振り逃げプロ野球

アテネオリンピック野球日本代表の一件以来、プロ野球界に対する不信感をつのらせる者のブログ

プロ野球界出身者で一番最悪な事件を起こした男の話

2005-03-13 15:15:01 | ニュース
私が何気にY○hoo!ニュースを見ていたら、こんな記事があった。

強盗殺人 孤独な元ロッテ投手 母に「待ってて」
三振奪取に己をかけた現役時代。崩れかけると粘れなかった。引退後も華を求め、道を踏み外した。
 88年7月、西宮球場。プロ野球オールスター第1戦、全パ2番手のマウンドに、4年目で初めて選ばれた投手が立った。落合博満、原辰徳両選手らが並ぶ全セの強力打線。細身の投手は、広沢克己選手らから5打者連続三振を奪った。サイドスローからの速球とカーブが次々と決まる。今は強盗殺人罪の被告である小川博投手は、カクテル光線の下、輝いていた。

   ■   ■

 逮捕後の今年1月、42歳の小川被告は母(72)に手紙を出す。
 --身勝手でわがままばかりの人生だった。
 --周りの人に良いかっこばかり見せていた。
--どこかでプライドを捨て切れなかった。
 大学ノートの切れ端に書かれた手紙を手に、母は「優しい子だったのに……」と泣いた。「子供ができず、養子の博を溺愛(できあい)した。でも2年前に初めて『もうお金がない』と突き放してしまった」と、悔いる。
 逮捕後、小川被告は弁護人に話した。「六本木や銀座の高級クラブで一晩に数十万円使った現役時代が忘れられなかった」「妻と子供に、元プロ野球選手の家族らしい生活をさせたかった」
 弁護人は「肩の故障で心残りのまま引退してから、ずっと『プロ野球選手・小川博』のイメージをひきずった」とみる。

   ■   ■

 小川被告は高校時代、春夏の甲子園に3回出場し、大卒後の85年、ロッテにドラフト2位で入った。「自分の力を試したい」と、両親の反対を押し切ってのプロ入り。当時のコーチ、植村義信氏は「4番打者にも8番打者にも全力投球し、派手に三振を取る。しかし、抜き球や遊び球がない。いったん崩れると粘りがなかった」と振り返る。
 入団時の監督、稲尾和久氏は「三振がすべてではない。そう考えればもっと成長する」と、忠告したことを思い出す。
 オールスターに出た88年、10勝を挙げ、204個の三振を奪い、最多奪三振王のタイトルを取った。年俸は2200万円に跳ね上がり、高級外車を買う。だが肩を壊し、その後は89、90年に各3勝挙げただけ。92年に引退した。
 トレーニングコーチに就くが、前妻への離婚の慰謝料など数百万円の借金を抱える。両親から受けた援助は数千万円に達した。入団時に両親に預けた契約金、そして父が大工、母が清掃作業で蓄えた貯金が消えた。それでも足りず、選手やファンからも借金し、球場警備員を保証人にしたこともある。02年に球団職員を解雇された時、借金は1750万円に膨れていた。

   ■   ■

 退団後に産廃処理会社を訪問。「華やかなプロ野球出身者には無理」と言われたが、頭を下げて就職した。自己破産手続きをして再起を期した。
 だが、焼き肉パーティー代として預かった会社経費10万円のうち3万円を使い込む。ヤミ金に手を出した。利子を含め膨れ上がった80万円の返済日、別のヤミ金から10万円を借りたが、パチンコで使い果たす。同僚からも借金を重ね、もう借りるあてはなかった。
 昨年11月18日夕、埼玉県上尾市にある勤務先の会長宅を訪ね、住み込みで働く西内和子さん(当時67歳)に土下座して借金を頼んだ。その日のうちに返さねばならない額は利息分3万円。西内さんは断った。追い詰められていた小川被告は西内さんを突き飛ばして失神させる。事務室から175万円入りの封筒を奪い、西内さんを車に乗せて旧荒川へ。川幅20メートルほどの奥まった場所。日が暮れると、明かりも人けもない。「ここなら、ばれない」。小川被告はぐったりした西内さんを川へ投げ込み、水死させた。

