拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

 一句詠みたし…ある冬の午後

2021年12月24日 | ヨーロッパの風

  ウトウトしそうな今日此頃、久々に一句詠わせる気分になった。 以下三句は同日に詠んだ句。

 

 

  『 モノノケに 不意襲われし 冬の午後 無邪気まとった 純白の犬 』 一撮

 

 

  昨日、田舎にある相方の従姉妹の家を訪ねた。

  談笑したり、付近のブドウ畑の道を散歩したりして、普段とは一味違う風景やら雰囲気を存分に味わい、

  おいとましようと玄関をでて従姉妹夫婦に挨拶しているまさにその時、後ろから白くフワリとしたモノが体当たりしてきた。

  俺ぁ、ビックラこいて振り向くと、狛犬の如きでかくて真っ白な犬が纏わりついて来ていたのだった。

  近隣の頬の赤い若奥さんが笑顔で『バイカル!』と名を呼んでいた人懐っこい犬の不意の仕業に、ビックリのプレゼントを頂いた様。

 

 

  『 漆黒の 闇夜の空に 舞い上がる 風船待てと 子の泣き叫ぶ 』 一撮

 

 

  明日はクリスマスイブ、毎年その前夜は21時までお店は開き、普段朝市が開かれる通りにはクリスマス用の売店が立ち並ぶ。

  日本人の友人が古着を利用して作った和風製の財布や布サック、や手作りの着物各種を販売。

  寒い夜に頑張っている彼女を応援しようと魔法瓶に紅茶をいれて差し入れした。

  そのあと、他の店を眺めながら相方と歩いていた時、

  ある売店の真ん前、大の字で上を向いて寝転んでいる2、3歳の女の子が、手を空に向かって振りながら大声で泣き叫びだした。

  あまりの大声に何事かとよく見ると、彼女の上空3、4メートルのところにドーナツ状の飾りのついた銀色の風船がフワフワ舞い上がっていくではないか。

  子供の泣き声が一層大きくなるにつれ、風船も高く闇夜に舞上がっていった。

  この子供の悲痛な泣き声のドタバタ劇に、周りの大人達は笑った。真っ先に大笑いしたのはたぶん、私だったと思う。

  『諸行無常』の一夜の出来事に、大声で泣き叫んで抗議するこの子に、私も喝采の大笑を送ったのだ。

 

 

   『 流し目の 色っぽいのが 君の特技よ 人笑わせて 幕を閉じつつ 』 一撮

 

 

  同日の夜、寝床につく頃、相方の知り合いの旦那さんの訃報を聞く。彼はここ一年ぐらい癌を患っていた。

  彼はコロンビア人で、赤鼻をまとうパントマイム主体のコメディアンだった。

  女医の奥様と一緒に劇団を立ち上げ、病床の子供たちを支援するチャリティ公演をした。私達も2回観劇、大いに笑わせてもらった。

  天性のものなのだろう、彼が舞台に上がってくるだけで私は笑い転げていた。笑いの裏に『慈愛』が秘められていた。

     



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