緊急事態宣言解除後の対応
最後まで残っていた1都3県に対する緊急事態宣言が、明日(25日)解除決定されるそうだ。この政府の意向を受け、東京都や神奈川県は、コロナ対策について解除後の在り方を発表した。
1 東京都のロードマップ
東京都が発表したロードマップでは、次の4段階で休業要請等の解除が進行するという。
Step0
外出自粛について ●8割程度の接触機会の低減を目指した外出自粛、●クラスター発生歴のある施設(※)の利用自粛、●他県への移動の自粛
※接待を伴う飲食店等、カラオケ、ライブハウス、スポーツジム
事業者に対する休業要請等について ●遊興施設、運動・遊技施設、劇場、商業施設等を対象、●飲食店等は短縮営業(夜8時まで。酒類の提供は夜7時まで)
●イベント開催の自粛
学校について ●休校
外出自粛について
Step1 Step2 Step3
●5割程度の接触機会の低減を目指した外出自粛、●引き続き休業要請となる施設の利用自粛、●クラスター発生歴のある施設(※)の徹底した利用自粛、●他県への移動の自粛
事業者に対する休業要請等について
Step1
●都民の文化的・健康的な生活を維持する上で必要性が高い施設を緩和(例)・博物館、美術館、図書館→入場制限等を設けることを前提に施設の再開、●飲食店等→営業時間の一部緩和(夜10時まで)
●50人までのイベント開催を可能
Step2
●クラスター発生歴がなく、3つの密が重なりにくい施設を緩和(例)・劇場等→入場制限や座席間隔の留意を前提に施設の再開、●飲食店等→営業時間の一部緩和(夜10時まで)
●100人までのイベント開催を可能
Step3
●クラスター発生歴があるか、またはリスクの高い施設を除き、入場制限等を前提として全ての施設を再開、●飲食店等→営業時間の一部緩和(夜12時まで)
Step3
●1,000人までのイベント開催を可能
学校について
Step1 Step2 Step3
●再開
登校日の設定数を変更して対応(オンライン学習等の家庭学習との組み合わせ)
2 神奈川県の対策
外出自粛については、「徹底的な外出自粛要請から『新しい生活様式』等の周知徹底へ」として、今までの特措法45条1項に基づく「徹底的な外出自粛要請」を「感染防止対策がされていない場所へ行くことを控える。当面の間、次の行動を控える」と変更した。次の行動とは、・クラスター歴があるような場所へ行く(繁華街の接待を伴う飲食店等)
・帰省や旅行など、都道府県域を越えた移動を例として挙げている。
また、事業者への休業要請については、「休業の要請から感染防止対策を前提とした段階的な解除へ」として、「感染拡大のおそれのある施設への休業要請」を行うとしている。ここでの緊急事態宣言下における休業要請の法的根拠については特措法24条9項と45条2、3項をあげ、宣言解除後については特措法24条9項をあげている。
段階的な解除のステップとしては、東京都とは異なり、2段階に分けている。
【ステップ1】
◆県は、事業者がガイドラインに基づく適切な感染防止対策を講じることを前提に、休業要請を解除
◆事業者は、自ら感染防止対策の創意工夫を図り、段階的に営業を再開(原則、夜10時までの時短営業を要請)
・遊興施設・大学、学習塾 ・運動、遊技施設・劇場等 ・集会・展示施設・商業施設
※ 飲食店は時短営業を緩和(朝5時から夜8時まで、酒類提供は夜7時まで➡ 朝5時から夜10時まで)
◆小規模イベントの開催を可能とする
【ステップ2】
◆時短営業を解除
◆中規模イベントから順次開催を可能とする
3 宣言解除後の要請の根拠
今まで、宣言解除後の二つの事例を取り上げてきたが、そこで浮かび上がってくるのは、要請の法的根拠をどうとらえているかということである。
神奈川県が示しているように、宣言下での自粛要請は、特措法45条1項を根拠としていたが、宣言が解除された以降は、宣言下での豊作を定めている45条は使うことができない。したがって、今後は、一般的な24条9項を根拠とした要請しかできないことになる。
このことについて、東京都のロードマップは一言も触れず、法的根拠なしに外出自粛等の要請をしている。これは法治国家のすべきことではない。市民の権利を規制する方策を立案する場合には、必ずその法的根拠を示さなければならない。こんな杜撰なロードマップに、都民は従うのであろうか。疑念を抱く人々はたくさんいるはずである。
小池都知事は、都合の良い時だけ記者会見を行い、露出している。しかし、保健所の件数漏れがあった場合には、知事は何も記者会見をしない。都合の悪いことには顔を出さず、良いことには喜んで出てくる。その厚顔さは、何と言ったらよいのだろうか。まさに、知事選目当てだといっても言い過ぎではない。
前回にも触れたが、特措法24条9項でもできないことが存在している。それについては、どのように説明するのであろうか。
コロナ対策をしっかりとしなければならないことについては、その通りである。しかし、上(行政)からの要請を根拠にした「自粛警察」は、今後とも行われるであろう。そんな行動は、絶対に許してはならない。
今必要なのは、市民の側が自律し、自営する気持ちで、このコロナに対処することである。行政はしなければならないことは必ず存在する。それが強く前面に出てしまえば、市民の自由を抑制することになる。私たちは、そんな社会の到来を望んではいない。コロナ対策においても、市民を主人公とした対策が講じられるべきである。