   ■   ■

 「振り返ると誰もいなかったのか」。高校時代の恩師は、小川被告の孤独を語る。1歳で養子に出された影が、つきまとっていたのかもしれない。球場に足しげく通った父も、93年に死んだ。
 1月中旬、妻と2人の子が去った。妻は、小川被告が子供に手紙を出すことも拒んだという。
 母への手紙は続く。
 --これで(前妻の子を含め)3人の子供を捨てたことになってしまいました。私はバカな男です。母さん、長生きしてこのバカな男が帰るのを待っていて下さいますか。
 孤独の中、懸命に自らを省みているのか。母あての手紙に被害者への思いはなく、こう結ぶ。
 --もう母さんしか(手紙を)書く相手がいなくなりました。博より
【村上尊一】


この男の生い立ちは初めて聞いた。
少し、驚いたが、別にこの事件のことは生い立ちが関係しているとは思わないので、このことについて語る気はしない。

いわゆる、「ごく普通」といわれない家庭の人(組み合わせのみで追求される)が追い込まれる背景にはいわゆる普通といわれている人の言葉に傷ついてすごすことが多く(悪意がある言葉もない言葉も根底に「この人は他の人と生い立ちが違う」という観点で見ている人の言葉で傷つく場合がある)、それが「社会的に追い込まれる」背景を作っていると私は思う。
これは幼児虐待で苦しむ子供を救い出せない背景にもそれはあるような気がしていて、これは、「実親思想」が邪魔していると感じる。
子供は実の親ならば、理不尽な扱いを受けていても、我慢しなければならないのか?。
「親だから、子供を愛しているはずだ」
という考え方は虐待をしている親に通用するわけないだろう。
私は思う。
実の親じゃなくても、子供を大切に育てることができる人もいるだろう。
そうだったら、育てられない実の親より、育てられる里親で育つほうが子供にとってはいいはずである。
「実親思想」は早く捨てて、子供を助けてほしい。

話はややそれたが、小川博も実の親ではないにしろ、愛情のある両親に恵まれてすごしていたようで、その親御さんを悲しませるようなことをしてしまったことは非常に残念である。
こういう事件のときは被害者はもちろんだが、被害者家族、そして、加害者の家族を悲しみに落とす、最悪なことなのだ。

私は事件の最悪性についてはいうまでもなく、卑劣で、情けないことであり、同情の余地はない。
被害者や被害者家族が一番の被害者であり、その人たちに対して、一生、罪を償うべきであると思う。

その次に気になったのは、
「野球選手だった時代の生活が忘れられない」
という点である。
私はこのブログで口をすっぱくしていっていることがある。
プロ野球界に対してはここのところ、ずっと、失望している。
プロ野球界の上層部(オーナーも球団側も。それに反論しないコミッショナー関係も)の腐敗にはじまり、労働組合は稼いでいる主力選手を擁護することばっかり考え、弱者である、引退間近や二軍生活の長い10年くらいの選手の引退間近の選手などを救うための就職紹介やカウンセリングも職業訓練もしない。
野球界に残れない人を救おうとしない、自分たちだけ守っている、アテネオリンピックの野球の日本代表の体たらくをマスコミが叩かないことをいいことに、合併問題に目を向けさせ、ごまかしていたくせに。
いつもを救いもしない弱者を今回だけ救うという行動をとってごまかしたとしか、見えない。
私はどうしても、そうとしか見えない。
しかも、焼け石に水であっても存在した、野球選手の保険も今年の4月で撤廃したらしいという話も聞く。
いったい、選手会は何をしているのだか。
あきれて、ものが言えない。
それで自分の権利だけ主張している。
ファンの目をごまかしているだけではなしか?。
私はもうだまされたくない。

ここまでの最悪なことはなくても、野球選手が引退して生活に困って、犯罪に手を出して、つかまったケースはいろいろ聞く。
つい最近も、元ヤクルトの池末が買春禁止法違反(児童ポルノビデオ販売)で逮捕されている。(私のブログではこういう風に書きました)
こうやって、犯罪を起こすのは一部であり、他の人はまじめにやっている人も多い。
他のまじめにやっている人が気の毒である。

おそらく、小川博は一生、刑務所からは出ることはできないだろう。
事件が事件なので、同情する気はない。
ただ、悲しくなるような話だということだ。