去の歴史を学んで今の民主主義を守ろうとしているんだから、日本国民だって世界の歴史を学べばいいんだと。日本の歴史だって学ぶものがあるだろうけど、ドイツの歴史も日本人が学べばいいんでね。

 ワイマール憲法からヒトラーが生まれてきた過程。全権委任法みたいな、反憲法的法律がまかり通っちゃったっていう。そうやって憲法が憲法の役割を果たさなくなってしまう、立憲主義がないがしろにされていくという過程があったわけですね。

 学びの中からそういう視点を得ることで「それ、今、日本で起こっていることじゃない?」っていう気づきにつながる。そうやって過去を学ぶことから現在をちゃんと見ることができるという意味で、高等学校の新しい学習指導要領に盛り込まれた「歴史総合」は非常に大きな意味を持っていると思うんですけどね。


──最後に、公教育とは、そもそも「誰のため」にあるのでしょうか?

前川 私は「一人ひとりの個人が幸せに生きるため」だと思います。公教育というのは、国家の繁栄のためとか、国家を守り抜くためとか、そんなことのためにあるのではなくて、一人ひとりの幸せのためにある。もちろん「幸せである」ためにはまず、平和でなきゃいけないわけで、戦争が起きないようにするということが大事なわけですが、そういう「国民一人ひとりの幸せ」と平和を実現するためには、それを守る政治体制が必要で、それが憲法なんですよね。個人の尊厳というものを守るために国に対して一定の行為を禁じ、あるいは一定の行為を求めるという、そういう枠組みが憲法。

 そして、憲法に記された思想良心の自由を侵すなとか、あるいは生存権を守れ、保障しろと。人を平等に扱えとか。そういう個人の、一人ひとりの幸せのために国はあるという考え方の先に、国が教育の機会をちゃんと提供するとか、最低限の生活ができる生活保護を出すとかっていう仕組みが成り立っているのが立憲政治だと思うんです。

 自分たちの社会がこういうふうに成り立っている、その究極の目的は一人ひとりが幸せに暮らすことだと憲法13条に書いてある、個人として尊重され、幸福追求権があるっていう、そういう幸せを実現するための仕掛けですよと。ただし、それは自分たちで守っていかないと崩れるよと。そういうことを学ぶ必要があると思うんですね。

 私は38年間ずっと「公教育」に携わる公務員として、公教育の行政や仕組みに携わる者としては、そういう考え方でやってきたんだけど、一方で、そうじゃないということを言う人たちがいるわけでね。「教育は国家のための営みである」と。教育というのは、国が人間を国のために教育するということだと。

 これは、森有礼(もり・ありのり)はそうだったわけですよ。明治18年(1885年)に内閣制度ができて、伊藤博文が初代の総理大臣になって、そのときの初代文部大臣というのが森有礼という人ですね。

 しかし、それ以前の明治になったばかりの頃は違っていた。文部省は明治4年(1871年)からあったけれども、それまでの間の文部省のトップの人は、文部卿といって、明治5年(1872年)に学制発布、それから太政官被仰出書(おおせいだされしょ)というのが出ていますけど。ここに出てくる思想は、国家のための教育じゃないんですよね。むしろ、どちらかというと福沢諭吉の『学問のすすめ』と同じような考え方。

「学問」という言葉は、今はなんか大学や大学の先生の専売特許みたいになっているけど、もともと学問というのは学習とか学びとかという意味で、学問するのは己のためであると。自分がその学問をすることによって、社会で身を立てていく。学問というのは、そのために必要なんだから勉強しなさいというのが『学問のすすめ』の考え方ですが、それと同じことが太政官被仰出書にも書いてあるんですよ。

「おまえら、学問なんかいらないと思っているかもしれないけれども、おまえのためなんだ」と。「勉強すると自分にとっていいことがあるんだぞ」ってね。


──それは、まさに「一人ひとりの幸せ」のための教育ですね。

前川 そうなんです。ところが、明治18年の森有礼のときからガラッと変わっているんです。森有礼は、戦前の国家主義的な教育体制の礎をつくったわけですけれども。小学校令、中学校令、師範学校令、帝国大学令というようなものを矢継ぎ早に制度として整えた。そして、その5年後(明治23年、1890年)には教育勅語が出ているわけですからね。

 そうやって戦前の国家主義的教育の礎を築いたのが森有礼で、さらに、当時の山縣有朋内閣の法制局長官だった井上毅(いのうえ・こわし)、明治天皇の先生(御侍講)であった元田永孚(もとだ・ながざね)らが教育勅語を作った。だから、まあ、そういう考え方が戦争のあともしぶとく残っていて、今また、ジワジワと燃え広がりつつある。でも、公教育は「国」のためではなく、一人ひとりの「個人」のためにあるはずです。ひたすら強いものに付き従うのではなく「自分で考える力」を身に着けた「目覚めた主権者」の存在なしに、本当の民主主義などありえないのですから。
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