最後まで残っていた1都3県に対する緊急事態宣言が、明日(25日)解除決定されるそうだ。この政府の意向を受け、東京都や神奈川県は、コロナ対策について解除後の在り方を発表した。
1 東京都のロードマップ
東京都が発表したロードマップでは、次の4段階で休業要請等の解除が進行するという。
Step0
外出自粛について ●8割程度の接触機会の低減を目指した外出自粛、●クラスター発生歴のある施設(※)の利用自粛、●他県への移動の自粛
※接待を伴う飲食店等、カラオケ、ライブハウス、スポーツジム
事業者に対する休業要請等について ●遊興施設、運動・遊技施設、劇場、商業施設等を対象、●飲食店等は短縮営業(夜8時まで。酒類の提供は夜7時まで)
●イベント開催の自粛
学校について ●休校
外出自粛について
Step1 Step2 Step3
●5割程度の接触機会の低減を目指した外出自粛、●引き続き休業要請となる施設の利用自粛、●クラスター発生歴のある施設(※)の徹底した利用自粛、●他県への移動の自粛
事業者に対する休業要請等について
Step1
●都民の文化的・健康的な生活を維持する上で必要性が高い施設を緩和(例)・博物館、美術館、図書館→入場制限等を設けることを前提に施設の再開、●飲食店等→営業時間の一部緩和(夜10時まで)
●50人までのイベント開催を可能
Step2
●クラスター発生歴がなく、3つの密が重なりにくい施設を緩和(例)・劇場等→入場制限や座席間隔の留意を前提に施設の再開、●飲食店等→営業時間の一部緩和(夜10時まで)
●100人までのイベント開催を可能
Step3
●クラスター発生歴があるか、またはリスクの高い施設を除き、入場制限等を前提として全ての施設を再開、●飲食店等→営業時間の一部緩和(夜12時まで)
Step3
●1,000人までのイベント開催を可能
学校について
Step1 Step2 Step3
●再開
登校日の設定数を変更して対応(オンライン学習等の家庭学習との組み合わせ)
2 神奈川県の対策
外出自粛については、「徹底的な外出自粛要請から『新しい生活様式』等の周知徹底へ」として、今までの特措法45条1項に基づく「徹底的な外出自粛要請」を「感染防止対策がされていない場所へ行くことを控える。当面の間、次の行動を控える」と変更した。次の行動とは、・クラスター歴があるような場所へ行く(繁華街の接待を伴う飲食店等)
・帰省や旅行など、都道府県域を越えた移動を例として挙げている。
また、事業者への休業要請については、「休業の要請から感染防止対策を前提とした段階的な解除へ」として、「感染拡大のおそれのある施設への休業要請」を行うとしている。ここでの緊急事態宣言下における休業要請の法的根拠については特措法24条9項と45条2、3項をあげ、宣言解除後については特措法24条9項をあげている。
段階的な解除のステップとしては、東京都とは異なり、2段階に分けている。
【ステップ1】
◆県は、事業者がガイドラインに基づく適切な感染防止対策を講じることを前提に、休業要請を解除
◆事業者は、自ら感染防止対策の創意工夫を図り、段階的に営業を再開(原則、夜10時までの時短営業を要請)
・遊興施設・大学、学習塾 ・運動、遊技施設・劇場等 ・集会・展示施設・商業施設
※ 飲食店は時短営業を緩和(朝5時から夜8時まで、酒類提供は夜7時まで➡ 朝5時から夜10時まで)
◆小規模イベントの開催を可能とする
【ステップ2】
◆時短営業を解除
◆中規模イベントから順次開催を可能とする
3 宣言解除後の要請の根拠
今まで、宣言解除後の二つの事例を取り上げてきたが、そこで浮かび上がってくるのは、要請の法的根拠をどうとらえているかということである。
神奈川県が示しているように、宣言下での自粛要請は、特措法45条1項を根拠としていたが、宣言が解除された以降は、宣言下での豊作を定めている45条は使うことができない。したがって、今後は、一般的な24条9項を根拠とした要請しかできないことになる。
このことについて、東京都のロードマップは一言も触れず、法的根拠なしに外出自粛等の要請をしている。これは法治国家のすべきことではない。市民の権利を規制する方策を立案する場合には、必ずその法的根拠を示さなければならない。こんな杜撰なロードマップに、都民は従うのであろうか。疑念を抱く人々はたくさんいるはずである。
小池都知事は、都合の良い時だけ記者会見を行い、露出している。しかし、保健所の件数漏れがあった場合には、知事は何も記者会見をしない。都合の悪いことには顔を出さず、良いことには喜んで出てくる。その厚顔さは、何と言ったらよいのだろうか。まさに、知事選目当てだといっても言い過ぎではない。
前回にも触れたが、特措法24条9項でもできないことが存在している。それについては、どのように説明するのであろうか。
コロナ対策をしっかりとしなければならないことについては、その通りである。しかし、上(行政)からの要請を根拠にした「自粛警察」は、今後とも行われるであろう。そんな行動は、絶対に許してはならない。
今必要なのは、市民の側が自律し、自営する気持ちで、このコロナに対処することである。行政はしなければならないことは必ず存在する。それが強く前面に出てしまえば、市民の自由を抑制することになる。私たちは、そんな社会の到来を望んではいない。コロナ対策においても、市民を主人公とした対策が講じられるべきである。