「水素ロータリーがル・マンを制覇する日」その４１

ホンダ

ホンダは、水素燃料電池によるル・マン参戦を考えていた。
しかし、アメリカ・ホンダの強い要望により、当面、インディーカー用のバイオ・エタノール・3.5リットル・エンジンを用いたLMP-2レーシングカーでアキュラからALMSに参戦することになった。
すでに、アキュラからALMSのLMP-2クラスで活動中のレーシングカーをベースにすれば短期間で現地で開発が可能であった。問題は、インディーカー用のバイオ・エタノール・3.5リットル・エンジンの開発供給であった。

2008年12月、都内ホテルで2008年のホンダ モータースポーツ活動発表会が開催された。発表会では、まずホンダの福井威夫代表取締役社長から挨拶があった。「ホンダは創業当初小さな2輪のメーカーでした。その数年後には当時2輪の最高峰レースであるマン島レースに挑戦しました。以来、世界のモータースポーツに果敢に挑戦して参りました。高すぎるハードルを設定しそれをクリアしていく。またこれにチャレンジし、様々な困難に直面しながら乗り越えうまれたものは個々人の経験ですとか、あるいはそれを乗り越えた先の自信というものは、企業としての財産であります。また高すぎる目標を掲げ不眠不休、悪戦苦闘しながら人材を鍛え達成していく、それが私たちホンダの原動力であります。そしてその場で育った技術もまたホンダの財産であります。
しかし、サブプライム問題に端を発した金融危機と、それらに伴う信用危機、各国に広がった実体経済の急速な後退により、ホンダを取り巻くビジネス環境は急速に悪化してきています。当面の世界経済は不透明さを増すばかりであり、回復にはしばらく時間がかかることが予想されます。
ホンダはこの急激かつ大幅な市場環境の悪化に対し、迅速かつフレキシブルに対応をしてきましたが、将来への投資も含め、さらに経営資源の効率的な再配分が必要との認識から、F1活動からの撤退を決定いたしました。今後のHonda Racing F1 Team、英国でエンジンの供給を行ってきたHonda Racing Development Ltd.については、チーム売却の可能性も含め従業員と協議にはいります。」と述べた。
IRLインディカー・シリーズやアメリカのモータースポーツについては、「インディカー・シリーズにつきましては、中止。アキュラブランドでのアメリカ・ルマンシリーズは継続します。」と語った。