拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
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 超越とウイルス

2021年04月13日 | 映華(えいが)

  

  先日ジョニー・デップ主演、クリストファー・ノーラン製作総指揮、 ウオリー・フィスター監督の2014年公開映画、『トランセンデンス(超越)』を観た。

  この映画の内容は次の二つの意味で非常に考えさせられる良い映画であったと思う。

  一つは、ユヴァル・ノア・ハラリ著書、『ホモ・デウス』を基にしたのか?と思わせるような内容は、テクノロジーによって人間は『神の域』にまで達するという見解。

  映画では、AIの研究者の脳をスーパーコンピューターにインストールしてナノテクノロジーとバイオテクノロジーなどを駆使し、地球の環境破壊を回復したり

  彼ら夫婦(映画の主人公)が理想とする世界を構築しようとする話であるが、本の出版が2016年なので、著者はこの映画を参考にした…のかもしれない?

  

  本『ホモ・デウス』は人間が将来、寿命も身体機能も自在にコントロール可能な神的存在…になるであろう、という予測を書いたものであるが、

  映画はそれを実現しながらも、そういった状況を恐れる反テクノロジー過激派グループや、それまで信頼のおける仲間と思っていた研究仲間でさえも

  『あまりに絶大な能力を持つコンピューターに支配されるのでは…』という疑心暗鬼から画策、彼の妻の協力を得て妻の体内に『COMP-ウイルス』を注入し

  能力を持ち過ぎた夫(ジョニー・デップ)の電脳スーパーコンピューター破壊に手を貸す…といった内容であった。

 

  『インターネットで世界は狭くなった・・・だが、ない方が狭く感じる…』という意味深なセリフは、この破壊工作5年後の回想で、そこからこの映画が始まる。

  ジョニー・デップ演じる博士が講演する場面で『自我を持つAIがネットでつながれば人類を超える・・・これを一般に特異点(シンギュラリティー)と

  呼ばれるが、私はこれを超越(トランセンデンス)と呼ぶ』と言う。

  質問者から『あなたは神を創りたいのですか?』と問われ、『人類は昔からそうしてきた…』と答えた。

  博士は過激派から発砲を受け死ぬが、彼の脳はスーパーコンピューターにインストールされる。

  博士の古き友人であり、師匠的存在の黒人俳優モーガン演ずる博士がモニターに映るジョニー・デップの顔を観て驚嘆しながら『自我を証明できるかね?』と尋ねると、

  『難しい質問だ、タガー博士。君はできるか?』と逆に尋ねた・・・これはこの映画の中の重要な場面だったと思う。禅の公案そのもの・・・

 

  映画は、人間の意識+AIという人智を超えた力を持っ存在に対して『COMP-ウイルス』を注入することで対抗、そのために人類はそれまで構築したネットワークすべてを喪失

  世界中のすべてのコンピューターは完全に機能を停止、コンピューター制御に頼っていたライフラインはストップして世界は大停電に見舞われ文明は崩壊する…。

 

  2020年に我が地球上に起きた『新型コロナウイルス』が我々の生活全般において『万事休す』を思わせる状況…どちらも『ウイルス』が原因である事・・・これがもう一つ。

  それは天からの『令』であって『万事休す』することで『和』となることができる太陽(コロナ)から送られてきた、この映画と同様なメッセージではないか?

 

  映画の中で起ったと思ったAIによる『超越』はいまだ真の『超越』ではなく、電脳になった自分を破壊する為のCOMP-ウイルスと知りながら、

  『妻のウイルス』を『妻の愛』と共に受け入れた博士の行為こそが『超越』であり、同僚のタガー博士の質問『自我の証明』に対する答えであった。

 

         

          この写真は2018年に撮った写真であるが、2020年のコロナ禍を予知していたのだろうか??



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