拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

 バンカラ

2012年01月26日 | 映華(えいが)
  レンタル映画第2弾は 楽しかった。 山田洋次監督の「ダウンタウンヒーローズ」・・・ていうタイトルはもう一つ だが。

  時は1948年 戦後の旧制高等学校の寮にすむ学生の姿を描いたもの。 原作は早坂暁の 自伝的小説だそうだ。

  娼婦役の石田えり もいいし 薬師丸ひろ子もいい そして若き日の 柳葉敏郎がとてもよかった。

  何よりも 噂に聴いていた 「バンカラ」が 愉快だった。戦後まもなくで食糧難の時代、寮の仲間らと キャベツをむしって
  ボリボリ食べながら 文学とか論じている図、外に出るのに 二階の窓から屋根づたいに飛び降りる図、マントの下は褌一丁で
  大道を闊歩する図、 個性のある先生らによる 授業風景などなど とても人間臭く 楽しい。

  旧制高等学校というのは いまでいう高校なんだろうか? やることは乱暴だが 精神的にもっと大人っぽくみえる。

  こんなバンカラ的雰囲気に 一度だけ接したのは ボクが鍼灸の勉強をしている時 我が師の観風先生主宰の無為塾 塾生だった時
  の塾の忘年会。 放歌高吟 志を共にする野郎ばかりの集まりだと 自然に「バンカラ」になるようで 楽しい思い出だ。

  この映画の 高校最後の授業の先生の言葉が印象に残った。

  「アメリカ人に飢餓感を植えられただけで 日本人は幸せになれるだろうか? 欲するものを全て手に入れられる時は警戒せよ。
   "肥えてゆく豚は 幸運なのではない”という有名なことわざがありますが、日本を動かしている大きな力(豊かな経済への)が
   自由への強い役割を奪って 日本人を骨抜きにして 従順な羊の群れにしてしまうのでないかと 案じています。
   皆さんが高校時代に学んだ 最も重要なことは "自主と自由” 自ら勝ち取って得られる自由で FreedomではなくLibertyの思想で
   あったことを いくつになっても 忘れないで欲しい・・・」

   この演説を聞いただけでも この映画の値打ちが 十分あったと思うが この先生の 心配は 残念ながら 我々の世代に図星と
   なってしまった。 戦後アメリカ人に植えられた飢餓感は 日本人を骨抜きにしてしまった。
          
              
                 昔の ボクの独りバンカラ。 諸君! バンカラに立ち戻ろうではないか!


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